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絵じゃないかおじさんぐるーぷ
白坊が、にっこりと嬉しそうにほほ笑みました。
褒められると嬉しいのでしょう。
いい顔しますね。
仏像といえども、白太ちゃんのこの笑顔に勝てるものは、
そうたくさんは居ないのではないでしょうか。
拭き終わると、キーやんの頭を、2~3発軽く叩きました。
ええーんと、嗄れた声を上げ、キーやんが泣き始めました。
まったくの子供のようです。
「もう、いいのよ」
泣き声の傍に寄っていって、美代さんが慰めております。
そのうち、おカネ婆さんも尿意をもよおしてきたようです。
「美代さん、すまんが、その手桶取ってくれんかいのー」
「手桶って」
「その隅にあるんじゃが」
おカネ婆さんの荷物の方を指差します。
「バァちゃん、何に使うの」
白坊が聞きます。
「ワシは、寝たきりで動けんのじゃ。それで、
その手桶の中に用を足すつもりじゃ」
「用を足すって」
「今、お前らがしていたようなことじゃ」
「ああ、ションベンのことか。バァちゃんは、何で動けないの」
「年とってな、身体がいうこと聞かないんじゃ」
「バァちゃんの身体、オイラよりバカなんだね。
オイラ、言うことならよく聞くよ」
「そうかい、そうかい。じゃ、あの風呂敷包みを解いて、
中から手桶出しとくれ」
「はい、バァちゃん」
「はいと言われても、なあ。美代さん、すまんがこの婆の腰に
当ててくれんかいのう」
おカネ婆さんは、気持よさそうです。
小便は、おカネ婆さんの楽しみの一つでもあるようです。
身体に溜まった不要な毒素が抜け出ていって、
小便が終わると、元気になって、
走り回ることが出来るのではないかなどと、
想像しながら、頑張っているようですね。
「美代さん、ありがとうよ」
「いいのよ。いつでも言ってね。私でも人の役に立てるのね。
嬉しい」
この子も優しい子のようです。
それにしても、みんないい人たちばかりなのに、
何の因果なのでしょう。
私は、仏さまに怒られるかも知れませんが、
前世など信じたくはありません。
当人たちに、前世の記憶があり、
そうなっても、仕方ないと
認識出来ないようなことには、賛成できかねるのです。
ああ、阿弥陀様、この人たちの前世を教えて下さいませ。
つづく