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絵じゃないかおじさんぐるーぷ
狭い舟倉では、燈油ランプが明かりを灯していました。
小舟は、すぐに大揺れに揺れ始めました。
5分も経たないうちにです。皆は息苦しい舟倉内を転げ回って
おります。
喜助ジィさんは、縛られたまま、「こわいよー」を
連発するものですから、
白太ちゃんにもすぐに伝染していきました。
女二人は、落ち着いております。おカネ婆さんは、
危ないから燈油ランプをすぐ消せと言いますが、誰も消すことは
出来ません。幸いなことに、小舟にしっかり固定されていますので、
舟がひっくり返って、シンが抜けない限りは大丈夫なようで
ありました。10分もすると、美代さんと白太ちゃんの二人は
吐き始めました。船酔いが襲ってきたのです。二人は青ざめ、
ぐったりとなってきました。
薄ものを掛けて横たわっているおカネ婆さんは、
枕を縦に使っております。ボケ老人に寝たきりの老婆、
盲目・精神薄弱の船酔い病人なものですから、もう悲惨なもの
でありました。
大地を離れて1時間も経たないというのにです。
その舟倉地獄に、
「無事行ってこいよー」とかすかな声が届いてまいりました。
小舟を導いていた漁船が帰るようでありました。
「オイラ、帰りたーい」
つづく
絵じゃないかおじさんぐるーぷ
狭い舟倉では、燈油ランプが明かりを灯していました。
小舟は、すぐに大揺れに揺れ始めました。
5分も経たないうちにです。皆は息苦しい舟倉内を転げ回って
おります。
喜助ジィさんは、縛られたまま、「こわいよー」を
連発するものですから、
白太ちゃんにもすぐに伝染していきました。
女二人は、落ち着いております。おカネ婆さんは、
危ないから燈油ランプをすぐ消せと言いますが、誰も消すことは
出来ません。幸いなことに、小舟にしっかり固定されていますので、
舟がひっくり返って、シンが抜けない限りは大丈夫なようで
ありました。10分もすると、美代さんと白太ちゃんの二人は
吐き始めました。船酔いが襲ってきたのです。二人は青ざめ、
ぐったりとなってきました。
薄ものを掛けて横たわっているおカネ婆さんは、
枕を縦に使っております。ボケ老人に寝たきりの老婆、
盲目・精神薄弱の船酔い病人なものですから、もう悲惨なもの
でありました。
大地を離れて1時間も経たないというのにです。
その舟倉地獄に、
「無事行ってこいよー」とかすかな声が届いてまいりました。
小舟を導いていた漁船が帰るようでありました。
「オイラ、帰りたーい」
つづく