何の知識もないまま、有機栽培による野菜作りを始めて3カ月
今でも閉口しているのが有機肥料の臭いです
鶏糞、牛糞などの“糞”、なたね粕などの“粕”
そして、自家製に挑戦している堆肥には“生ごみ”と
基本的には人間が利用した後、ゴミとして捨てるモノを肥料にするのですから
完全に腐り切るまでの臭いがキツイのは、当たり前と言われればその通りなのです。
幼少の頃、特に記憶に残っているネギ畑の人糞尿は平気だったのですが…。
当時の便所では、お金持ちの家は現在のティッシュペーパーの先々代(先代は鼻紙)の
“ちり紙”を利用していましたが、一般的には、特に子供は新聞紙を予め、ちり紙大に切っておいて
コトが済んだらそれを手で揉んでお尻を拭いていましたので
カサカサになったそれが混じった糞尿が、ネギの畝に張り付いていたものです。
“お町育ち”の私など、大人になるまで、ネギの地中の白い部分の中にある
あの食べれば美味いジューシーなキョロキョロなものは
(昨今のネギにはあまり入っていないのですが)
あのオシッコとウンチをネギが作り変えたものと思っていました。
もっとも、考えようによっては実際、そうですね。
多くの記憶は、なぜかそうしたネギ畑なのですが
2、3回は足がハマったこともある“こえだめ”がそこかしこにあったのですから
野菜畑の肥料の多くは、こうした人の糞尿を利用していたのでしょう
「田舎の香水」と呼ばれたこの臭いは、畑のある田舎の定番でした。
そう言えば江戸時代の江戸では、周辺農家がお金を払って糞尿を買っていたようで
江戸城の“大奥”のモノが一番、高値で取引されていて
それも一つの業者に独占されていたという話を聞いたことがあります。
江戸前の鮮魚などは、冷すための氷もないのですから
海から数キロの住民しか口にできなかったとか。
“吉原”のモノよりも栄養分が豊富だったと言いますから
毎日、大奥では美味い物を食べていたんでしょうねぇ。
それはそうと、ガキの頃に慣れ親しんだ「田舎の香水」から
久しく遠ざかっていたためなのでしょう
これらの有機肥料の臭いが鼻について
これがまた、簡単に手を洗っただけでは、すでにインプットされた僅かな臭いを
ちゃんと嗅ぎ分けてしまい、しばらくは食欲がわかないという
この歳にして、なんとも軟弱な体質になってしまったものです…。