今まで触れていませんが、カツオ(11歳)とワカメ(9歳)は
20歳未満ですので「未成年」です。
法律一般において、未成年者が行う法律行為には
親権者の同意が必要とされています。
財産に関する法律行為である遺産分割協議においても
未成年者が当事者となる場合は、当然
親権者が法定代理人として未成年者を代理することになります。
そこで、波平死亡後の磯野家においては、フネが法定代理人となり
カツオとワカメの2人に代わって協議を行うことになるのですが
フネと2人の子供のカツオとワカメは
波平の遺産相続においては共同相続人のため
同じ遺産を分け合うという利益の相反関係に当たります。
このように、本来の代理人が不適切な場合の遺産分割協議は
原則、無効とされてしまいますので
家庭裁判所で特別代理人を選任してもらわなければなりません。
通常、利害関係のない親族や弁護士が選任されます。
法定代理人は判断力が未熟な未成年者を保護するための規定で
父母の婚姻中は、父母が共同で同意していないと有効な同意にはなりません。
このため、父母の一方が単独で同意した場合は、取消しができますし
両親が離婚している場合は、親権を有している親の同意が必要です。