行ってみませんか... こんな 素敵な世界へ

好奇心旺盛な長年の体験で、行って、見て、食べて、泊まった素敵な世界を、皆んなにちょっぴりお裾分け...

ブルターニュ紀行 22 < ポン・ラベ と その周辺 > シズン半島の根元の最南端

2021-03-22 00:49:59 | 素晴らしき世界/フランス/ブルターニュ
巻頭写真 : ポン=ラベの港

荒海と信仰とケルト文化と古代巨石文明と
フランスにあってフランスではない異世界を訪れる
22


「ベノデ」から西に「オデ川」を渡って小さな湾の向こうに
『Pont l'Abbé ポン・ラベ」という町がある
そこから南西の岬の先端『Saint-Guénolé サン・ゲノレ』の間は
面白い村々がある

まず『Pont l'Abbé ポン・ラベ』
「司教橋」という名前の町

『Château de Pont l'Abbé ポン・ラベ城』

これはこの地方『Bigourdin ビグゥルダン』の歴史文化博物館が使っている




一つの島が中央部の大半を占める小さな入江の奥にある町は
港があるが
一番奥なので引き潮だとほとんど出入りは出来なくなる程の水位しかない

港からシャトーを望む

町の公設市場は19世紀のもの



お約束の教会は
これがまた見事な廃墟

『Eglise Saint-Jaques de Lambour ランブールの聖ヤコブ教会』



3世紀に着工し
最終的に完成したのは16世紀
そして今は




鐘楼の上部をなくした正面だけを除いて


見事に廃墟として残っている


残った細部を見るに
往時の全体の見事な姿が偲ばれる

身廊交差部から翼廊の入り口を望む


北側側廊部からやや斜めに身廊の西側正面を望む

中央祭壇の跡


19世紀の終わりに起こった階級闘争の際の教会権威排斥運動に乗じて
時の市長(れっきとした貴族の出)が議会に諮って
取り壊しを決議
屋根を破壊してしまった
壁や屋根の上や塔などに飾られていた彫刻類は
『Eglise Notre-Dame de carmes  カルメル会の聖母教会』に移され
未だにその教会が保存している

町のこの一角だけ


歴史が止まっている

ちなみにこの廃墟は
されて間もなく国の重要文化財に指定された

 ついでに
その『Eglise Notre-Dame des Calmes カルメル会の聖母教会』
もご紹介しておきます
13世前半「カルメル会」がブルターニュとしては4番目の修道院を
ここ「ポン・ラベ」に作った
今では修道院は消滅してこの修道院聖堂だけが残った


正面を見るだけで中に入らずとも
身廊と北側の側廊だけの構造なのがわかる

この正面左のすぐ屋根側の上に
階段が仕掛けてあるのが興味深い



内部は予測通りになっていた

北側廊と身廊

内陣が平らで祭壇に向かって座ると大きなステンドグラスに向き合う形になる
これもブルターニュ好みの造り

『Retable de l'Autel de sainte-Anne 聖女アンナの祭壇のルターブル』

この礼拝堂は側廊の突き当たりにある

聖母マリアの母『聖アンナ(アンヌ)』はブルターニュ全体の守護聖人
16世紀後半フランス王に嫁がざるを得ず「ブルターニュ公国」の独立性が消滅した
最後の君主が女性で『アンヌ(アンナ)』だったこともあり
いたるところに「Anne」さんがいるのがブルターニュなのです
ちなみに主祭壇はナポレオンとローマ教皇との和解の後
なぜか壊されて残っていない

『Retable de l'Autel de Saint-Crépin & Sainte-Crépinien』
「聖クレパン と 聖クレピニアン の祭壇のルターブル」

この祭壇は側廊側の壁の壁龕に作られている

『Chapelle de Saint-Crépin et Crépien』

これは靴屋の聖守護神『サン・クレパンとその一党クレピアン』の礼拝室
写真では小さすぎて判別不能だろうが
右側の人物は腰のベルののいくつものポケットに靴やハンマーが見える
当時の「靴職人ギルド」が奉納した

『Pieta ピエタ』16世紀作

この教会の外陣(祭壇のある内陣の外側)の南側に
不思議な塔が立っている
鐘楼なのだがアルドワーズの河原で葺いた鐘楼はブルターニュには
ほとんどない


山国のピレネーやアルプス
あるいは北欧ロシアなどの塔の屋根に似た形だが
なぜこのような形なのかは浅学にしてわからない


南側側壁から見ると
結構ははみ出す形で「独立」した塔であることがわかる




周辺には城もあります

『Manoir de Kernuz ケルヌーズ屋敷』


鳩小屋



※  ※

「ポン・ラベ」から南西に一直線に15kmで
岬の南西の角
『ペンマルク』と『サン・ゲノレ』という2つの自治体が繋がっており
「サン・ゲノレ」が西の海際
さらに
「ペンマルク」の南の海際に『ギルヴィネック』

岬の南西の角の南岸
『Guilvinec』から始めよう


古くから栄えた漁港





『Chapelle Saint-Trémeur 聖トレマー礼拝堂』






『Statut de Saint-Trémeur 聖トレマー像』

布教中に首を刎ねられたトレマーはその場では死なず己の首を持って歩いた
という奇跡伝説があり列聖され
この姿で表される

礼拝堂の泉

聖トレマー「アンクロー」管区民たちの共同パン焼き窯
丸い部分が窯で屋根がなくなった建物の切妻に煙突がある不思議な形

周辺には素朴な城もある

『Manoir de Kerghoz ケルゴズ屋敷』

母屋
中世の地方の小豪族イェイドの城の母屋はこんなもの
ただ防御の設備はしっかりしている


門の上に鳩小屋を置いた不思議な構造

城壁と防塁の塔



家並みが白いのが「南ブルターニュ」の特徴だ

あちこちある海岸のとある岩場に
不思議な図形の残る岩があった


円形や四角形の
明らかにヒトが削った跡

これらは近隣の礼拝堂のカルヴェールを造るために切った
採石の跡
円板型に切り取った石塊は十字架の基礎に使われた


ペンマルク岬の界隈は
次回に続きます
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コメント (2)
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