小林真 ブログ―カロンタンのいない部屋から since 2006

2006年開設の雑記ブログを2022年1月に市議当選でタイトル更新しました。カロンタンは40歳の時に飼い始めたねこです

やつらは“懐かしい”のか

2005-09-27 04:08:45 | ねこ
そろそろねこの話を。

たれ目はもうカラーも取り、フルタイムでほかのねこと一緒。つまり特別扱いではなくなりました。まだ外に出るのは踏ん切りがつかないようですが、ひとまずまあ普通に暮らしています。
けれども、おもしろいことが一つ。この夏やつと長い時間を過ごした隔離室、改め寝室に私が入っていくと、なぜかどこにいてもたれ目は、うれしそうにたかたか駆けて入ってくるのです。
閉じ込められていた頃はあんなに出たがったのに。たれ目にとって隔離室は、懐かしい場所、home なのでしょうか。
「home =帰る」という概念を、長い間不思議に思ってきました。旅先でも何日か同じ部屋にいると帰ってきた気がする、でもそこを離れて家に帰れば、やはり帰った気がする、そうしてみると「カリルカナマアアテニスナヒドスギンシャッキン」のイオン化傾向のように、Aという場所よりBという場所の方がより home であるという「home 度数」があるのでしょうか。寺田寅彦も欧州行で暮らした船室について、「こんな場所でも帰ったような気がする」と書いていました。
たとえば55番松井秀喜。現在NYを本拠とする彼にとって、ヤンキースタジアムと東京ドーム、もっといえば星陵高校のグラウンドは、どこがもっとも home 度数が高いのでしょう。
思うにそれは、星陵高校>東京ドーム>ヤンキースタジアムではないでしょうか。過ごした時間でいえばすでにヤンキースタジアムは星陵高校と同じくらいになっていますが、時間順は過ごした時間より home 度数に影響するように思います。
懐かしいこと、たとえば昔の写真などを見て感じる幸福な感情、このノスタルジーの幸福についても、長年不思議に思っていました。これについては確か岸田秀が、脳が昔のことの周りを新しいことが覆っていくつくりになっているというようなことをいっているのを読んでなるほどと思ったのを憶えています。よく祖母が、「昔のことはちっとも忘れねえんだけど、新しいことはすぐ忘れちゃうんよー」といっていたのも、これで説明できます。
しかし、だとしてもこれは人間の話。時間という概念がないといわれるねこの場合はどうなのでしょう。旧隔離室にうれしそうに入ってくるたれ目にとってそこは、懐かしい場所なのでしょうか。まったくの謎です。
隔離室のドアも開けっぱなしにしたため、寝ているとほかのねこどももふとんの上に集まってきます。そんな時ふとんの上を占領された元あるじのたれ目は、みんなよりやや高いふとんが重ねてある場所に丸くなっていることが多いです。涼しくなってきて他のねこはからだを寄せ合って寝ることが増えてきましたが、今のところたれ目がそうしているのを見たことはありません。
果たしてねこどもは、“懐かしい”と感じることがあるのでしょうか。

と、ねこのことだか人間の話だかわからなくなりましたが、やつらの近況報告も。
最近再び室内に入ってくるようになったオディール、子どもは確認していませんがお乳は脹らんでいて、ティーやカミーラの子にお乳をくれることが増えました。これはまったくの仮説なのですが、7頭の子を運び込んだカミーラは、自分の子ばかりでなくオディールの子も運び入れてしまったのではないかと思っています。何しろカミーラは強引ですから。
いずれにしても、カミーラもすでに誰でもお乳を与えていますから、このねこコミュニティはおだやかに秋を深めていきます。その夏こねこどもはどんどん歩き回るようになりました。
秋はねこらしい季節です。

(写真はキャサリンの子、暫定名はいいろ。阪神鳥谷似と前にコメントに書きましたが、いかがですか阪神ファンさん)
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たれ目大暴れ、新こねこ2組大騒ぎ

2005-09-08 00:53:18 | ねこ
先週ニュース続きの猫の話。

手術から1ヶ月、ついに抜糸がなったたれ目。左目は白く濁ってはいますが、かたちはきれいに元通りのたれ目気味に戻りました。見えている右目とともにくるくる動き、まるで見えているかのようですがそれは連動しているだけなのだそうです。
H先生によれば、「まだ目やにが出るのが心配なので様子を見ましょう、もう他のねこちゃんと仲良くできて目が傷つけられるようなことがないなら一緒にいてもいいですよ、カラーも少ししたら必要ありません」とのこと。一応留守中は隔離していますが、家にいる時には少しずつほかのねこどもと一緒にし始めました。
隔離中よく「もう少ししてよくなったら他のやつらと遊べるかんな、待ってろな」と言い聞かせていたのですが、いざ共同生活に加わるとただきょうだいやいとこたちを追い回したり体当たりの大暴れ。かつてそういうことはなかったのに、うーうー唸ったりもします。
よく考えてみるとねこどもにとってまず基本のコミュニケーションは、こういったいわば他者への暴力行為なのでしょう。お互いをぺろぺろなめたりという友好的な触れ合いも、私たちが思っているのとはまったく違う意味を持っているのかも知れません。
他のメンバーは明らかにびびり、恐れ戦いています。こいつらがどれだけお互いの個体を認識しているかはわからない面が多いですが、人間的に推測すれば1ヶ月近く姿を見せなかったやつがその分巨大化して出て来て、不思議なえりまきのようなものをつけていれば一体なんだこいつはと思うのも無理はありません。たれ目が近づいていくだけで逃げることがほとんどです。
相手にされなくても、楽しいよなたれ目。

さて、新こねこども。ティーのこねこ3頭はもうずいぶん大きくなってそこら辺に出てくるようになりました。
そして日曜に初めて姿を現したカミーラの子。最初は3頭と思っていたのですが、まず6頭見つかり、よく数えてみると全部で7頭のようです。生まれる前は3頭くらい増えても、と思っていましたがちょっとこれは大変です。いつもうるさいカミーラに似たのか、こねこにしてはやけによく鳴くしボリュームも大きいようです。
不思議なのは2人の母ねこ。ティーはたいがい部屋にいて、新こねこに授乳すると春こねこが寄ってくるのでそれらにも授乳。最近では新旧入り乱れてお乳を飲む姿もめずらしくありません。それに対してカミーラはよくほっつき歩いているし、春こねこに授乳することも今のところないようです。
単なる性格の違いでしょうか。今後どう変わっていくかが楽しみです。

写真は隔離室から外を眺めるたれ目
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たれ目との隔離生活さらに順延、さらなるこねこは

2005-08-19 01:55:56 | ねこ
水曜に病院に行きましたが、今回もたれ目の抜糸は見送り。ずいぶん乾いたかに見えましたが、H先生によればまだ十分ではないそうです。たれ目との隔離生活まだ続くことになりましたが、最近は夜が涼しいのでまあ平気です。
また昨日からか、食事の時には必ず現れるカミーラが来ません。ずいぶんお腹が大きくなっていましたが、室内がいっぱいなので来るといらいらしていました。どこかで産んでしまったのかも知れません。まだ未確認ですが、朝になったら探してみましょう。

と思ったら、先ほどゴミ捨てに行ったらどこに行っていたかカミーラが登場。まだ産んではいなくて大きなお腹でした。どうにも、前に産んだように思えるのにまだ子どもは姿を現さないオディールも、だんだんお腹が大きくなってきました。
カロンタンの娘のうちキャサリンはまだのようなので、いよいよ避妊手術に行かねばなりません。それにしても、4月に産んでまだこの間までお乳をやっていたのに、こんなに早く次を産むものなのでしょうか。何とも驚きです。
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たれ目との隔離生活まだ続く、こねこまたも増える

2005-08-09 23:35:49 | ねこ
猫の話です。

今日の午後、約2週間ぶりに診察に出かけたたれ目。すでに車も4度目なので、車内でもすっかり寛いでいました。
4時過ぎに病院へ。受付にいたSさんも「けっこうよさそうじゃないですか、大きくなりましたね」と喜んでいました。
これで無事抜糸となればよかったのですが、担当のH先生は慎重に「まだちょっと目やにが出ますから何かに感染してます。右目と同じくらいに乾いてから抜糸した方がいいですね。あと一週間くらいしてまたきてください」。
しかたありません。もっともよい状態で抜糸するために、もう一週間はたれ目との隔離生活は続くことになりました。最近夜は少し涼しくなってきたのが、せめてもの救いです。たれ目本体は、帰りも余裕でバッグの上に乗っていました。

それはいいとして、病院に出かける前、ねこどもに大きなニュースが発生。カロンタンの娘の一頭ティーが、またも子どもを産んだのです。
春の出産は3月半ばと考えられています。早く避妊しなければ、もっと増えてしまうと恐れていはいましたが、最近まで母乳をやっていたのでいつ連れていくかと思っていたところ、たれ目のこともあって対応が遅れていたら2週間あたり前から急激にお腹が大きくなり、げげっと思っているうちに今日もう産みました。
産まれてしまったのはしかたありません。今のところ3頭は確認されました。これだけいると三頭くらい変わらないと思ってしまいますが、先週仕事先でやはり7頭のねこと数頭の犬を飼うOさんに「そんなことはないですよ」といわれ、少し目が覚めました。そのOさんは自分の高校生の娘が、この間こねこを1頭拾ってきて7頭目になったそうです。
それにしても、春はテレビの裏でこっそりと産み、数週間姿を見せなかったティーのやつですが、今回は自分が母カロンタンに産んでもらった白い棚の中で出産。それはそれで、暑い夏なのにぽっとした気分になります。わずか1年半前なのに、ずいぶん前のことのよう。人間の何倍もの速さで流れる、ねこ時間に合ってしまったのでしょうか。
ひとまず他にカミーラも産みそう。まだ産みそうもないメスを早く避妊手術しないと大変なことになりそうです。
しかしこれも、最初にカロンタンの避妊手術を断った自分の判断から始まったこと。3度目になりますが、しかたありません。
春のこねこもすでに情が移っていますが、ちょっと里親探しもしないと。
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たれ目の左目

2005-07-31 10:45:10 | ねこ
ちょっと開きましたが今日は猫の話です。
なお前回でお話した“反乱”は、トイレの増設、猫砂を以前使っていたものに戻すなどでほぼ終結しました。猫砂についてはよく説明書に新規に使う時は前のと少しずつ混ぜてとありますが、こんなにも違うものかと驚いています。もっともそれが原因と断定はできませんが。

さて、カロンタンの娘キャサリンの息子、名前はまだなく、猫にしては少したれ目気味なので暫定名「たれ目」と呼んでいる雄ねこは灰色と黒のとらで、この春生まれた子猫の中で一番大きくて太い脚が力強く、けれども動きはゆっくりで、ちょっとさえないやつです。
ちょっと前、子猫の間でウィルスによるいわゆる猫の鼻かぜが流行り、ほかの猫が治ってからもしばらくぐちゅぐちゅいっていたたれ目はある日、何か左目が腫れてしまいました。インターネットで症状を調べると、病気が治れば自然に戻ることが多いとのこと。動物病院の看護師Sさんにも相談したのですが、自分の忙しさもあってそのまま様子をみていました。
ところが、しばらくすると今度は黒ずんできたので、これはまずいとSさんの働く動物病院に。心配ではありましたが、初めての車にずっと運転席の下にもぐりこんでいて慣れるとお腹の上に座るようになったたれ目に、祖母のカロンタンがそうしていたことを思い出しました。
診察した若いH先生は、「これはけっこう難しいですね」。ここで初めて自分のうかつさに気づき、点眼薬とサプリメントをもらい、ほかの子猫からは隔離するようにいわれてこの日は帰りました。
隔離のために最初はダンボールにたれ目を入れましたが、普段使っていないシャワー室の方が広いと思って移動。しかし、当然のことながらたれ目は暴れます。いったん仕事に出かけて帰ってみると、シャワー室内はがしゃがしゃ、たれ目もキャネット、猫砂まみれで、目の保護のために着けていたメガホンのようなエリザベスカラーも吹っ飛んだ状態。さえないやつですが、脚は太いしいざという時には相当の力が出るようです。
やむなくもとの状態に。普段通りにほかの子猫と遊ぶたれ目は、目が腫れていることなどまったく問題ないように見えます。
約束の3日後に再び診察に行きました。「思ったよりひいてないですね」というH先生は、たれ目自身の血清から点眼液をつくるという方法をすすめ、看護師さんが「がんばれ、たれ目」と応援してくれる中、注射完了。「がまん強いですね」「ええ、動きはちょっと鈍いんですが」というやり取りがありました。それでも「やっぱりこれくらいしか採れませんでした」と、できた点眼液は1、2日分だけです。帰ってからはやつの血からできた薬だからと、こまめに点眼を続けました。それ以外の時間、たれ目はいつも通りに楽しそうです。
しかしその2日後、台風の雨の朝。昨夜の分のトイレを捨てに畑に出かけて戻ってみると、たれ目の左目から血が流れ、目尻には何か膜がぶら下がっていました。
ほかの子猫と遊んでいてなったのか、自分で何かにぶつかってなったのかはわかりません。人間ならずいぶん痛いと思う傷なのに、たれ目は前と同じに運転席の下に丸くなったまま。時々大丈夫かとなでながら、台風の中、車を走らせました。
急いで病院に着くとH先生は留守で、代わりに診てくれた先生がいうには、手術になるだろうからあずかりますとのこと。しかたなくたれ目を残し、一人で帰りました。
お昼過ぎだったか、院長先生から電話あり。最悪の場合には眼摘もあり得るが、もっともいい状態にしたいとの話でした。まかせるよりほかにしかたありません。
翌日、迎えに行って手術後のたれ目に対面。「こんなになりましたが、どうですか」とSさんが連れてきたたれ目の左目は、上のまぶたが縫いつけられ、何とか少し開く状態でした。10日くらいで抜糸になるそうです。にゃーにゃーいいだしたたれ目に、「おお、元気になった」と、にこやかなH先生とSさんでした。
もしまた傷が開くようなら、もう一度手術が必要です、ほかの猫ちゃんに触れないように隔離してないと、というH先生の言葉に従い、今度は最近寝ていなかった寝室にたれ目を隔離。またもやぎゃーぎゃー大騒ぎでしたが、すまんすまんと逃げるように仕事に出かけ、帰るとやはり大騒ぎでした。
たれ目帰還は水曜日。以来、毎晩隔離室でたれ目と寝ています。ドアを閉めると必死にぎゃーぎゃーのたれ目ですが、一緒にいるとくっついて静かに落ち着いています。点眼にも慣れたし、サプリメントも魚や肉もやし、鰹節などに混ぜてよく食べ、効果のほどはわかりませんが魚の目玉は必ずたれ目にやっています。エアコンがない隔離室はドアを開ければ十分に冷えますが、隔離なので開けっ放しにはできません。このところ夜は涼しいので助かりますが、サポートにアイスノンも買いました。
今回の隔離室暮らしで、たれ目という1頭の猫との距離は縮まっています。多くの猫と暮らしていると、猫どもをつい一頭一頭でなく集団としてとらえてしまいがちですが、一対一で過ごしてみるとその猫のリズムのようなものがよくわかります。本を読む横で、こういうタイミングで鳴いたり、こうやって乗っかって来たり。それはそれで貴重な時間と思います。そして、鼻をなめに口を近づけるたれ目の左目は、焦点がぼけて右目と同じような光を放ちます。
病院の待合で話をした車にぶつかって脚を折った犬の飼い主の夫婦は、あの時、放さなければよかったのにと悔やんでいました。私も、もっと早く病院に連れて来ていたら、ちゃんと隔離していたら膜は破れなかったかも知れない、とよく思います。
しかし帰って来てからのたれ目が、エリザベスカラーが苦しそうでほかの猫と遊びたそうなほかは、以前と変わらず元気なのでいくらかは助かります。たまに隙をみて脱走すると思わぬ鋭い脚を見せるし、片目が見えないことは人間が思うより不自由ではないように思えます。Sさんの話では、片目が義眼の猫などもあまり困ることなく暮らしているそうです。
でも何よりなのは、たれ目は片目が見えなくなっても、命はあるということ。たれ目が帰ってきた日のちょうど一年前の27日は、カロンタンが裏の道で車にはねられた日でした。たれ目には、まだ命があるからアジやサンマも食べられるし、もう少しでほかの猫と遊ぶこともできます。それは何とすばらしいことでしょう。
たれ目の抜糸まであと一週間ほど。まだちょっと不自由な暮らしが続きますが、それもまた味なものです。たれ目と一人と一頭の、シンプルな生活を楽しむつもりです。

ところで、な、カロンタン。一周忌にはいろいろ思い出そうとしていたことがあったけど、カロンタンの孫がとんだことになって考えなくちゃいけないことが多くて思い出せなかったよ。でも、生きてるやつの方が先だよな、カロンタン。
(ニャ)

長くなりました。最後まで付き合っていただいた方、どうもありがとうございます。
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謀反、ツルツル・クシャクシャ ~やつらはなぜそこにしゃがむのか

2005-07-13 03:03:00 | ねこ
ねことの暮らしは楽しいものですが、いいことばかりとは限りません。もっとも厳しいことの一つが、やつらがそこいらに糞尿をアップデートする時です。

基本出入り自由のうちの離れでは成猫になると外で排泄を行うので、五きょうだいが外に出るようになった去年の途中からはトイレは要りませんでした。ですが、今年生まれたこねこどもの多くはまだ内猫状態。当然、トイレもカムバックしました。
ねこはすぐにトイレを覚えます。食物からつくられた人工的な砂でも一所懸命に掘って用を足す。数年前、これもまた前にいたにゃおんの話ですが、健在だった祖父が庭の飛び石を掘り返した時、柔らかくなった土を早速掘り返し座り込んで祖母に注意を受けていました。土が柔らかいとなれば即座に反応して用を足そうとする、この上なくダイレクトなメカニズムに驚いたものです。
なので、たまに間違えることはあっても、ほぼ間違いなくトイレに行くやつらに、そうトイレの心配はしていませんでした。

ところが数日前から、やつらはなぜか謀反をはたらきだしたのです。これまで使ってきたトイレでなく、室内各所に排泄範囲を広げ始めました。
現場を押さえたことも何度かあり、どいつが反乱に加担したかもわかっています。まるでミーティングで、「あいつも最近調子に乗ってんな、少しわからせてやった方がいいんじゃねえのか」「ニャ」「にゃん」というやり取りでもあったかのように、一斉にトイレ外排泄攻撃を開始したのでした。

奇妙なのは攻撃ポイントです。無差別攻撃でないのがせめてもの救いですが、今のところの主な攻撃対象は、シャワー室、流し台に、ゴミ袋の上という分類上オン・ツルツル、それと部屋の隅のテーブルの横で、ここは古新聞や何かのオン・クシャクシャです。
クシャクシャの方はわからないでもありませんが、おかしいのはツルツルの方。これまでねこ砂をかき分けてやってきたのに、どうして感触のまったく異なるツルツルにしゃがむのでしょう。
以前、弟の家にいたもみじという犬も、夏の間、下がコンクリートの日陰に避難させたら排泄を我慢していました。やつらにとって下が柔らかいというのは重要ではないのでしょうか。
たとえば人間も大理石か何かの上にしゃがめといわれれば、それはちょっとというでしょう。シッティン・オン・ツルツルには、何かそれを突き抜けた快感があるのでしょうか。
ねこは行動のパターンを一つ知ることで理解が深まると同時に、いつもそれ以上の謎が頭をもたげます。

帰って来た時、起きた時、「ひえー、またやってる」と驚き、犯人がわかった場合はそのねことほかのねこに向って、「まったく困るよ、こういうとこでするやつがいるからな。みんなが困るんだから」といってはみますが、少なくともほかのねこどもは困っていない模様。
まあ、掃除のしやすいポイントばかりでよかったかなとも思いつつ、いつまでこの警戒態勢は続くのだろうとおびえる日々は、まだ終わりそうにありません。
不謹慎ながら、テロや内戦にも似て緊迫した状態。といっても、幸いこっちの爆弾は命にかかわることはありませんから、精々スリルだけ楽しませてもらうとしましょう。
少し面倒で臭いけど。
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ねこ紹介(1) おとなしもの オディール

2005-07-12 03:52:25 | ねこ
これから1頭ずつねこどもを紹介していきます。
カロンタンの5頭の子は50音順で、最初はおとなしもの オディール(メス、くろとら)から。

正式名はオディール・カリーナ。オディールはJ・L・ゴダール監督『はなればなれ』のヒロインです。まだ名前が決まっていない頃、イマジカでやっていた大好きなこの映画をHDに収録、仕事の合間にちょっとみていたらひざに上がって画面に目をやったのでヒロインの名オディールと、苗字はわからなかったので女優アンナ・カリーナからもらいました。

もとよりオディールは、一番静かな、おとなしものです。
一度、将来動物病院に行くことを考え、もっともうるさいカミーラと車に載せてみたことがありました。動き出したとたんに近寄って来て「ニャーニャー」うるさいカミーラに対し、オディールはじっと後方待機。カミーラが疲れて休むと、短く「ニャー」と存在を伝えるだけでした。
控えめな性格なのかやる気がないのか、おとなしく時間の流れのままに暮らすのがオディールです。くろとらの毛色は母カロンタンに似ていますが、カロンタンもあまり自己主張しないそんな佇まいのねこでした。

ナイスレスポンスのねこもいいですが、おとなしい、物言わないねこにも、とくにこっちが静かな気分の時に心ひかれます。ぴんと張った布の真ん中を少しだけへこませ、そこに水を落とすとその窪みに集まる、そんな心ひかれ方です。
やって来ても、何もいわずにちょこんと座るだけ。「おお、来たんな」となでても、目を細めるだけ。離れれば静かに動き、キャネットのところに行ってカリカリ食べるだけ。そんな様子は生まれてからずっと変わりません。

「犬は自分のことを人間と思っている。猫は自分のことを神だと思っている」という言葉を読んだことがあります。なるほどここでいう神というのは、オディールのようなねこかも知れません。
遠藤周作の代表作『沈黙』。特に宗教を持たない私はこの本を宗教と人間を考える時のベースにしていますが、作中の「神よ、なぜあなたは何もいわないのか」というパドレのリフレインに神というものの本質を感じます。
決して語らないがゆえに人をひきつける。神と世界の片隅で暮らす一匹のねこを並べてはなんですが、この点において両者はよく似ています。

しかし現在のオディールは、まるでよそのねこのようです。
ほかの三姉妹に遅れてお腹が脹らんだオディールは、6月の中頃の土曜日、こねこどもあふれる部屋に入って来ました。何やら探しているような様子に、いよいよ産むのだなと思ったものです。
その晩、ほかのこねこどもと私と寝たオディールのお乳に、甥や姪であるこねこが吸いつきました。最初はまとわりつくこねこをフーッと威したオディールでしたが、その時はもうどうでもいいように静かに吸わせていました。まったくどこまでも流れに身をまかせっぱなしのオディールです。
しばらくすると姿を消したので、ほかの姉妹と同じく部屋の中の見えないところに産んでいるのだろうと思っていました。ところがそうではなかったのです。

月曜だったか、ドアのところに現れたオディールは、テレビで見る妊娠中の牝馬のように横に広かったお腹を少しぽこんという程度にへこませていました。何か何頭か出てまだ入っているというような感じでしたが、いつもと同じようにキャネットを食べ、またどこかに消えていきます。
もう2週間ほど経っていますが、オディールの子はまだ見つからず。近所の人何人かにきいてみても、わかりません。追跡もしてみましたが、狭いところに入り放題のねこをまさか人間が追い切れるものではありません。
ただ、いつも東の方向から現れるところから、そっちに子どもがいるのではないかとにらんでいます。オディール自身はしばらく部屋に入って来ず、庭にいて以前と変わらぬ静かさで過ごしています。
最近オディールに会うたびになでながらきくのは、「おめえ、子どもどこにいるんだよ」。もちろんオディールはだまってなでられているだけです。

風呂上りにつまみの「ごちそう」を持って来る時、オディールがついてくるとほかより上等なアジの頭などを投げてやるのですが、なぜかそうするとアジから離れてキャネットをかじりだし、ほかのねこどもにアジを奪われます。控えめなのか、それともキャネットの方が好きなのかはわかりませんが、ねこの行動はこういうところがよくあります。

これからオディールの子が出てくるのか来ないのかはわかりません。
そんな中、子どもの頃から蛇口から水を飲むのが五きょうだいで一番うまかったオディールの子がするすると流し台を駆け上がる姿を思い浮かべると、何だか少し楽しくはなるこの頃です。
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月曜の雨の朝、クライフェルト駆ける ~気になる音で成り立つ身の回り地図

2005-07-05 02:15:40 | ねこ
今日は、猫の話です。

日曜の夜は仕事が朝までになり、時間がちょうどいいのでたまっていたごみを豪雨の中、家から200mほどの屋根のある収集所まで行きました。
あいにくの天気に、庭にねこどもの姿は見当たらず。雨の午前6時にしては明るい朝を傘をさして歩き出すと黒にゃんと点にゃんがそこらから出てきましたが、悪天候のためか家の裏で待機を決め込みました。
いっぱいの燃えるごみ置き場のてっぺんに袋を置いて戻ると、私が見えたあたりで2頭の黒ねこは「にゃあにゃあ」と鳴き出します。「わかったわかった」とやつらに近づいた頃、収集所隣のSさん宅の藪から、「ニャー…、ニャー…、ニャー」。降り返るとうちのクライフェルトが出てきて、一目散に駆け出しました。
近づいてくるのに一目散という言葉が適切かはわかりませんが、とにかくわき目も振らずに走ってくるクライフェルトはまるで名犬ラッシー。狩りをする動物で瞬発力はあっても持久力のないねこは長距離を走る時はピッチ走法が普通ですが、全身を使った大きなストライドで、「ニャーニャー」いいながらやって来ました。こちら1人と2頭は唖然として見守るばかりです。
ゆったりとしたような一瞬のような雨の朝の何秒かが過ぎ、たどり着いたクライフェルト。私のところまで来ると顔を見上げ、「にゃー、にゃー」といいました。
何がしたいのかよくわからぬまま、「来たんな、来たんな」と頭をなでるとまた「にゃー」。とくにこれといった用事はないようなので1人と3頭で家に戻り、ドアの前に来ると散らばっていたキャネットをカリカリ食べ始めます。

それから風呂に入り、さっきクライフェルトが長い脚を使ったSさん宅~自宅間のコーナーつき150mを窓からながめて考えたのは、なぜやつは私がいるのがわかったのかということでした。
目で見て確認したのなら、私が通り過ぎたあたりでよくそこにいる銀にゃんがするように伴走するはずです。しかしタイミングからすると、黒にゃんと点にゃんの声を聞いたから出てきたとしか考えられないし、極度の近視だというねこに150m先から目で見てわかるとは思えません。
昨年読んでもっとも刺激的だった本の一冊、日高敏隆さんの『動物と人間の世界認識』で知ったユクスキュル「環世界論」によれば、「動物が生きているのは、彼らの環世界の中であって、意味のない客観的な環境の中で生きているのではない」。つまり、動物たちは自分の感覚器と意味からできた世界で生きている、クライフェルトが私がいることを知ったのは、やつ自身が知っている泣き声が自宅の方から聞こえ、その情報からすると「私がそこにいるに違いない」と判断したとみるのが正しいのではないでしょうか。
もしそうなら、前回の猫の話の謎、なぜやつらは犬がいることがわかるのかということも説明できるような気がします。
そういえば、銀にゃんの前に私の家の担当だった三毛猫にゃおんについて、やつと仲がよかった祖母がこういっていました。「不思議なんだよ。こっち(母屋)の前にいて突然あっちのうち(私のいる離れ)に行くことがあって、そうすると必ず少し経ってM(私のこと)が出て来るん。何でわかるんかね」。
私はにゃおんに前の晩食べた魚の骨をやるのが日課でした。母屋と離れの間は10m。50m先のねずみがわかるというねこにとって、物音から私が出る様子を感じ取るのはそう難しいことではないはずです。
気になる音で成り立つ身の回り地図とは、どんなものでしょう。見るのではなく、ぜひ一度聞いてみたいものです。

と、まあそんなことを考えた豪雨の朝でしたが、土曜の夜に録画したサッカーをみて遅い眠りにつく私の周りにはいつものごとく何頭ものねこどもが寄ってきました。今朝はクライフェルトもいます。こねこどもがいても強引にお腹に上がってくるやつに、「今日は遠くから来たんな、Sさんちの方から来たんな」と語りかけました。
そしてこれから、やつが乗っかった時、「あの時遠くから来たんな、Sさんちの方から来たんな」と繰り返すことが何度もあるに違いありません。
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脱出! やつらにとっての人間の個体とは?

2005-06-22 02:46:48 | ねこ
4月頃生まれたカロンタン3世世代ですが、土曜だったか、庭に出るとうち2頭、黒いのと灰色のが部屋を脱出していました。
もとより、親世代が自由に出入りできるよう、窓が一枚開けてあり、昇りやすいように棒も立てかけてあるのですが、2ヶ月半で世界を広げる気になったようです。
ねこ世界の拡大については、またの機会にしますが、今回は、やつらが人間個体をどう認識しているのか
という疑問について書きます。
部屋にいると、寄ってくる同一ねこが、外だとまるでよそよそしいのです。人間なら、「まじい、見つかっちまった」というところでしょうが、人間的な善悪のないねこ、ましてはじめて外に出て、しかられたこともないねこに、まじいも何もあったものではありません。
かつて、カロンタンが冬に家出した時も、なかよくしていた記憶がクリアされたかのように、近づくのに3日くらいかかったことも思い出します。
人間の子どもでも、普段と違う服装の父母がわからないということはありますが、やつらをみていると、部屋のソファにいる自分と、外で動いている自分とを別のものとして認識しているとしか思えないことがままあります。
しかし、同じ部屋に来る人間も、もちろん知らない人が来れば逃げて行くし、その人間が親しそうに長時間いると、安心したのか寄って来ます。
一方、周辺ねこでも付き合いの長い銀にゃんは、ゴミ出しに行く時、家から20mほど離れた近所の家から出てきて、明け方の散歩に合流ということも度々。これは単に、個体による認識力の差ということなのでしょうか。
もっとも、ねこは知っていてもとぼけるくらいは、それこそ“キャネット前”ですが。
謎は深まるばかりです。

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犬接近―なぜ、ねこはそれがわかるのか

2005-06-21 03:15:52 | ねこ
数日前の昼のことです。
仕事でパソコンの前にいると、窓の外で耳慣れぬ「ウー」という唸り声。一瞬前まで平和をむさぼっていたねこどもは、一目散に逃げ出しました。
見ると白い犬が、口を開けてはあはあ。田園地帯ではよく見られる、飼い主の意思か何か間違いか、脱走しての犬の単独行動です。
まあ、犬の方もさほどひまではないようで、すぐに立ち去りましたが、犬など見たこともないねこどもはどうしてそれが危険な生き物だとわかるのでしょう。
50m先のねずみも認知するというほど、ねこの耳がいいことは知っています。
ですが、田舎ゆえに大音量できくレッド・ツェッペリンにもまったく動じないやつらが、小さな犬の息遣いにも、これだけ反応するのは不思議です。
そういえば、まだ家のねこがカロンタンだけで、まだ引きこもり気味だった時、ビデオでみていた映画の赤ん坊の泣き声に異常なほど反応していたのを思い出します。
人間とねことをひとくくりにするのも何ですが、私としてはかつて読んだ、『子どもはことばをからだで覚える―メロディから意味の世界へ』正高 信男著、中公新書 で扱っていた問題、からだとことばの問題。ねこの場合はことばではありませんので、生まれつき備わっている、からだと行動の問題に大きく関わっているような気がします。
試しに今、パンと手を叩いたり、唇をプルプルプルとさせたり、「うー」と唸ったりしてみましたが、「何だこいつは」といった感じでこっちを見ると、なぜだか何頭か寄って来ました。
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