copyright (c)ち ふ
絵じゃないかおじさんぐるーぷ
そんなわけで、私も、ぽたら送りをされることとなりました。
喜助ジィさんと美代さんは、この村の者ではありません。
小作の秀作さんが、なぜ、ぽたら送りに選ばれたのか
不思議に思われる方も多いのではないかと思われます。
彼は、働き者で、とても優しい青年です。
その彼が、なぜ・・・
それは、村長の欲造の娘の秋乃さんと恋仲になったからで
あります。
欲造は、秋乃さんを軍人か政治家の嫁にしようと
思っていたものですから、貧乏な小作の小倅とくっつかれては
たまりません。何んとかして、二人の仲を引き裂こうと、
機会を窺っていたようです。
秀作さんが歩いている時、たまたまワラジの紐が切れました。
彼は村長の田圃とは知りながらも、積んであったワラぐろから
ワラすべを数本抜き取って、ワラジを直しました。
それを見ていた庄屋の女中が、欲造に告げ口をしたのです。
ワラすべ数本とはいえ、これは立派な泥棒です。
欲造は、すぐさま秀作さんを捕らえ、観在寺に軟禁しました。
これを機会に、ぽたら送りにするつもりのようです。
村では、秀作さんさんが急に居なくなったものですから、
大騒ぎになりましたが、人の噂も七十五日、ほどなく話題にも
上らなくなりました。叶わぬ恋に諦めて、都会にでも出ていった
のだろうということで、勝手解釈を施したようでございます。
しかし、秋乃さんや秀作さんの両親は、そんなことでは納得出来
ません。特に、秋乃さんは、秀作さんが黙って居なくなるなどと
いうことは、頭から信じておりませんでした。
秀作さんが消えた日から、父親の態度が急に変わった
ものですから、恋する女の直感でうすうす気がついたようで
あります。
秀作さんが観在寺に閉じこめられ、ぽたら送りにされると
いうことも探りあてました。
恋すると、本当に女の人は強くなりますね。
この秋乃さんの陰の働きのお陰で、
私は、後に出てまいりますように、ぽたら送りから逃れることが
出来ましたのでございます。
期日がさし迫ってまいりますと、ぽたら浄土に送られる者たち
へのお説教が始まります。
皆に納得してもらい、喜んで出て行って欲しいのです。
そうでないと、後に残された者が後悔します。
それでなくとも、近しい人たちは良心のどこかを針で
チクチクと刺されるような気がするのです。
もちろん、説教をするのは大権和尚であります。
今回は、白太ちゃんと美代さん、それにおカネ婆さんの3人です。
秀作さんと喜助ジィさんは、除外するようであります。
話が通じない喜助ジィさんには、何を言っても無駄でしょうし、
秀作さんに対しては、あまりにも気がひけたからでしょう。
大権和尚も口が上手になったものです。
私も聞いておりますと、本当にそんなお浄土があるのかと
思われそうなのです。
では、11才の白太ちゃんのところから
見てまいることにしましょう。
つづく
絵じゃないかおじさんぐるーぷ
そんなわけで、私も、ぽたら送りをされることとなりました。
喜助ジィさんと美代さんは、この村の者ではありません。
小作の秀作さんが、なぜ、ぽたら送りに選ばれたのか
不思議に思われる方も多いのではないかと思われます。
彼は、働き者で、とても優しい青年です。
その彼が、なぜ・・・
それは、村長の欲造の娘の秋乃さんと恋仲になったからで
あります。
欲造は、秋乃さんを軍人か政治家の嫁にしようと
思っていたものですから、貧乏な小作の小倅とくっつかれては
たまりません。何んとかして、二人の仲を引き裂こうと、
機会を窺っていたようです。
秀作さんが歩いている時、たまたまワラジの紐が切れました。
彼は村長の田圃とは知りながらも、積んであったワラぐろから
ワラすべを数本抜き取って、ワラジを直しました。
それを見ていた庄屋の女中が、欲造に告げ口をしたのです。
ワラすべ数本とはいえ、これは立派な泥棒です。
欲造は、すぐさま秀作さんを捕らえ、観在寺に軟禁しました。
これを機会に、ぽたら送りにするつもりのようです。
村では、秀作さんさんが急に居なくなったものですから、
大騒ぎになりましたが、人の噂も七十五日、ほどなく話題にも
上らなくなりました。叶わぬ恋に諦めて、都会にでも出ていった
のだろうということで、勝手解釈を施したようでございます。
しかし、秋乃さんや秀作さんの両親は、そんなことでは納得出来
ません。特に、秋乃さんは、秀作さんが黙って居なくなるなどと
いうことは、頭から信じておりませんでした。
秀作さんが消えた日から、父親の態度が急に変わった
ものですから、恋する女の直感でうすうす気がついたようで
あります。
秀作さんが観在寺に閉じこめられ、ぽたら送りにされると
いうことも探りあてました。
恋すると、本当に女の人は強くなりますね。
この秋乃さんの陰の働きのお陰で、
私は、後に出てまいりますように、ぽたら送りから逃れることが
出来ましたのでございます。
期日がさし迫ってまいりますと、ぽたら浄土に送られる者たち
へのお説教が始まります。
皆に納得してもらい、喜んで出て行って欲しいのです。
そうでないと、後に残された者が後悔します。
それでなくとも、近しい人たちは良心のどこかを針で
チクチクと刺されるような気がするのです。
もちろん、説教をするのは大権和尚であります。
今回は、白太ちゃんと美代さん、それにおカネ婆さんの3人です。
秀作さんと喜助ジィさんは、除外するようであります。
話が通じない喜助ジィさんには、何を言っても無駄でしょうし、
秀作さんに対しては、あまりにも気がひけたからでしょう。
大権和尚も口が上手になったものです。
私も聞いておりますと、本当にそんなお浄土があるのかと
思われそうなのです。
では、11才の白太ちゃんのところから
見てまいることにしましょう。
つづく