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絵じゃないかおじさんぐるーぷ
ぽたらに送られる本人の気持よりも、村全体の幸せのため
という立場を取るようになりました。
自分のやましい心を打ち破るには大義名分を必要としたの
でしょう。
村長そのものの考えがしみ込んできたとも言えます。
村長と深い付き合いをしているうちに、村長と同じ立場の
船に乗ったのでした。
そのために、今では、村にとって不要だと思われる者は、
皆、ぽたら送りにされるのです。
百世帯足らずの山間の村なので駐在はおりません。
それに、村の多くの者が、今では、ぽたら送りの恩恵を被って
おりますので、おおそれながらなどと訴え出ると
一蓮托生の身の上となるのでございます。
「ぽたら送り」の計画・実行は、欲造と和尚が二人で行います。
和尚の力もだんだんと強くなってまいりました。
彼が望んでいたことの一つが叶ったとでもいいましょうか、
態度もだんだんと大きくなってまいりました。
寺もだんだんと建物が整備されてゆきます。
ぽたら送りも、初めは5年ごとに行なわれていたのですが、
最近では、3年ごとに縮まってきております。
その上、近ごろでは親戚・縁者などを通して、近在の村からも、
ぽたら送りを頼まれるようになってもいます。
手数料をつりあげ、二人で山分けするものですから、
これは笑いが止まりません。
言うなれば、これは穏やかな殺しの請負業のようなものなの
でありますから、他の村人からは、がっぽりと取るので
あります。
それでも人一人が村から消えるものですから、
辻褄だけは合わせておかねばなりません。
近所には、寝たきりの老人を安く世話してくれるところが
見つかったので、預けにゆくと言って連れ出すのです。
そして、半年が1年後、そこで死んだということにして、
骨つぼに入れた骨だけ持ち帰るのであります。
普通ならば、土葬にするのですが、こういう時には、
火葬ですませたことにします。
そして、何処の誰の骨かわからぬ骨で、お葬式を出します。
それと同時に、お上には死亡届けを出します。
もちろん、骨は和尚が持ち墓をあばいて、たくさん用意して
あります。
土の中では溶けてしまうこともありますので、他のお寺から
無縁仏の骨を貰い受けてくることもあります。
身内の者が、持ち帰った骨つぼの骨まで見せろなどと、
いう人はいませんので関係者以外は何も知りません。
また見せたとしましても、骨で本人かどうかの見分けが
つけられる人などは、皆無なのであります。
関係者は、口をつぐんで何もいいませんから、
秘密は保たれています。
そんな風にして、ぽたら送りは隠然と大繁盛をしているの
であります。
私は、非力です。
こういう現実に対して、何もすることが出来ないのであります。
事実を事実として、見つめるだけなのでございます。
この何とも言いがたい気持、皆様にお伝えできるのでしょうか。
ただ、ぢっと見る。
これだけなのでございます。
つづく
絵じゃないかおじさんぐるーぷ
ぽたらに送られる本人の気持よりも、村全体の幸せのため
という立場を取るようになりました。
自分のやましい心を打ち破るには大義名分を必要としたの
でしょう。
村長そのものの考えがしみ込んできたとも言えます。
村長と深い付き合いをしているうちに、村長と同じ立場の
船に乗ったのでした。
そのために、今では、村にとって不要だと思われる者は、
皆、ぽたら送りにされるのです。
百世帯足らずの山間の村なので駐在はおりません。
それに、村の多くの者が、今では、ぽたら送りの恩恵を被って
おりますので、おおそれながらなどと訴え出ると
一蓮托生の身の上となるのでございます。
「ぽたら送り」の計画・実行は、欲造と和尚が二人で行います。
和尚の力もだんだんと強くなってまいりました。
彼が望んでいたことの一つが叶ったとでもいいましょうか、
態度もだんだんと大きくなってまいりました。
寺もだんだんと建物が整備されてゆきます。
ぽたら送りも、初めは5年ごとに行なわれていたのですが、
最近では、3年ごとに縮まってきております。
その上、近ごろでは親戚・縁者などを通して、近在の村からも、
ぽたら送りを頼まれるようになってもいます。
手数料をつりあげ、二人で山分けするものですから、
これは笑いが止まりません。
言うなれば、これは穏やかな殺しの請負業のようなものなの
でありますから、他の村人からは、がっぽりと取るので
あります。
それでも人一人が村から消えるものですから、
辻褄だけは合わせておかねばなりません。
近所には、寝たきりの老人を安く世話してくれるところが
見つかったので、預けにゆくと言って連れ出すのです。
そして、半年が1年後、そこで死んだということにして、
骨つぼに入れた骨だけ持ち帰るのであります。
普通ならば、土葬にするのですが、こういう時には、
火葬ですませたことにします。
そして、何処の誰の骨かわからぬ骨で、お葬式を出します。
それと同時に、お上には死亡届けを出します。
もちろん、骨は和尚が持ち墓をあばいて、たくさん用意して
あります。
土の中では溶けてしまうこともありますので、他のお寺から
無縁仏の骨を貰い受けてくることもあります。
身内の者が、持ち帰った骨つぼの骨まで見せろなどと、
いう人はいませんので関係者以外は何も知りません。
また見せたとしましても、骨で本人かどうかの見分けが
つけられる人などは、皆無なのであります。
関係者は、口をつぐんで何もいいませんから、
秘密は保たれています。
そんな風にして、ぽたら送りは隠然と大繁盛をしているの
であります。
私は、非力です。
こういう現実に対して、何もすることが出来ないのであります。
事実を事実として、見つめるだけなのでございます。
この何とも言いがたい気持、皆様にお伝えできるのでしょうか。
ただ、ぢっと見る。
これだけなのでございます。
つづく