木工挽物という仕事

基本的には時代遅れの仕事
正反対の位置にいるブログから発信してみます
でもブログも先端じゃなくなりましたね

少年時代

2012-10-25 23:04:51 | 音楽
あまり人ごみが好きではなかった
だから1年の時も2年の時も学校のそばにある神社のお祭りには行かなかった
でも3年生の時亮君に誘われた。手を引かれるようにして行った
雑踏が好きでなくても集まり来る笑顔に逆らう理由もない
自然に僕の心も周りのそれに同化していった

ふと立ち止まった亮君が僕を見て目と顎で露店の店先を示す
セーラー服姿しか知らなかった隣のクラスの委員長が幼い妹だろうか女の子と手を繋いでいる
裸電球に浮き上がった浴衣姿のそのシルエットが妙に美しくて
僕は茫然としながらもそれをこの眼に焼き付けた
一度も同じクラスになったことがなかった彼女が少しの間僕の心のアイドルになった
誰にも言えない秘密を一つ持った

でもそのうちに受験勉強も忙しくなり
部活の仕上げに奔走し
僕の日常から彼女は消えた・・・・

大人になって結局卒業するまで一度も言葉を交わさなかったことに気付いたっけ




クラス会の話が出たついでに隣のクラスだった彼女の消息を聞いてみた


  残念ながら、40代になったばかりの頃に・・・



僕はもう一度あの眼の奥にしまったシルエットを取り出した
ごめんね
僕の存在など気に留めたことはなかったのだろうけど
綺麗だったよ と一言上げれなくて




少年時代 / 井上陽水



コメント (4)
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