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絵じゃないかおじさんぐるーぷ
寝たきりでも、口だけは達者なようです。
自分が下の世話をしてもらわなければならない身の上なので、
余計腹立たしかったんでしょうね。
お美代さんの顔にかかってしまいましたので、
彼女は、シクシク泣き始めました。
臭くてたまらなかったのでしょうね。
それを見て白坊が、
「おい、キーやん。止めいっ。もう遊んでやらないぞっ」
白坊は、おカネ婆さんに注意されると、すぐに止めました。
してはいけないと言われると、聞き分けは出来るようです。
その点、キーやんは、そこまで聞き分けが出来ないようです。
「これ止まらなーい」
「ばかっ! あっち向けろ」
「もっ、ジジィのションベンは臭いんだからっ」
おカネ婆さんは、めったにお風呂などには入れてくれません。
それが、昨日は昼風呂に入れてくれたのです。
ぽたら送りになるというので、丁寧に洗ってももらいました。
肌着もさっぱりしておりました。
寝たきりでも清潔さを望んでいたのでしょう。
気を使って言いだせなかったのかもしれません。
それにしても、人間は、自分の匂いには寛容なんでしょうねえ。
白坊が、上に上がり水濡らした布切れを持ってきて、
美代さんの顔を拭いてやっております。
「坊は優しいんじゃのう」
つづく