ミオちゃんが旅行に行ってしまった。
まだ離婚してなかった頃。
K君の嘘に、大分泣かされたわたくしであったが。
あの頃は、どうして一緒に生活をして、
共に育児の最中にいるというのに、
彼が卑怯としか思えない嘘をつくのかと、
気がおかしくなるくらいに哀しかった。
嘘に嘘が重なって、
結局どこかで辻褄が合わなくなり、
それが嘘だと確定した時の、衝撃。
心が壊れるかと思った。
そして本当に心が壊れてしまった。
彼の嘘の向こうには深い絶望しかなくて、
もう、どうにも動かなくなった頭と身体が、
底の見えない絶望に沈んでゆく。
…が。
底は、あった。
いつしか足が底につき、蹴り上げる。
絶望の底にたどりついたら、
今度はゆっくりと浮上する。
胸に、しっかりとミオを抱いて、
はるか遠くの光を見つけた。
わたしには、もうこの子だけでいいや。
この子の笑顔があれば、もうなにもいらない。
嘘つき男は、もういらない。
そう思えるまでまた莫大な時間を要したが、
私は再び、明るい水面に出た。
そして、今、恐怖は去った。
彼はまだ嘘をついているようだが、
真相がどうであれ、どうでもいいという安定感。
嘘をつかれるほどに加速するこの想いは何だろう。
ニヤリ、としてしまう。
騙されたふりを演じるのが楽しい。
いい加減、嫌な人間になったなあと思うけれど、
彼の嘘は、愚かで、滑稽だ。
なんでこんなことを書くんだろうと思われたかも知れない。
嘘をね、つかれたんです、また今日も。
でも、動揺しない自分が嬉しかったので、つい。
悪趣味ですね。
〔ALS〕
腰を痛めたので、
ダンナサマのお通じ、ヘルパーさんを呼んだ。
5分待たされたが、
またわたくしが動けなくなるよりマシでしょう。
お小水はまだ何とか自力でやってくれてますが、
できなくなったら、カテーテルではなく、
尿器を固定しましょうってことになった。
ダンナサマ、難色を示していたが、
看護士さんが優しく導いてくださった。
少しでも、家で過ごしたいでしょ…?(悪魔のささやきか?)
この家にいる間は、わたくしが心をこめてお食事をご用意いたしますよ。
排泄物はケアの日に、浣腸で全て出してしまって、
家にいる時のトイレ介助をなくそうという方向に。
前立腺の薬は良い方に効いていて、
夜のトイレもなくなり、
難題は、就寝時の体位調整に絞られた。
体重は減ってきたものの、
まだ大の男の体はわたくしには重く、
足の下に敷くクッションをねじこむだけで、
背中に痛みが走る。
足の一本が重い。その足の持って行き場が難しい。
介護もここまでくると、
する側の身体の心配にまで話が及び、
すっかり保身的になってしまった。
そして、この結果。
でも割り切らないと、続かないからね。
長く続けるには、割り切らないとね。
幸い、ダンナサマはお口が達者でいらっしゃる。
神様が、最期まで口は残してくれたのかも知れない。
こんな状況だって充分辛いと思うけれど、
食べられる幸せを今は大切にしよう。
と申し上げたいのですが、
想いは通じないようです。
まだ離婚してなかった頃。
K君の嘘に、大分泣かされたわたくしであったが。
あの頃は、どうして一緒に生活をして、
共に育児の最中にいるというのに、
彼が卑怯としか思えない嘘をつくのかと、
気がおかしくなるくらいに哀しかった。
嘘に嘘が重なって、
結局どこかで辻褄が合わなくなり、
それが嘘だと確定した時の、衝撃。
心が壊れるかと思った。
そして本当に心が壊れてしまった。
彼の嘘の向こうには深い絶望しかなくて、
もう、どうにも動かなくなった頭と身体が、
底の見えない絶望に沈んでゆく。
…が。
底は、あった。
いつしか足が底につき、蹴り上げる。
絶望の底にたどりついたら、
今度はゆっくりと浮上する。
胸に、しっかりとミオを抱いて、
はるか遠くの光を見つけた。
わたしには、もうこの子だけでいいや。
この子の笑顔があれば、もうなにもいらない。
嘘つき男は、もういらない。
そう思えるまでまた莫大な時間を要したが、
私は再び、明るい水面に出た。
そして、今、恐怖は去った。
彼はまだ嘘をついているようだが、
真相がどうであれ、どうでもいいという安定感。
嘘をつかれるほどに加速するこの想いは何だろう。
ニヤリ、としてしまう。
騙されたふりを演じるのが楽しい。
いい加減、嫌な人間になったなあと思うけれど、
彼の嘘は、愚かで、滑稽だ。
なんでこんなことを書くんだろうと思われたかも知れない。
嘘をね、つかれたんです、また今日も。
でも、動揺しない自分が嬉しかったので、つい。
悪趣味ですね。
〔ALS〕
腰を痛めたので、
ダンナサマのお通じ、ヘルパーさんを呼んだ。
5分待たされたが、
またわたくしが動けなくなるよりマシでしょう。
お小水はまだ何とか自力でやってくれてますが、
できなくなったら、カテーテルではなく、
尿器を固定しましょうってことになった。
ダンナサマ、難色を示していたが、
看護士さんが優しく導いてくださった。
少しでも、家で過ごしたいでしょ…?(悪魔のささやきか?)
この家にいる間は、わたくしが心をこめてお食事をご用意いたしますよ。
排泄物はケアの日に、浣腸で全て出してしまって、
家にいる時のトイレ介助をなくそうという方向に。
前立腺の薬は良い方に効いていて、
夜のトイレもなくなり、
難題は、就寝時の体位調整に絞られた。
体重は減ってきたものの、
まだ大の男の体はわたくしには重く、
足の下に敷くクッションをねじこむだけで、
背中に痛みが走る。
足の一本が重い。その足の持って行き場が難しい。
介護もここまでくると、
する側の身体の心配にまで話が及び、
すっかり保身的になってしまった。
そして、この結果。
でも割り切らないと、続かないからね。
長く続けるには、割り切らないとね。
幸い、ダンナサマはお口が達者でいらっしゃる。
神様が、最期まで口は残してくれたのかも知れない。
こんな状況だって充分辛いと思うけれど、
食べられる幸せを今は大切にしよう。
と申し上げたいのですが、
想いは通じないようです。