「真昼の月」作:吉田秋生
前作「蝉時雨がやむ頃」に続き2作目である
(蝉時雨がやむ頃の記事はコチラからどうぞ~)
15年前に父親が女を作って出て行き
その2年後に母親も男を作って出て行き
残された「幸」「佳乃」「千佳」の3姉妹は、鎌倉に住んでいる
ひょんなことから父が亡くなった知らせを受け
ついフラフラと葬式へ出席してしまった先で、異母妹の「すず」と出会う
で、なぜか「すず」を引き取ることになり「4姉妹」となる(笑)
と、ここまでが前作のお話。
ん~~。私が語るとミョ~に簡単な話になってしまうが…(ハハハハ)
さぞ重かろうっと思われる話の内容も、
この漫画の主人公達がドンと受け入れているので、そんなに重くはない。
表紙絵の雰囲気のように、フンワリとした色彩の中を…
時々、特急電車が走り抜けていくだけで、
ちょっと耐えれば、また何時もの静かな日常が戻ってくる
生活があるのだから、何時もの日常に戻らなければ埒が明かない(笑)
そんなところが、実にリアルに描かれている
今回は表題作を入れて4編
「花底蛇」(カテイノジャ)
花底蛇とは…美しいモノの底には、恐ろしいモノが潜んでいるだよ~ってな
中国の故事にちなんだ話である
次女の「佳乃」さんは、地元信用金庫のOLさんをやっておりますが…
酒豪オヤジOLの「佳乃」さんが付き合っていた、大学生の彼「藤井君」が
なんと、ホントは高校生じゃった~ってな
オッタマゲルような事実を知ってしまった4女「すず」(笑)
OLのお姉さんが、10代の高校生男子と付き合っちゃ~ダメってな法律はないが
新参者の妹「すず」としては、放ってもおけないのである。
さて、心の底にヘビを隠し持っているモノの正体は…誰でしょう?
酒豪OL「佳乃」さんなのか? それとも中学生の4女「すず」ちゃんか?
ま・まさか…男性だけど美形な「藤井君」?(笑)
中国故事の「花底蛇」が、後からジンワリと効いてくる良い作品です
「二人静」
このタイトルは、源義経の愛人「静御前」からモジっていると思われる(笑)
頼朝に捕らえられ、白拍子として舞を踊らされたとき
敵将の面前で義経を恋慕う歌を堂々と歌ったという逸話から
美人で聡明で男子の中に混じっても
堂々とした強さを持った女性っという、イメージがある。
静御前と同じく鎌倉在住の4女「すず」ちゃんは
地元の少年サッカーチームに入るほどの、実力あるサッカー少女
最近、男子部員との体力差に悩み始める
この少年サッカーチームには、「すず」ちゃんの他にもう一人女子が居る
同じサッカーチームに所属している少年をめぐる、女の争い!
って程でもないか~(笑)
あんまり爽やか過ぎて、拍子抜けするほどだが…中学生ならこんなもんか?
源義経だって静御前だって、出会って恋に落ちたのは十代
多分、今でいう中学生くらいの年頃だと思う
平均寿命が短かったこの時代、急いで恋をし、急いで出産しなければ
間に合わなかったからか?今に比べれば大人だの~
そういう私も、中学の頃はまだ恋も知らんかった(笑)
親友と呼んでおった女友達に、突然彼氏が出来て
結局、私はお邪魔虫かい?っと寂しくイジケた子供である(ハハハハ)
恋や愛より、友達との友情の方が私にとっては大切だった
何も気にせず男子や女子が入り混じって、ワイワイ遊べた楽しい一時が
恋や愛を知った途端に、壊れて消えてしまうようで怖かった
そんな気持ちを30数年ぶりに思い出してしもうたわい
(フォフォフォフォ)←笑が何故かバルタン星人っぽい(笑)
ま、そんな郷愁にかられるほど、エエ~作品であった
他に「桜の花の満開の下」、
そして今巻タイトルにもなってる「真昼の月」の4編。
吉田秋生さんは、私よりも3歳年上なのだが
よく、中学生の心情なんぞ描けるの~
確かに少し大人びた中学生ではあるが、それにしても凄い(笑)
次回も楽しみである