タミアのおもしろ日記

食文化・食育のお役立ちの話題、トンデモ食育、都市伝説、フードファディズムなどを分析して解説します!(^.^)

国が「和食の基本は一汁三菜」と言い張るのは?

2021年02月23日 | Weblog
ベストセラー「一汁一菜でよいという提案」の著者、土井善晴先生にもぜひ聞いてほしい話です。
前回のブログでも書いた通り、政府は国民に幅広く「和食の基本は一汁三菜である」と食育指導する方針です。現在パブリックコメント募集中(26日締め切り)の「第4次食育基本計画」案の中で、和食の基本は一汁三菜だと言い切って、今まで以上に国民にこの概念を浸透させる計画なんです(コロナの闇夜に乗じてなにをこそこそと)。

土井先生の言う一汁一菜のすすめにも一理あります。私は馬鹿正直なのであえて言うと、先生が「汁物は味噌汁に限る」と言う部分と、パンやパスタが眼中にないお考えには疑問ですが、具だくさんの汁物にすればおかずが少なくても栄養バランスはかなり改善され、洗うお皿の数が減るから助かります。だから時々は土井先生のレシピを見習うのもいいことと思います。だから、国がしゃにむに「一汁三菜が正しい和食だ」と洗脳するのに疑問を持ってます。

(2月23日追記 誤解のないために書きます。以前書いた通り、一汁一菜「でよい」と言い切ると貧困を正当化しかねません。土井先生のレシピは一汁一菜にしては比較的栄養バランスがとれているので栄養やお皿を洗う点で一理あるけど、一汁一菜「でよい」とまで言い切ることにはためらいます。一汁三菜が食べられる程度には経済的に豊かでありたい。
でも、国が食育指導で「和食の基本はお米中心の一汁三菜」と押しつけるのは、和食の歴史の隠蔽です。実際の私たちのご先祖は、主食に麦飯や粟飯やそば、うどん、芋などを食べていました。鍋にくず米や小麦を練ったものを煮込んで、主食と汁が分けられない郷土料理もたくさんあります。このままでは、おきりこみやほうとうが正しくないと断罪されかねません。そのような指導は、文化の多様性を尊重するユネスコ登録の和食とは全く違います。)


和食がユネスコに登録された2013年(平成25年)12月の時は、地方や家庭によって様々な和食があるから、「正しい和食なんてない」って関係者一同いっていました。
それが翌年すぐ、一部で「一汁三菜が和食の基本」という小声がささやかれ初めて、「いったいだれが何の権限でそう決めたの?」といろいろな人に尋ねたけど、知り合いはみんな首をすくめて「さあ?」って言うばかり。
そして2015年(平成27年)、電通が総合プロデュースしたミラノ万博で、日本館は「和食の基本は一汁三菜だ」と掲示してしまったのですよ。そのあたりからもう歯車が止まらなくなってしまったんです。翌2016年に決定・施行された「第3次基本計画」の中に一言、和食の基本は一汁三菜という言い回しが紛れ込まされ、そして、とうとう先日公開された第4次計画案(パブコメ中)では、幅広く国民に「和食の基本は一汁三菜」と指導することが盛り込まれてしまったのです。

第4次食育基本計画案作成の中心は安部元首相夫人と仲がよくて桜を見る会にも呼ばれているあの先生。

昨日、久しぶりに古い本を読んで気がついたんですよ。20年くらい前まではマスコミも政府も「天ぷらそばの原料の98%は輸入品。和食はもはや輸入品なしでは成立できない。」といっていたのですよ。この事実は現在も変わっていないのですが、大体2004年前後から誰もこの事実を言わなくなって、代わりに「和食にすれば自給率が上がる。」と食育で指導されているんですよ。

これでパズルのピースが埋まりました。
「和食の基本は一汁三菜」と政府が国民に押しつける本当の理由は、食育指導書の「和食にすれば自給率が上がる」という記載ミスではありませんか。「和食を食べて自給率が上がるなんて誰が馬鹿言ってんのさ。天ぷらそばはどうだい。」と事実を指摘されたら、教材を売る側は困ることでしょう。
和食は一汁三菜が基本だといってしまえば、とりあえずお米は必ず含まれるので、和食で食料自給率が上がるように見せかけた図が書けます。

マナー講座の先生が「あなたの指導したマナーは初耳ですよ。」と言われたらどうする?政府のマナー審議会委員長になって、「私の言うマナーが日本人の正しいマナーです」と?
まさかそういう話じゃないことを願いますが・・・・・・・。

(文章の一部を修正しました。)

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