大阪発達支援センターぽぽろブログ ぽぽろ番

ぽぽろはNPO大阪障害者センターの子育て・教育支援部門です。
大阪市鶴見区今津北にあります。

先生と呼ばないで!

2009年01月15日 | 児童デイサービス
 今日は大阪障害児放課後ネットによる白石正久先生の講演会。「障害のある子どもたちの学齢期の悩みとねがい―発達的要求をさぐる―」がテーマ。

 昨年もそうだったが、「ここにも元教員の方がいらっしゃいますが…」と切り出されると、まだまだ身構える自分がいる。頭では分かっているのに、長年染み付いた「評価の目」「課題提起」「やらそうとすることへのこだわり」から抜け切れていないのかもしれない。まだまだ修行の身である。

 「夕方、子どもたちは発達する」という意味、つまりは「放課後の発達的意義」について最初に語られた。学校の意義と役割の大切さ、大きさについては言うまでもない前提として押さえての話しだ。

 学校では目の前に提起された課題を前に、子どもたちはどうしても瞬時に「できる―できない」を意識し、ハードルが高く感じられる。子どもたちは「やりたいなぁー、できるようになりたいなぁー」「でも、できないなぁー」「できなかったなぁー」という葛藤や自信のなさを抱えて夕方、学童にやってくる。

 そこには学校の先生はいない。お母さんも見ていない。
 今日、学校で出来なかった課題、自信がなかった課題に挑戦してみようという気持ちになったりする。学校での情けない思いがよみがえったりする…でもでも「やってみよう!」と「こてだめし」ができる場=時間・空間、それが放課後学童保育。そこには教育的な意図はない、学校の世界ではない「第三の世界」としての固有の価値がある。
 「先生」ではなく、いわば共同作業所での関係(呼び名)である「なかま」のような関係、子どもと同じ目線で仲間として関わることの意義がある。

 ここで、「こだわり」や「常同行動」の事例に触れながら…。
 もう一つは学童にはホッとできる、ホッとする「なごみの時間」がある。楽しかったなぁー、やったなぁー、できたー!という達成感を味わう「余韻」をいっぱい感じながら、それを明日のためのエネルギーにしていく時間。それが本当の意味ある時間。緊張して「こらえる、やりすごす」時間は本当の時間ではない。学校の休憩時間はなかなか「なごみの時間」になりにくい。またすぐ次の時間が始まる…。

 学校の授業で使う教材と違いはなくとも、学校とは違う、何が違った世界にいざなう要素なのか?じっくり、深く考えましょう。…というような切り出しでした。

 次に親が子どもを見ない時間があることの大切さについて話がすすむ。そこで、「連絡帳」の話に。これがあるとどうしても目の前にいなくても子どもの姿を頭に描いてしまい、頭から離れられない…。
 出かけた電車の中でクルクル回転したり、奇声を発したり…すると、ついつい「やったらアカン!」と叱ってしまう。でも、しかっても解決しないし、ますますやってしまう。(この話のところでは参加したお母ちゃんたちの中からクスクス笑い声が…)

 ところが、「まっ、いいか」という気持ちで見守る人間がいて、そういう人が言ってくれると子どもは聞こうとする。第三者の必要性。第三の世界の必要性。

 親が子どもに向き合うのではなく、ともに同じ方向を向いて歩むことが出来る。お母さんも何か自分の人生を見つめ、自分の人生のために歩き出した、そういう時期が必要であり、子どももそのことを感じて受け止めていく…ということができる。これは学童保育の副次的な意味、意義でもある…。

 ここまでで3分の1.ここまで聞いて、やっぱり呼び名も「せんせい」はよくないよなぁ!と改めて思ったわけです。Hくんは最初に親しみを込めて「おっちゃん!」と呼んでくれた!初めてのときに確かにうっ!とつまったが、「はーい、なに?」と応えたもんだが、母たちは元教師だから「違うでしょ!○○先生と呼びなさい!」と注意したものだ。家での会話でもきっと「○○せんせいが…」と子どもたちの前では話しておられるのだろうなぁ。
 我々スタッフの中でも、また障害者センターの職員・同僚同士でも「先生ではありません」「○○先生」と呼ぶのはやめようねと申し合わせている。しかし、長年の習性でこれがなかなか出来ない!特に一番若いスタッフのKだけは「大先輩に、言えません!」と頑張っている。

 お願いだから、「先生」と呼ばないで。
 「にこにこ生活」に出てくる「健太ママ」と「健太くん」のように初めからきちっと理にかなった「○○さん」「○○さ~ん」という呼び方をして欲しい。
 そういえば、小6のYくんや中1のKさんなどは最近「○○」と呼び捨てにしてこちらの様子をみている。反応=人間を試しているのである。

 明日から、いや今日からぽぽろでも家でも「さん」呼びしてね。

 もう一つ、これからはブログに「大荒れでした」などと「連絡帳」のような書き方はやめよう。学童保育だから、「大荒れ」してストレスを吐き出すことも当たり前。「まっ、いいか!」「こんな日もあるさ」で、そんな日にはしっかり受け止めてあげよう。…と書くものの、これがなかなか。少なくともお迎えの母に気持ちの負担を感じさせることがないように心がけたいものだ。

 次には白石先生の「発達とは矛盾を乗り越えること」という話ではないが、今日あった療育教室のTくんのことについて、彼の姿から葛藤・矛盾について書いて見たい。彼のことは、最新号「ぽぽろだより」にスタッフのKが書いたので是非読んでほしい。とってもいい話ですよ。


明日は子育て支援教室にどうぞ!

2009年01月15日 | ノンジャンル
■つるみ・ぽぽろ・たんぽぽ子育て支援教室  1月16日(金)午前10時~13時
  会場おおさかパルコープ鶴見店2階(大阪市鶴見区横堤5丁目12-37)
  参加費:無料(どなたでも参加できます)
  テーマ「胸をはって生きようよ!¥瘧Q児・者、家族をめぐる動きー」
  講師:播本裕子氏(大阪障害児・者を守る会副会長)
  ※ 必ずぽぽろ(℡06≠U964≠O703)まで予約申込をお願いします。

 播本さんは重度の知的障害と自閉症を併せ持つ26歳の息子さんを持つ母親です。息子さんは現在グループホームで生活されています。大阪知的障害者育成会吹田支部事務局長の立場で3年前、大阪で開かれた障害者自立支援法案審議のための地方公聴会で意見陳述を行われるなど、とても肝っ玉の大きい方です。また、大阪障害児・者を守る会副会長として長年、障害児者の権利を守るための運動に積極的に参加してこられました。大阪はもとより、全国からの講演依頼が多くあり、お忙しい毎日です。 「オレは世界で二番目か」の著者でもあります。また、「みんなのねがい」や「福祉のひろば」などの雑誌にも手記や論文を多数書いておられます。育成会の相談員をされ、鶴見区にある大阪市委託の相談支援事業所・大阪障害者支援センターつるみの前所長としても経験もあり、相談支援の専門家でもあります。

 自立支援法による影響など、障がい者をめぐる状況は厳しく、くらしや雇用、社会保障もともすれば暗い話になりがちですが、それに負けないで胸を張って明るくいこうよ!という話を期待しています。親の立場からの子どもの発達と子育てについてのお話を聞かれた方は、何回でも聞いてみたいという気になるようで、播本ファンも多いです。

 どなたでも気軽にご参加ください。まだ十分席はあります。終わってから、希望される方は下の生協(おおさかパルコープ鶴見店)でお弁当を買って、ダベリングにも参加できます。