「化学変化」「状態変化」、そして「哺乳類における認識の変化」 01/25 13:10
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なんだかんだとあって先週日記は木曜にずれ込みました。「ラジオその2」は先送りです。
アーカイブは、「キャー」の行き先を考察した『アイドル』(http://runjuku.yu-yake.com/simpleVC_20090129145126.html)
●1月
19日(月)晩は同級生M君宅に。菓子屋N君一家も来て1歳児自由に歩くに驚く
20日(火)仕事はかどる~中1スキー教室で塾はなし~前節アーセナル:ボルトンの後半。メキシコの若いやつがよくなってきた
21日(水)昼はいろいろ晩は塾。受験勉強の合間に中3前週借りた絵本観賞。笑う~久々にみたバルセロナ:デポルティーボは前半で3点入ってしまったのでそこまで
22日(木)昼は仕事少しで基本うだうだ~余裕あったので、昨年できたスマーク伊勢崎で『チェ 28歳の革命』はストイック。行きに寄ろうと思った常勝軒を目指したが、多分3回目くらいで見つからず、時間ないのでスマーク内の助屋*という店で醤油ラーメン580円。帰りに、ひょっとしてここかなと一本深谷寄りを曲がってみるとついにあった常勝軒。同じ国道に沿いにある2軒のファミリーマートにだまされたとはいえ愚かだった
23日(金)塾は高1M君でネットバンク手続学習と映画研究は前に録画したAFIヒーローもの~久世光彦『飲食男女』読了
24日(土)退職後声楽やってる叔父がコンサートというので前橋へ。いとこなどにも久々に会う~前橋・めの娘三俣店*で味噌ラーメン600円~晩は、同級生M君ほか総勢5名で雷文→ワインマーケットカゴハラ
25日(日)東方・長崎ちゃんめんでちゃんめん651円~競馬はAJCCで27,530円的中~相撲千秋楽対決みながらおでん作成。関西でおなじみ、牛すじというのを入れたかったのでベルクで2パックだけ売ってたのをそのまま入れる。煮てたらほとんどかたち残らず~自宅映画は何回かに分けてみた残り20分の鈴木清順『けんかえれじい』と溝口健二『赤線地帯』のクラシック2作。やっぱりすごい
【カウンター09】
ラーメン3/10(*2/5) 外飲み1/7 アウェイ飲み1/1 読了本1/1 劇場映画1/2 自宅映画&長編ドラマ2/3 自宅サッカー1.5/3.5
※ラーメンは「*=初食店」という分類も始めてみました
雨が多い中、うろちょろした日々。今週もここまですでに映画2本で映画づいてきました。気づいたことを羅列します。
◆『チェ 28歳の革命』
ソダーバーグはアメリカ出身の現役監督ではもっとも好きな一人。驚嘆のテクニックにはいつもしびれさせてもらってきました。さらに若手ではもっとも期待する俳優ベニチオ・デル・トロとがっぷり組んで描いた革命の英雄の前生涯は拍子抜けするほど地味なつくりで、モノクロで描いたNYシーンの方がかえって派手にみえるほど。どうやらソダーバーグ+デル・トロの思惑は、いわば「英雄像のオーバーライト」なのではないでしょうか。
革命は熱狂的と思われがちです。しかし、どうなるかわからないまま理想を旗印に突き進んでいくという「作業」は、愚かさを現出させる仲間や新参者の取り込み、そして長く終わりないようにみえる行軍など、われら後続が考える以上に「だるい」ものなのではないでしょうか。クライマックスの何とかいう都市の陥落シーンさえ、画面に爆発的な熱狂はありませんでした。
そしてその「だるさ」が、作品を通じてだんだんとゲバラに“なっていく”デル・トロのすごみを、存分に感じさせる結果になっているのです。
『別れの手紙』はこれからですが、この地味さがすばらしい作品に「急展開」「大作」といったありきたりな惹句しか載せられないことは、「映画」という文化にとって悲しいことといわざるを得ません。
◆1月16日付毎日新聞夕刊の岸田秀
(1ヶ月は参照可:http://mainichi.jp/select/wadai/news/20090116dde012040011000c.html)
ちょっと前の新聞を読んでなかったので読みました。
大学では哲学を専攻したOBのI君にいつだったか、「センセイがもっとも影響を受けた考えは何ですか」などときかれたことがあり、ちょっと考えて、一番衝撃が大きかったのは20歳ちょっと前に読んだ岸田秀の「唯幻論」かな、と応えたことがあるほどの岸田秀ですが、何しろ何を読んでも「人間は本能の壊れた動物である」からの演繹なのでしばらく読んでなくて、インタビューとはいえしばらくぶりにその考えに触れました。
オバマ就任の熱狂に対して、「可能性は少ないと思うが、危機打開に成功して、公約通りに“CHANGE”を実現すれば、米国は大変なことになりますよ」と、キリスト教公認後のローマ帝国を例に引き、
・・・
「ローマ帝国の先例が現代の米国にあてはまるかどうかは、もちろんわからないが、従来の支配構造に執着する白人層と、差別のない社会への希望を抱いた非白人層に分裂し、第二次南北戦争が起こりかねません」。それを免れる唯一の道は、米国を支配してきた白人層がその権力意識、差別意識を本当の意味で克服することだが、そんなことが果たして可能かどうか--。「できそうにない」と岸田さんはみているようだ。
・・・
といい、さらに戦後日本の対米関係における自己欺瞞に言及します。
いやあ、いくらなんでも、そうまでいうか、というのが率直な印象ですが、ひとまずおぼえておこうと思いました。
◆1月28日付毎日新聞朝刊の鹿島茂『引用句辞典』
アダム・スミス『道徳感情論』を引いた米国発金融危機の話。
「アメリカ的な精神風土においては、強欲的な金儲けというもの」が「大リーグにおけるハッスル・プレーと同じようなフェア・プレーにのっとった『善』として賛えられている事実」を指摘し、「『悪』ならおのずと限度があるが、『善』だと限度がないという、共産主義社会において観察されたパラドックスが、資本主義においてもまた確認されてしまった」としています。
ここまでの三つから考えたのは、わかりやすい「単純さ」から生まれるものにろくなものはないのではないか、というよく考えることでした。
複雑この上ない社会で「うまくやる」ために必要なのは、やはり「複雑さ」なのだと。そこで、火曜にみた、今年ナンバーワンも十分な映画表現のことを考えました。
◆『シャイン・ア・ライト』
高校の友人がメールを送ってきて、絶対劇場でみろというので、セドリック・クラビッシュ『PARIS』と悩んでこちらを選択しました。
ローリング・ストーンズはさすがに1回目と2回目の来日には行きましたが、正直もうほとんど関心は失っていたのですが(参考:http://blog.goo.ne.jp/quarante_ans/e/57e830753d5180ffcbd89bf982b22476)、これにはまいった、降参です。
マーティン・スコセッシの音楽映画といえば、やはりドキュメントとして優れていた『ラスト・ワルツ』ですが、これは素直に「技術」の進化を祝福したい。『ラスト・ワルツ』では使われていなかったクレーン、最高レベルの照明、すべてを知り尽くしたカメラワークが、この「現存する地上最古のロックバンド」の「今」をこの上ないかたちで「記録」しています。
そんなに知らなかったバディ・ガイはじめゲストもすごい。そしてミック・ジャガーはじめメンバーの妖怪ぶりがなければ、いくら技術があるといってもこの傑作にはならないことはいうまでもないでしょう。
というわけで、ロックンロールなら「単純さ」も武器になると、でも、それを支えているのは、恐ろしく「複雑に」計算された技術なんだということになるのでした。
さてもう一つ、胃が痛い金曜、ねこといっしょに読み終わったこの小説集から著者と関係深い向田邦子『あ・うん』にも触れたエピローグから一節を。
◆久世光彦『飲食男女』から引用
結局、その夜ぼくたちが交わした言葉は、それだけだった。それ以外の長い、長い時間―ぼくたちは、それぞれ、おでん屋の親爺の肩越しに見える冬の夜空に、一人の女の人のキラキラ炯る目を見ていたのだろう。まだ春は遠かった。けれど、しばらく俯いて、やがて春が来れば、ぼくたちは、きっといまよりも温かい呼吸ができるようになるだろう。
この一段落の「単純」の、何と「複雑」なことか。
(BGMはAccuradio Multichannel で今は冬が似合うドボルザーク Slavonic Dances http://jp.youtube.com/watch?v=QJp8cRLmqb0。今日最大の発見は超絶のギター、オルガントリオ、Pat Martino の Oleoby http://jp.youtube.com/watch?v=Ql_bHgaQQZE&feature=related)
負けるなよ、季節外れの派遣労働者 01/25 12:06
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雨上がりの半魚ねこ。夕方には全ねこに戻ってました 01/23 12:53
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なんだかんだとあって先週日記は木曜にずれ込みました。「ラジオその2」は先送りです。
アーカイブは、「キャー」の行き先を考察した『アイドル』(http://runjuku.yu-yake.com/simpleVC_20090129145126.html)
●1月
19日(月)晩は同級生M君宅に。菓子屋N君一家も来て1歳児自由に歩くに驚く
20日(火)仕事はかどる~中1スキー教室で塾はなし~前節アーセナル:ボルトンの後半。メキシコの若いやつがよくなってきた
21日(水)昼はいろいろ晩は塾。受験勉強の合間に中3前週借りた絵本観賞。笑う~久々にみたバルセロナ:デポルティーボは前半で3点入ってしまったのでそこまで
22日(木)昼は仕事少しで基本うだうだ~余裕あったので、昨年できたスマーク伊勢崎で『チェ 28歳の革命』はストイック。行きに寄ろうと思った常勝軒を目指したが、多分3回目くらいで見つからず、時間ないのでスマーク内の助屋*という店で醤油ラーメン580円。帰りに、ひょっとしてここかなと一本深谷寄りを曲がってみるとついにあった常勝軒。同じ国道に沿いにある2軒のファミリーマートにだまされたとはいえ愚かだった
23日(金)塾は高1M君でネットバンク手続学習と映画研究は前に録画したAFIヒーローもの~久世光彦『飲食男女』読了
24日(土)退職後声楽やってる叔父がコンサートというので前橋へ。いとこなどにも久々に会う~前橋・めの娘三俣店*で味噌ラーメン600円~晩は、同級生M君ほか総勢5名で雷文→ワインマーケットカゴハラ
25日(日)東方・長崎ちゃんめんでちゃんめん651円~競馬はAJCCで27,530円的中~相撲千秋楽対決みながらおでん作成。関西でおなじみ、牛すじというのを入れたかったのでベルクで2パックだけ売ってたのをそのまま入れる。煮てたらほとんどかたち残らず~自宅映画は何回かに分けてみた残り20分の鈴木清順『けんかえれじい』と溝口健二『赤線地帯』のクラシック2作。やっぱりすごい
【カウンター09】
ラーメン3/10(*2/5) 外飲み1/7 アウェイ飲み1/1 読了本1/1 劇場映画1/2 自宅映画&長編ドラマ2/3 自宅サッカー1.5/3.5
※ラーメンは「*=初食店」という分類も始めてみました
雨が多い中、うろちょろした日々。今週もここまですでに映画2本で映画づいてきました。気づいたことを羅列します。
◆『チェ 28歳の革命』
ソダーバーグはアメリカ出身の現役監督ではもっとも好きな一人。驚嘆のテクニックにはいつもしびれさせてもらってきました。さらに若手ではもっとも期待する俳優ベニチオ・デル・トロとがっぷり組んで描いた革命の英雄の前生涯は拍子抜けするほど地味なつくりで、モノクロで描いたNYシーンの方がかえって派手にみえるほど。どうやらソダーバーグ+デル・トロの思惑は、いわば「英雄像のオーバーライト」なのではないでしょうか。
革命は熱狂的と思われがちです。しかし、どうなるかわからないまま理想を旗印に突き進んでいくという「作業」は、愚かさを現出させる仲間や新参者の取り込み、そして長く終わりないようにみえる行軍など、われら後続が考える以上に「だるい」ものなのではないでしょうか。クライマックスの何とかいう都市の陥落シーンさえ、画面に爆発的な熱狂はありませんでした。
そしてその「だるさ」が、作品を通じてだんだんとゲバラに“なっていく”デル・トロのすごみを、存分に感じさせる結果になっているのです。
『別れの手紙』はこれからですが、この地味さがすばらしい作品に「急展開」「大作」といったありきたりな惹句しか載せられないことは、「映画」という文化にとって悲しいことといわざるを得ません。
◆1月16日付毎日新聞夕刊の岸田秀
(1ヶ月は参照可:http://mainichi.jp/select/wadai/news/20090116dde012040011000c.html)
ちょっと前の新聞を読んでなかったので読みました。
大学では哲学を専攻したOBのI君にいつだったか、「センセイがもっとも影響を受けた考えは何ですか」などときかれたことがあり、ちょっと考えて、一番衝撃が大きかったのは20歳ちょっと前に読んだ岸田秀の「唯幻論」かな、と応えたことがあるほどの岸田秀ですが、何しろ何を読んでも「人間は本能の壊れた動物である」からの演繹なのでしばらく読んでなくて、インタビューとはいえしばらくぶりにその考えに触れました。
オバマ就任の熱狂に対して、「可能性は少ないと思うが、危機打開に成功して、公約通りに“CHANGE”を実現すれば、米国は大変なことになりますよ」と、キリスト教公認後のローマ帝国を例に引き、
・・・
「ローマ帝国の先例が現代の米国にあてはまるかどうかは、もちろんわからないが、従来の支配構造に執着する白人層と、差別のない社会への希望を抱いた非白人層に分裂し、第二次南北戦争が起こりかねません」。それを免れる唯一の道は、米国を支配してきた白人層がその権力意識、差別意識を本当の意味で克服することだが、そんなことが果たして可能かどうか--。「できそうにない」と岸田さんはみているようだ。
・・・
といい、さらに戦後日本の対米関係における自己欺瞞に言及します。
いやあ、いくらなんでも、そうまでいうか、というのが率直な印象ですが、ひとまずおぼえておこうと思いました。
◆1月28日付毎日新聞朝刊の鹿島茂『引用句辞典』
アダム・スミス『道徳感情論』を引いた米国発金融危機の話。
「アメリカ的な精神風土においては、強欲的な金儲けというもの」が「大リーグにおけるハッスル・プレーと同じようなフェア・プレーにのっとった『善』として賛えられている事実」を指摘し、「『悪』ならおのずと限度があるが、『善』だと限度がないという、共産主義社会において観察されたパラドックスが、資本主義においてもまた確認されてしまった」としています。
ここまでの三つから考えたのは、わかりやすい「単純さ」から生まれるものにろくなものはないのではないか、というよく考えることでした。
複雑この上ない社会で「うまくやる」ために必要なのは、やはり「複雑さ」なのだと。そこで、火曜にみた、今年ナンバーワンも十分な映画表現のことを考えました。
◆『シャイン・ア・ライト』
高校の友人がメールを送ってきて、絶対劇場でみろというので、セドリック・クラビッシュ『PARIS』と悩んでこちらを選択しました。
ローリング・ストーンズはさすがに1回目と2回目の来日には行きましたが、正直もうほとんど関心は失っていたのですが(参考:http://blog.goo.ne.jp/quarante_ans/e/57e830753d5180ffcbd89bf982b22476)、これにはまいった、降参です。
マーティン・スコセッシの音楽映画といえば、やはりドキュメントとして優れていた『ラスト・ワルツ』ですが、これは素直に「技術」の進化を祝福したい。『ラスト・ワルツ』では使われていなかったクレーン、最高レベルの照明、すべてを知り尽くしたカメラワークが、この「現存する地上最古のロックバンド」の「今」をこの上ないかたちで「記録」しています。
そんなに知らなかったバディ・ガイはじめゲストもすごい。そしてミック・ジャガーはじめメンバーの妖怪ぶりがなければ、いくら技術があるといってもこの傑作にはならないことはいうまでもないでしょう。
というわけで、ロックンロールなら「単純さ」も武器になると、でも、それを支えているのは、恐ろしく「複雑に」計算された技術なんだということになるのでした。
さてもう一つ、胃が痛い金曜、ねこといっしょに読み終わったこの小説集から著者と関係深い向田邦子『あ・うん』にも触れたエピローグから一節を。
◆久世光彦『飲食男女』から引用
結局、その夜ぼくたちが交わした言葉は、それだけだった。それ以外の長い、長い時間―ぼくたちは、それぞれ、おでん屋の親爺の肩越しに見える冬の夜空に、一人の女の人のキラキラ炯る目を見ていたのだろう。まだ春は遠かった。けれど、しばらく俯いて、やがて春が来れば、ぼくたちは、きっといまよりも温かい呼吸ができるようになるだろう。
この一段落の「単純」の、何と「複雑」なことか。
(BGMはAccuradio Multichannel で今は冬が似合うドボルザーク Slavonic Dances http://jp.youtube.com/watch?v=QJp8cRLmqb0。今日最大の発見は超絶のギター、オルガントリオ、Pat Martino の Oleoby http://jp.youtube.com/watch?v=Ql_bHgaQQZE&feature=related)
負けるなよ、季節外れの派遣労働者 01/25 12:06
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雨上がりの半魚ねこ。夕方には全ねこに戻ってました 01/23 12:53
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