小林真 ブログ―カロンタンのいない部屋から since 2006

2006年開設の雑記ブログを2022年1月に市議当選でタイトル更新しました。カロンタンは40歳の時に飼い始めたねこです

ちゃんとでなく『EUREKA』、かみなりでティー(07/20~26)

2009-07-29 02:29:15 | 週間日記
日食の朝、地上でも球体が一列 


今回は一週分。火曜深夜になった先週日記です。

●7月
20日(月)塾も中止になったので、星野のカレーうどんをつくって阪神:ヤクルトをみる
21日(火)昼に中1Eリ君が来て夏休み塾~晩は同級生Mト君一家、その取引先Iワさん母子と誕生日セットがある大寄・たからやへ。受験の話ほかいろいろだが、18歳になるIワさん娘が「お古で悪いけど」とプレゼントに持ってきた幼稚園時代の色鉛筆セットを「そんなに昔の…」といってたが、考えてみるとそれは実は1997年というちょっと前でそう思えるおとなは笑う~Mト君宅に泊。WOWOWで日曜にやってた『大YAMATO零号』というのをコピーしてって1話半くらいみたが、ストーリーはまったく頭に残ってない。うちにもとってあるが、みないだろうな
22日(水)朝帰ると競馬の達人から連絡あり、これから寝るのでその前にということで電話打合せ~いったん風呂に入って、アマゾンから海を越えて来た Claudia Villela, Kenny Warner "Dreamtales"(2004) 初聴。Mixiミュージックでも、まだ再生メンバーは一人だけ~寝て起きてから原稿~宿酔でキュウリしか食えなかったので、ここは山田うどんの安っぽい冷やした抜きそばを食う絶好のチャンスと向かうがすでに閉店で、安っぽさならひけをとらないはなまるうどんでかけ中盛~TSUTAYAに行って「レコードコレクター」はあったが「ミュージックマガジン」がないので文真堂で購入。Perfume が表紙で、そういえば前回の表紙のときも多分10年ぶりくらいに買い逃した。「レコードコレクター」ともども、もういらないかな、と思いつつ、つい買ってしまう~帰ってライブビート、Stone Roses 1995年のライブを録音。前日の色鉛筆より前なんて吃驚~前に録音したテニスコーツという不思議なバンドのライブもきく~入浴後、映画み始めたがすぐに寝る
23日(木)昼、たまごピーマントマトチーズサンドつくって、牛乳出したらヨーグルト化してたのでトマトジュースに切り替え。冷蔵庫が少し開いてた~突然原稿が入ったので打合せから間にコーヒーその他はさみ4時間で完了はいいペース。新聞切抜きは渡辺裕『考える耳』で「国営マンガ喫茶は無駄づかいか」~買い物で何となく太田へ~まず、ドンキホーテでベンネヴィス980円~本来は初食のハングリードラゴンを予定していたが、なんとなく華月でタンメン+餃子~コジマでVictorのDVD-R50枚1980円。最近、ほかのだとエラー率が高いので冒険はやめた~ついブックオフに寄ってしまい、買わないでいられるかがまん実験も考えたが、やはり負けて100円3冊。山本夏彦『夏彦の写真コラム傑作選1 1979-1991』藤原正彦編、黒井千次『老いるということ』、小川洋子『物語の役割』
24日(金)塾は中1、国語リテラシーでは雑学本を読んで問題作り出しっこ。絵描き歌も流行る~自宅映画何度か途中で寝たがおもしろい清水宏『簪(かんざし)』(1941)から、気合が抜けている方がいいかも知れんと青山真治『EUREKA』(2000)はすごかったけどさすがに途中で寝る
25日(土)暑いけどファイトでラーメンは、麺以外は富士食堂タンメンにもっとも近い尾島・松よし~暑いのでたまらんとベイシアに涼みに行ったら21日に豪雨のうちわ祭でフラを踊っていたという同級生Hトさん夫妻に会う~競馬敗戦~同級生Mト君一家、都内から雷文ハイの噂をきいてやってきたYコさん、Nラさんと、まず雷文@カフェはホルモン焼きはもちろんだが、市内独特の「もんじゃき」が気に入ってもらえてよかった。途中路上カフェで山車を見ていると、通りがかった6月に杉に上がったウー救助依頼のYジ君、その兄で同級生のIミ君は6月の火葬場以来→ワインマーケットカゴハラでさらに飲む~よくおぼえてないが代行で帰った
26日(日)最終日曜ペットの日でキャネットを買いにヤオコーへ。四袋購入~競馬は送信するも間に合わなかった1万7千円が当たるなどちぐはぐで完敗~気を取り直して相撲をみてから天ぷら作成~姉の息子夫婦と話をして早く寝てしまう~起きて『EUREKA』の続き

【カウンター09】
ラーメン2/87 他外食1/26 外飲み2/49 自宅映画2/17 購入CD初聴1/5 購入ウィスキー1/44

いろんなことがあったけど、月曜の昼に家で映画を一本み終わったことを。

今週は2本みて、最初はこのところずっとみてる旧い日本の映画、清水宏1941年作『簪(かんざし)』。
昭和はじめの温泉宿の夏休みは、「本を読みにきている」先生やら子連れやら団体客やらが続きの部屋で過ごしていておもしろい。簪を踏んでけがした泊り客が川の橋を渡るシーン、応援する東京の女、子どもたちのの映像的スリルは何だろう。

その70分も途中で寝てしまって二回に分けてみたのだが、金曜にみ終わったところでずいぶん前に録画したままになっていたこちらは清水宏の約六十年後の2000年作、いつかみようと思いつつ本編3時間37分の長さにたじろいでいた青山真治『EUREKA』。
どうせ寝ちゃうんだからいいやとみ始めて、インターンミッションも過ぎ、その夜は2時間10分くらいで寝た(内容は Yahoo映画)。ただ、静かに、周到に、積み重ねられる、シネマスコープのサイズを活かした見事な絵に見とれていただけの映画時間。夜の光は嘘のように闇に伸び、なぜか登場する女性の誰もが身につけている長めのスカートの揺れ方は一時のヒッチコック作のように完璧だ。でもどんなにひきつけられていても寝る時は寝てしまう。残り1時間半は、月曜の昼になった。

間が開くと映画も間延びする。でも、それはそれで味はあるからおもしろい。映画でバスに乗った四人も、思い切り間延びした時間を過ごしていたはずだ。
み始めたらねこのティーも来て、テレビの前で伸ばしていたお腹の上に乗った。それからわずかだったと思う。空がごろごろいって、もうめずらしくはなくなったゲリラのような大雨が降り出した。
目の前にシネスコの揺るぎない映像、お腹の上にはティーがごろごろ、外ではばらばらばらという雨。なかなか味のある取り合わせだった。
その時、雨音でよくきこえなくなった29型ブラウン管のスピーカから、いや、画面の中のモノラルラジカセからきこえてきたのは、よく知っていて大好きなこの曲だった。

Jim O'Rourke "Eureka"
http://www.imeem.com/people/WADvoM/music/zkAgUB7d/jim-orourke-eureka/

ラジカセの音としてバスの中で鳴った曲は、やがてバスが海岸線を走る絵の時にはサウンドトラックになっている。そして、音楽はきこえていないだろうにぴったりとシンクロする白い浜辺のシーン。十年前、まだ『篤姫』を知らない白い砂の上に横たわっていたジャージのラインの潮の線に垂直にまじわり海とコントラストを描く宮崎あおいが立ち上がり、海に入っていく……。

 ちゃんとでなく『EUREKA』をみると、かみなりとティーとジム・オルークがいっしょになる。
 そうだった、「ユリイカ」はギリシア語で

 「見つけた」

(BGMはもちろん Jim O'Rourke "Eureka"。ただし、ライブビート実況録音の渋谷で最初にきいた、カヒミ・カリイがフランス語で歌う大友良英NJOのヴァージョンもまさるともおとらず)
http://www.imeem.com/people/eYVyq4L/music/hhLeJUi9/otomo-yoshihides-new-jazz-orchestra-eureka/

「07/20の闘い」シリーズはスライドショーにしました


「朝の部」05:22:48~05:26:38
スライドショーは http://picasaweb.google.co.jp/quaranteans293/09072002?feat=email#slideshow


「夕の部」18:39:20~18:40:10
スライドショーは http://picasaweb.google.co.jp/quaranteans293/090720?feat=email#slideshow


日食の朝、1/6秒の平和 07:06
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"so"~How can I explain...(06/29~07/19)

2009-07-20 23:49:23 | 週間日記
雨上がりの日陰に 07/06 13:07


とくに忙しいということもありませんでしたが、また3週間分たまってしまった週間日記です。

●6月
29日(月)塾でテスト勉強~『眠狂四郎 殺法帖』(1963)は市川雷蔵かっこいい
30日(火)夕方から電話取材~塾でテスト勉強~終わって同級生Mト君と雷文
●7月
1日(水)昼は買い物。クーラントなどや、セイユウでフォアローゼスとクレイモアともに980円~OB・Mマ君とMト君宅へ~塾でテスト勉強~この日か、自宅で増村保造『大悪党』(1968)はやはりとんでもない映画
2日(木)テスト勉強最終日~時間ちょうどよかったので熊谷マイカルへ。その前に山田うどん熊谷407号バイパス店で冷やしたぬきそば。もう完全にファミレス化している。映画はスティーブン・ダルトリー『愛を読むひと』。この監督の映画は3作とも劇場でみたが、ロマン派でもブルックナーあたりの派手さはないがいつの間にかきいてくる交響楽という感じがする~帰ってOBのMマ君、Mダ君登場
3日(金)最終日なのでシネマテークたかさきでC・クラピッシュ『Paris』。群像劇の巧みはいつも通り。撮影ではJ・ビノシュの寝室でなくパーティシーン、いつもの安定感あるキャメラを崩して、ゆるいフォーカスのアップにうなる~到着後時間あったのですかやでもりそば~終わって、これは「と」を「も」と読み違え、他店では食べたことあるともや高崎店*で味噌ラーメン~帰って中1塾。テスト終了もあり、数独もやってけっこう盛り上がる~ティーが吐いて熱が出る
4日(土)翌日はソフト大会があるので、ティーとOG・Sさんのだんなさんが働く本庄の動物病院に~晩は高2Mイ君が来て物理~夜半、注射が効いたらしくティー回復
5日(日)朝6時という稀な時間に地域ソフト大会のため公民館に。しかし前日の豪雨で中止~帰っていったん寝直し~4時から慰労会だけあるので競馬は重賞だけにしたら、札幌の函館スプリントS、降着もあって個人史上最高配当を更新する24万7900円が的中~慰労会~少し寝てたらMト君から連絡ありワインマーケットカゴハラに。福山ライブ帰り奥方の運転で帰る~在ベトナムOB・I君とスカイプで話~姉の息子がいたのでさらに飲む

・・・

6日(月)夜、長崎ちゃんめんで味噌ちゃんめん
7日(火)右耳が詰まったので籠原の耳鼻科へ。薬は出なかった~セイユウへ行ってベル980円と紹興酒花彫8年~塾は先週いっぱいやったので中止~夜、同級生Mト君夫妻と雷文へ。ワインマーケットのスタッフ2名、ビデオのSキさん、弟の同級生のAキ君に会う
8日(水)昼、Mト君と熊谷・加賀屋食堂*でラーメンセット
9日(木)昼は原稿~夜は伊勢崎MOVIXへ。まず、藪塚方面に行き、目についたラーメン屋・龍門*で大盛ラーメン~ウッディ・アレン『それでも恋するバルセロナ』。女優の使い方のうまさは、いわば“穏やかなのに狂気ばしる;もちろんペネロペ・クルスの役どころがではありません”最上のアーティストぶり
10日(金)アマゾンから来た泉昌之久しぶりの新作『天食』。さすがだ~春に高崎でみた『ロシュフォールの恋人たち』が深谷に来たので同級生Mト君を誘ってみにいく。おもしろい、このおもしろさは考えてみると、いま『巨人の星』をみて感じるのと同じ構造ではないかなどと話す~晩は中1塾。「ラジオ版学問のススメ」を教材に国語リスニングは少し改良の余地あり~7月にして今年発新譜購入、Sonic Youth "The Eternal" 聴了
11日(土)まず、試しに半額クーポンをダウンロードしたのでTSUTAYAへ。レンタルするのは久しぶりでCDを6枚は未聴の日本人、アナログ所有名盤、クラシック名盤という作戦で:くるり『ワルツを踊れ』、ゆらゆら帝国『Sweet Spot』、あぶらだこ1st、ピンク・フロイド『狂気』、PFM『幻の映像』、バーンスタイン+NY響『マーラー「巨人」』~馬券買ったら福島10Rで5万2850円的中~夕、買い物に出る。セイユウ:ジム・ビーム980円とビール、コジマ:DVD、CDメディア、USB延長コード、セキチュー:重量ブロック、秋食べるようにナス、キュウリ、ついでにバジルの苗、レンジでじゃがバター(http://www.ebisu-grp.co.jp/news/pdf/0709-jagabata.pdf)、コピー用紙、ラップ~四華郷で味噌ラーメン~夜はまず、ソニック・ユースを買おうとしてアマゾンの「2枚買ったら10%OFF!」戦略にやられて購入の Super Furry Animals "Dark Days/Light Years" 聴了~WOWOWで録画の蔵原惟繕『黒い太陽』(1964)のかっこよさには驚いた
12日(日)前日買ったDVDメディアがレコーダでエラーが出たので、PC用にして別のを購入に向かう。途中、のび太のつもりを変更して確認に山田うどんで天ぷらうどん。かき揚げが揚げたてになったというが~前日の当たりで馬券は買う方向でいくが、その他は当たらず~阪神:巨人の放送もあるしと天ぷら揚げる。メンバーはすべて前の畑出身:ジャガイモ、ナス、ピーマンのナス科トリオにシソ~ヤフーオークションで購入の Advantage Lucy『ファンファーレ』(1999)+シングル聴了~ワイン飲んでたら寝てしまう

・・・

13日(月)夕方、うっかり引落にならなかった自動車保険の支払で熊谷へ。再契約になったので変更しようとしたらネットバンクは使えないらしい~永楽で味噌ラーメン+餃子~駐車場のため、エイシェントクラン1080円~夜、同級生Mト君と雷文へ
14日(火)晩は塾。夏休み近し~恒例電話取材
15日(水)前夜途中で寝て原稿~シネマテークたかさきでやっていた劇場でみたのは初めてのカラックス『汚れた血』。すでにクラシックなのだということが新たな驚き~近くの麺家かもん*でラーメン
16日(木)暇だったので深谷シネマで3本立て敢行:入江悠監督短編集~入江悠『サイタマノラッパー』。作品は初めてみたが地元出身ということでなく、これは若きすばらしい才能。卒業制作のむだのない編集、途中のバイクシーンは前日みたカラックスへのオマージュか。そして最新作は、監督自身がファンらしいカサヴェテスを髣髴させた~ササイでフォアローゼス1000円~『小三治』はドキュメントの教科書のよう~帰りに連絡あり同級生Mト君とその近所の若き地域人H君がいた雷文へ~帰って前日録画したMLBオールスター。やはりおもしろい。しばらくぶりにみたフランシスコ・ロドリゲスは、恰幅がよくなっていたが貫禄がなくていい
17日(金)朝、前夜置いてきた車を取りにくるりんに乗車。バス停でパチンコ屋に行く知らないお年寄りと話。乗ったら立つ人もいるほど乗客がいてびっくり~晩は塾
18日(土)競馬は当たらず~家でうだうだしてたら、夜、同級生Mト君夫妻から誘いがあり雷文へ
19日(日)姉の息子キックボクシングの試合で大森へ~暑かったが気を取り直し、着いて駅反対側を歩いて見つけた惣五郎*で一番最初ルールに則り味噌ラーメン~プロ2戦目は惜しくも判定負け。ランカーの試合は見応えあった~終了後、時間ぎりぎりで横浜で野球かと思ったが行っても7回くらいなので三鷹・江ぐちに変更~途中調べたら休みらしいので変更して荻窪で駅前焼き鳥~春木屋で中華そばは何年ぶりだろう~帰路、高田理惠子『グロテスクな教養』読了~帰って競馬の確認。ハナ差3着逃し週に2回

【カウンター09】
まとめて、ラーメン9/85(*4/37) 他外食3/25 外飲み6/47 読了書1/12 劇場映画8/28 自宅映画3/15 購入CD初聴3/4 購入マンガ1/1 購入ウィスキー5/43 万馬券2/10

 読んで心配する人がいるだろうし書こうか迷ったけれど、考えるは考えないよりいいと信じるので、四日土曜にティーと病院に行ったこと、その時に考えたことを書いておきます。
 ご心配なく。ティーは梅雨明けの暑さに少しまいってますけど元気です。

・・・

四月で五歳になったティーは、ほとんど病気になったことのない健康優良中年ねこだ。
だから、七月三日金曜夜に突然吐いてそのへんでうんこもしてしまい、からだも熱く食欲もなかったのでびっくりし、日曜が地域のソフト大会の予定なのでティーの母カロンタンを連れてきたOGのSさんに電話して状態を話すと、「それはきっと病気です。みてもらった方がいいですよ」というので、初めてティーは往復二〇キロの車の旅に出かけた。

ねこを車に乗せたのにはカロンタンとティーのおいのたれ目がいたが、それぞれ好きな場所を見つけることにおいてやつら迷いがない。こっちがいいかな、あっちかなということはなく自分の場所を確定させるもので、たとえばカロンタンはしばらく運転手のお腹の上で道中見回すほどの余裕を見せたが、一度運転席下にもぐりこんでからは帰るまでそこにいた。
それでティーはというと、最初はやはり助手席とお腹の上にいたが、なぜかブレーキそば、フットレスト付近が気に入り、動くとブレーキに影響しそうだと思いつつ、急ブレーキでねこ踏んじゃったらすぐ逃げるだろうからとそのまま進む。ティーのやつは熱もあってあまり活発でないこともあり、道中、危険はなかった。

となり町の動物病院はかつてSさんも働き、昨年結婚しただんなさんが勤めている。受付に行くとSさんが電話してくれて、前にたれ目の手術をしてもらった時のカルテが用意されていた。
知らないわんこやらにゃんこやら大勢いるのでティーはめずらしくびびってにゃあにゃあいい、「免疫が弱っているでしょうから車の中で待っててください」というので、暑いのでアイドリングストップに反しながら、ティーの頭をなでたり本を読んだりしながら待っているとだんなさんのK先生が、「どうも」と迎えに来る。

K先生にはSさんの結婚式の時と二人で旅行のおみやげを持って来てくれた時の二回会っている。でも、この日はあいさつはそこそこにしてティーの状態の話をした。
熱を計って目やお腹をみて、「熱はけっこうありますね、下痢はしてますか。外に出てるんですよね、単なる風邪かも知れませんが他のねことの接触での感染症の可能性もありますから、そうだと重篤です」と適切な診断をくだす。どのような方法があるかときくと、「感染症に効く抗生物質の注射があります、それと感染症の検査もありますが」というので、といっても検査してよくなるというわけじゃないですね、ときくと、「そうですね、数値が出るだけです。それだけですから、その分は注射や薬に回した方がいいかも知れませんね」とこれまた適切な提案をする。
そこで、ぷつんと注射してもらって薬を受け取り、では、と診察室をあとにした。受付で、車の中がいいんですか、ときくと、もうほかにいませんから平気です、午前中の診療時間は終わっている。ティーは病院でも帰りの車の中でも静かで、助手席にいたのは少しの間だけで、だいたいずっとフットレストの隅っこにいた。

車を運転しながら考えたのは覚悟ということ。覚悟ができているつもり、と、覚悟ができている、の違いだった。
普段よく、何事についても覚悟が大事だ、覚悟しなきゃいかんといっているし、たとえば自分が病気になるとか肉親が死ぬとか、そういうこともあると想定して覚悟してきたつもりでいた。もちろんねこについても、外に出せば道で車にぶつかることもあるし、多くのねこと接触するから病気もあるかもしれない。どっか行ってしまうねこもいる。
カロンタンを連れてきたSさんも、今は中で飼う人が多いですよ、ワクチンができるようになるまで外に出さない方がいいですよといってくれていた。しかしこれはこの間も中学生とその母の同級生がいる時にいったことだが、ねこは自分をほかのねこと較べたりしないから、中のねこが外にいるねこをうらやましがったりその反対もないのだから、どっちのねこがかわいそうだとか、そういうことはないと思っている。

たんに私は、外にいるねこが好きなのだ。
やつらが夏の露のにおいがする雑草をかき分けて走ったり、大きくないひばの樹に駆け上がったり、水たまりの水に喉をごくごくいわせたり、真っ暗な闇に不思議な目を光らせたり、秋の月の光の中をいっしょに歩いたり、小春日和に横で陽だまりを楽しんだり。
せっかくの農村暮らし、そういうのが好きなのだ。

ティー自身も外を選んだ。
まだきょうだいたちが中で暮らしていた四年前の涼しくなり始めの頃、PCに向かって仕事してたら、反対側の窓で外をみていたティーが突然、ばっ、と夜の外に飛び出したのを、なぜかその時に振り返っていたのでみることができた。
ほかのきょうだいたちが、なんだよー、どこいってんだよーとでもいうようににゃんにゃんいう前をちょろちょろと歩き回るティー、おめえまだ早いんだよと中に連れてきてもすぐに、ばっ、ちょろちょろ、にゃんにゃんになってしまい、やがて全員外中自由になった。

2009年独立記念日の北関東の午後は蒸し暑い。
帰ってきて、おう、ティー、着いたぞと車から降ろすと、やつはとぼとぼと歩いて行き、柿の樹のそばの日陰に行って寝転がる。苦しい中でほっとしているような、人間の病気と同じ様子だ。
頭をなでていたら、覚悟のことを思い出した。
すぐに元気になるかも知れないけど、ひょっとするとこのまま元気にならないかも知れない。こうやって頭をなでられることも、もうそんなにないかも知れないのだ。

それで、カメラを持ってきてファインダーをのぞく。
今までに何枚このすばらしい毛のかたまりを写してきたろう。感度を決めて絞りを選んで露出を決める、ひざを折ったり地面に這ったりしながらベストのアングルを探し周囲の対象を取り込んで構図を決める、そうしていい瞬間が訪れるのを待ってシャッターを押す。もしかしたら、もうこうすることはあまりないかも知れない。そう思うと、何度も繰り返してきたはずのこうした作業の一つひとつがたまらなく愛しいことに感じられる。
上から横から、いろんな葉っぱを入れたりして、すやすやと息をするティーの画像を何枚か残し、その後で、やっぱり柿の樹の下には置いておけなくなって塾に運んでいった。

晩には物理のテスト勉強に高校生のMイ君が来て、ティーがいつも座るいすを占領していたので別のいすで F=ma を計算した。病院に行ったんだと説明すると、ティーをひざの上に置いて勉強することもあるMイ君も「おとなしいですね」というので、昨日吐いてから何も食わないんだよと答え、いっしょに体温計で直腸温は難しいので皮膚で計ると39度ある。

Mイ君が帰ったので、静かなティーをそのまま残して買い物に出かけた。「缶詰も食べませんか」とK先生がいっていたので、普段のキャネットのほかまぐろとか書いてある缶詰を買った。
その帰り、ゲリラ並みの豪雨があった。明日のソフト大会はどうだろう。けど雨はすぐにやみ、帰ったら傘はいらない。
魚でできたゼリー入りを新聞紙に載せてティーの口もとに置く。だるそうににおいをかいだティーは、しばらくすると、んちゃんちゃとへんてこな色に輝いた魚肉成分をかみ始めた。

おお。
んちゃんちゃ、んちゃんちゃ、ほれ、んちゃんちゃ、んちゃんちゃ、ほれ。ずっと食べ続けて結局小さな缶一つを全部食べてしまい、食べ終わると、くうん、と首を伸ばす。
ああ、やっぱり食べられるんだ、このまま弱っていっちゃうわけじゃないんだ、よかった。
この時の気持ちといったらなかった。その翌日にはまんまと競馬で個人史上最高配当となる24万7900円が的中することになるが、そういう金額で数えられるようなうれしさなんてたいしたもんじゃない。
よかったよかったと腹の上に乗せてみると、しばらくしてごろごろいいだす。だんだん元気は戻ってくるのだろう、よかったよかった。
やがてその夜には自分で出口まで歩いていき、ドアを開けてやると、はらりといつものようにかすかな音を立てて見慣れた闇の中に飛び出していく。

できてもいない覚悟なんかわからないで本当によかった。
エサを食べ始めたことをSさんにメールで知らせ、すっかり忘れていたワクチンについてきくと、「風邪が治ってからの方がいいですよ」と返事が来た。じゃあ、また車で出かけよう。
わかったのは覚悟できないことがくることを覚悟しなきゃいけないということ。

・・・

それから四日が過ぎた水曜日の夜。
仕事をしながら、六月にNHK「ライブビート」で録音した「日本におけるネオ・アコースティック、ギターポップ誕生の黎明期から現在まで、このジャンルの中心で活躍」しているという、アドバンテージ・ルーシーのライブをきいていた。もうだいたい元気になったティーは、ほかのねこどももいっしょに夜に涼んでいる。きこえてきたのはこんな曲だった。

"So"(http://www.imeem.com/people/FwgvvZ_/music/mAcn7ESX/advantage-lucy-so-live/)

思い出したのは柿の樹の日陰で寝ているティーをファインダーでのぞいた時に感じた、たまらない愛おしさ、かけがえのなさ。
決してうまいわけではないが凛として何かを決心したかのようなボーカルに、もはやネオアコという用語で捕らえきれないポストロックを経たスケール感を持つギター・オーケストレーションが飛び回る六分と少しを何度か繰り返しきき、imeemで見つけたスタジオ版も何度もきいた。
http://www.imeem.com/neformalka/music/NRQXs_jJ/advantage-lucy-so/

anyone anyone... というつぶやきが印象的な歌詞はこんなだ。
http://listen.jp/store/artword_1000482_32509.htm

・・・

すっかり気に入った So の入った1999年発売の『ファンファーレ』をヤフーオークションで購入した。子どもの落書きのような、なんとも日本のネオアコらしいカバーには、「SO(original lyrics)」があり、その日本語はこう結ばれている。

 なぜだろう
 その味はリンゴのように甘い
 なぜだろう
 速度をまして もっと深くへ
 血に混じりあって真実を知る
  (lyric by 石坂義晴)

なぜだろう
ティーの息はさかなのようにくさい

(BGMはもちろん Advantage Lucy。imeemで集めたプレイリストは http://www.imeem.com/people/FwgvvZ_/playlist/WOt7NUWw/artist-advantage-lucy-music-playlist/)

"so" 07/04 13:40


ふしぎな左後ろ脚 07/07 13:38


知的な睡眠 07/12 00:32


しっぽの練習 07/13 16:26


梅雨が明けたべろ 07/17 14:52


===忘れてたので追加です===

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「豪雨の冷蔵庫のスイカ/ミフネのチャンバラ」(06/22~28)

2009-07-02 05:05:23 | 週間日記
ひとつだけ仲間はずれ、でもどれも畑で仲間 06/29 14時頃


水曜深夜になりました。先週日記です。
最初にリンクは前回Mixiでも好評だった五家寶実演。写真外部リンクにしましたのでスライドショーでどうぞ。
http://picasaweb.google.co.jp/quaranteans293/jVgXx?feat=email#slideshow/


●6月
22日(月)となりの樹のはぎった枝葉を雑草よけに父親がもらったので一部、一輪車で畑に移動。効果はどうか~昼は恒例電話取材~塾は急遽のテスト前補習始まる~新プロジェクトの打合せにOB・Mマ君登場。在ベトナムのMマ君同級生Iワ君とスカイプで話すもホーチミン側にマイクがないため、日マイク・越チャットという間抜けな会話でおもしろかった~食べる時間なかったので夜に長崎ちゃんめん~西友に回り、ティーチャーズ1080円
23日(火)昼は新プロジェクト打合で同級生Mト君宅でカレーランチ~塾はテスト勉強~日曜にみ始めた木下・高峰『カルメン故郷に帰る』(1951)は翌朝観了。キーワードは「文化と芸術」と共同体
24日(水)テスト勉強あり塾補習
25日(木)新プロジェクト重要人物のOBMマ君が来たので、Mト君に連絡して打合せ兼ねて食の駅・雅でかき揚げ丼+そばセット~携帯、一時、ネットにつながらなくなるが再起動で復帰。検索したら同機種に似た症状あるらしい~テスト勉強あり塾補習~Mト君と雷文へ
26日(金)起きて録音起こしずっと~塾~買い物、西友に回り、アーリータイムス998円と初めて一升瓶で武蔵鶴芳醇
27日(土)馬券買ったら本命サイド4千円台だけ的中~晩はテスト前で中1Nカ君登場・休憩では『イナヅマイレブン』についてきく
28日(日)来週のソフト大会のため地区体育部長訪来で起き、二夜途中で寝た、先週WOWOWで特集があった清水宏『有りがたうさん』(1936)観了。これはかなりおもしろかった。キアロスタミに似てる、と思って「清水宏 キアロスタミ」で検索するとけっこうあった、やはり誰もが同じことを感じる。上原謙かっこいいし、やはり映画はタイムマシン~ラーメン食いたくなって尾島・松よしでタンメン。ベイシアに寄ったら体育部長に遭遇~宝塚記念当たらず~うだうだ~早めに風呂に入り、前日録画のジョニ・ミッチェル1979年ライブ~昼のラーメン前で終盤に来たので読み終わろうと淀川長治、 山田宏一、蓮實重彦『映画千夜一夜(上)』を、しかし途中で寝て翌朝読了

 こねこのやつらは活動範囲を広げてきました。どこに行ってるのか、あまり見かけないものもいます。

【カウンター09】
ラーメン2/76 他外食1/22 アウェイ食1/1 外飲み1/41 読了書1/11 自宅映画2/12 購入ウィスキー2/38

すっと車に積んであった『映画千夜一夜(上)』。2000年1年の版で、太田・ブックマンズアカデミーで平積みだった憶えがあるから9年がかりの480ページか。急がない読書だし、おもにラーメンを食べに行って常に三冊は入っているバッグを持たずに出かけた時に読んできた、そういう優雅な読書だった。

映画を書いた文章はいい。でも、映画だけでなく、音楽を書いたのも、スポーツを書いたのも、さらには文章自身を書いたのも、どれもいい。
知ってる映画や音楽を書いたのもいい。たとえば『映画千夜一夜(上)』の話者の一人、蓮實重彦。ポスト=モダン全盛期の仏文学徒だった頃から『表層批判宣言』などでノーブルなけれん味に満ちた文体に親しんできたが、「浮上と滑走」(『映画 誘惑のエクリチュール』)で『地獄の黙示録』、ヘリコプターの殺戮シーンを、

 つまり、フィルム的感性はここですっかり<安心>するのだ。
 (< >内本文は傍点)

というのを読んで、ふええ、そういう強引な物言いもあるのか、とうなったりするのは映画の時間を過ごした者の特権だろう。

だが、なぜか、みていない映画を書いたものによりひかれるのはどうしてか。
1909年生まれの淀川は、1930年代生まれの二人がみていない、次のような映画の話をする。

「(映画のタイトルは『南へ南へ』1918年)……サイレントよ。これがえらい豪雨になっちゃうの。カットが変わって、こんどは朝になるの。家が全部屋根まで水につかってんの。ダグラス・フェアバンクスと相手の女の人はマージョーリー・ドゥだったか忘れたけど、二人が屋根の上にいるの。もう晴れてカンカン照りになってんの、それでもまだ水がいっぱい溜まってんの。女の人が、「私、水飲みたいわ」っていうのね(笑)。そこが面白かったの。ダグラスがザプーンと飛び込むの(笑)。で、泳いで窓から家のなかへ入るの。台所までもぐって冷蔵庫をあけるの(笑)。そしてスイカを取ってくるのよ(笑)。それ持って上がって、ポンと割って「食いな」と言ったら、女の子は「オー、ワンダフル!」ってよろこんで食べるとこあるの(笑)。面白かったなあ。いいでしょう、この話」

そして蓮實が返す。

「なんともいい話ですねえ」(同書417P)

なんとも。
このシーンだけならピクサーあたりでも不思議はない。でも、それが1918年のサイレントだと、ダグラス・フェアバンクスもマージョーリー・ドゥも知らないのにこんなに輝くのはどうしてだろう。

厚い本を読み終えて薄い新聞、日曜版読書欄を読む。
目についたのは文藝春秋SPECIAL「映画が人生を教えてくれた」(http://www.bunshun.co.jp/mag/special/)。すごいメンバー。早速、次の日、買いに行く。

「……三船敏郎もすごいんだけども、彼はただ動物的なカンで暴れ回るだけで、あの人とやると、周りがみんな傷だらけになってしまう(笑)……」
 (川本三郎・諸田玲子対談「帰ってきたチャンバラ」から川本言)

「なんともいい話ですねえ」

(BGMはimeemで集めたサウンドトラック特集 http://www.imeem.com/people/FwgvvZ_/playlist/41C5KqOO/soundtracks-music-playlist/。今は使用映画は多いサミュエル・バーバー「弦楽のためのアダージョ」)

きゅうり、トマト(これは外部生)、しそ。味つけは塩と味の素、それと梅雨の太陽 06/24 13:24


得意のスタンディング・サックル 06/28 15:54


体積比は相似比の3乗 06/28 16:29


How many cats are there? 集会の準備か 06/29 17:05


スクリーン・ドリーム・スリープ 06/30 02:14(あえて補正せずロウキー)
コメント (4)
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