遺産分割に限らず、長寿社会を反映して最近増えてきているケースは
本人の自署・押印と印鑑証明書を添付すべき法律行為において
その本人が認知症や知的障害、精神障害などで
「自分の状況を理解して物事を判断する意志能力」がない場合です。
自署・押印は印鑑証明書を添付すれば“できるだけ本人(*)”で済みますが
この意思能力の欠如は、そのまま遺産分割協議をしても
他の相続人の言いなりになって不利益な結果になる可能性があります。
このため、フネが認知症になっている場合
本人に代わって法律行為をしたり、同意を与えることで
本人の権利や財産を保護するために選任された成年後見人が
フネに代わって遺産分割協議を行うことになります。
この成年後見制度には「任意後見」と「法定後見」の2種類があります。
任意後見制度
フネが意志能力があるうちに、後見人となる人を自ら選任して
契約で代理権を与える制度
法定後見制度
すでに意志能力が失われたフネに対して、親族等が家庭裁判所に申立てを行い
法律で定められた後見人を選任してもらう制度
↓
フネの精神上の障害の状態に応じて次の3種類に分けられますが
どの種類に該当するかは医師による診察結果等によって決まります。
● 補助…判断能力が不十分な者
● 保佐…判断能力が著しく不十分な者
● 後見…常に判断する能力が失われている者
ちなみに、昨今では「痴呆症」はできるだけ避けて
「認知症」の方を使うように叫ばれています。
(*)・・・“できるだけ本人”とは言っても、“本人である”ことが前提です。
遺産分割以外のケースですが、然るべき人が電話または面談で
本人に確認を取ることもありますので、少なくても、自署・押印を代理で行う際には
その了解は取っておかなければならないことは当然です。