小林真 ブログ―カロンタンのいない部屋から since 2006

2006年開設の雑記ブログを2022年1月に市議当選でタイトル更新しました。カロンタンは40歳の時に飼い始めたねこです

Fifteen thousand stories~『黄金の時間』(後編)

2006-02-24 16:26:54 | 音楽
新たな試みとして先週の出来事を長編で。
好き勝手書けるのがこういう文のいいところなので、後編から書きます。

先週の16日、春の雨の木曜日。1ヶ月続けた仕事を仕上げるべく、塾へ車を走らせていた。途中、駅を見下ろす中央道の陸橋に向う時、きいていたMP3プレイヤー、愛機 iriver プリズムが奏で始めたのは、日本のガールズバンドの元祖といわれる、ZELDAの『黄金の時間』だった。

ゼルダをきいていていつも感じいらされるのは、よく知っているはずなのに普段は忘れがちな切なさ。あの頃特有の華やかなサウンド、それでいながら黒っぽいリズムに乗せて歌われる、サヨコさんの夜空から落ちてくる明るい色のハンカチーフのような質量を感じさせない歌。それはデビューした80年代から最終アルバムまで変わることはなかった。
なお、「Zelda」とはアメリカの作家スコット・フィッツジェラルドの、自らも作家であり狂気に落ちていった妻セルダからとったらしい。妻の作品は未読だが、『グレート・ギャツビー』で知られる夫スコットは好きな作家だ。

決してゼルダの熱烈なきき手だったわけではない。ただ、ミュージックマガジンで読むベーシスト小島さちほさんの背筋の通ったロック評、それから何といっても当時やっていたNHK-FM、確か火曜日の『午後のサウンド』。
デヴィッド・ボウイやルー・リード、そして彼らほどのビッグネームではないが私にとっても学生時代の重要なミュージシャン、ジュリアン・コープについての思いを述べるその語り口に、何というか、端的にいって憧れていた。
大学を卒業して間もなくか。バブル崩壊とともに消えた有明MZAでジュリアン・コープをみた帰り、バスで知り合った学生とビールを飲み、そいつがゼルダの大ファンだといっていたことを思い出す。

とはいっても、ほかにきく音楽もやることもあふれていたその頃、数枚のアルバムをきいただけで、ゼルダは自分の中で“なつかしいバンド”になっていた。

そのゼルダが自分にとって大きな存在になったのは5年くらい前か。近くにあったBOMという店で見つけ、値札がなかったのでレジに持って行くと100円だった95年発表の最終アルバム『虹色のあわ』をきいてからだ。

サヨコさんが中米音楽の方向に行っているらしいとか、さちほさんが亡くなったどんとさんと沖縄で暮らしていたとか、そういったことは何かで知っていた。そして、ブリティッシュやニューヨークのロックから始まってワールドミュージックに移っていくその音楽遍歴は、彼女らより少し下の私を含むこの世代によくあるそれだろう。
「私たちにとってもっとも大事な場所だから」というロンドンで録音されたというこのアルバムも、そういった彼女たちのその後を感じさせながら、20年前に私が憧れていた部分が同じように息づいていて、その両方が長いキャリアに裏打ちされたサウンドに乗って気持ちよく飛び上がっている。
つややかなボーカルに酸いも甘いもかぎ分けたギターカッティングとリズム隊が乗る『かなしくて』、パラダイスなサウンドとはかない届かぬ想いの幸福な融合である『金木犀』。このアルバムはゼルダにとってビートルズの『アビイ・ロード』であり、RCサクセションの『Baby's a go go』だ。
そういえばこの頃、J-WAVEの番組をやっていたジュディマリのYUKIさんが高校の頃好きだった音楽ということでゼルダをかけ、ほとんど関心のなかった彼女を俄然身近な存在に感じたこともあった。

前のU2の記事にも書いたように、こういった長い年月をかけて関わってきた音楽をきくことはまさに“黄金の時間”。それはまさにいわゆる“重層的な”時間だけが創造することを許された喜びであり、何のことだかわからぬハイデガーの「時間は投射するものであり投射されるもの」という言葉も思い浮かぶ。

再び『黄金の時間』。
確かパルコがつくった映画『ビリイ・ザ・キッドの新しい夜明け』の主題歌で、当時は映画の予告編かなんかできいただけだったこの曲は、何年か前に買ったベスト盤できき直してまあいい曲だなと思っていた。
先週の木曜日、10回くらい歌詞にもよく注意しながらきいてみると、実に不思議な曲だったと気づく。

「一等最初に あなたを見かけたのは オーロラのかげ」「もはやこれまでと あなたを見失ったのは サハラの砂漠」
という奇妙な追いかけっこ。現代ではやや気恥ずかしいギミックにあふれたサウンドでそれらが歌われ、やがてエンディングを迎える。
「太陽がこげつき 海があふれ 風がやきもちやく 地球のどこかに あなたがかくれているはずだから」
「こんなひざしの良い日には 遊び愛手が欲しい 帽子と双眼鏡 持って 消えてしまったあなたに会いにいくの」
これぞゼルダの世界。

そして、『黄金の時間』を再発見した木曜の昼に。
陸橋の上で考えたことは、この時、暖かな雨の中で『黄金の時間』をきいたことを恐らく今後忘れることがないだろう、ということ、そして私たちの生活に“黄金の時間”は、突然に降り注ぐ、ということだった。

その数時間前、一晩仕事と戦った後で帰ってパソコンをつけ、ミューミューいう声に机の下を見るとティーが抱いていた白黒のこねこ2頭と満ち足りたティーの顔、その前に家まで送ってもらった免許取り立ての高3Fの緊張の運転、そして『黄金の時間』の時の数時間後に訪れたこの1ヶ月の仕事のゴール。
そういった普段の暮らしのひとつひとつこそ、きっと私にとっての“黄金の時間”なのであり、「消えてしまったあなた」なのだ。要はそれに気がつくかどうか。

その『黄金の時間』から1週間が経った今朝、トリノでは荒川静香が“黄金のメダル”を取り、それはこの氷上のヒロインによれば「思ってたより重い」という。
けれどこの間気づいた『黄金の時間』も“黄金の時間”も、荒川の3回転ジャンプのように重さを感じさせない。

……前編に続く

何と、大晦日になってしまった前編「Fifteen thousand stories」はhttp://blog.goo.ne.jp/quarante_ans/e/80c6063700a8bc256c7be58adbca51bb

(写真はゼルダのベスト『time spiral』。なお『黄金の時間』は「おうごんのとき」)
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もう「冷たい雨」は降らない

2006-02-21 18:01:09 | 週間日記
またも途中更新なしで先週日記です。

13日(月)ずっと自宅で働く
14日(火)ずっと仕事。スピード違反で理不尽にも捕まる(後日記事に)。夜食、籠原・札幌ラーメン小林で味噌ラーメン
15日(水)自宅光ファイバーが不調で塾で一晩仕事。夕、籠原・福龍で醤油ラーメン大盛
16日(木)雨の朝、先週家に来たOB・O君のスプリンターを買い取るといった高3・F君に渡す。家に帰るとティーが出産。2頭確認。夜、ここ1ヶ月戦った「不動産」の仕事大体片付く
17日(金)ティーのこねこ3頭に。ねこは少しずつ産むのだろうか。余裕あり、自宅映画マジット・マジディ『少女の髪どめ』。塾ではM君の両親と歓談
18日(土)夕、同級生M君に誘われ、上柴・宮崎地鶏へ。OB・Y君も呼んでまたも鯨飲
19日(日)競馬・フェブラリーSで、久しぶりの2万円ほど浮き。PO馬プリンセスデザイアも新馬勝ちでいい休日。夕、在宅で恒例の煮ぼうと製作。後、叔父と何となく地元で30年前に撮った映画『恋は緑の風の中』を、結局最後まで。起きて中断していた「日本史」の仕事

サッカーは、先週からのキャリーで、バレンシア:バルサ、ベティス:デポルティーボ、ミッドウィークのリバプール:アーセナル。イタリア・ダービーはさらにキャリーして昨夜観了。トリノもカーリングなど観戦。
何やらもりだくさんの一週間。けっこう雨が、何やら人間にも春を感じられる雨が降りました。もう「冷たい雨」は降らないのかも知れません。

(写真は出産前に庭にいたティー。まだお腹がでかい。BGMは初期のスラップ・ハッピー "casablanca moon" 。Dagmar の美声と不思議なサウンドが絶妙の空気感を紡ぎ出す名盤です)
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人間には気づかない春の息吹を感じるやつら

2006-02-14 18:56:44 | 週間日記
またも間更新なしの先週日記です。

6日(月)朝、NFLスーパーボウル。ビッグプレー多く、年間これしかみない素人にも楽しめたゲーム。ハーフタイムのストーンズもそれなり。夕、深谷・昇竜でもやしそば。降雪少し、夜帰ると何日か帰ってなかったたれ目が帰還。よかった
7日(火)よく働く
8日(水)夜帰ると何日か帰ってなかったキャサリン帰還。すごく嬉しくてなでてもニャというばかり
9日(木)渋谷NHKでFMライブビート収録渋さ知らズ。なるほど、これがヨーロッパスタイルか。直前、喜楽でもやしそば+餃子、帰りはOBのM君、Y君、都内在住のK君とその友人と飲食
10日(金)久しぶりにやっと散髪に。いつ以来だろう。美容師Iさんと株とかパチプロとかの話。塾後、さらに仕事
11日(土)朝から仕事。就職のため引っ越すOB・O君が要らなくなった車を持ってくる。昼、撮影。ブログを読んでくれたという関係者Fさんとねこの話。Fさんも4匹いるそう。学校勤務時代の29の当時からすごくよくできた人間だった教え子に会う。現在は医師だが、変わらずなのが嬉しい。遅くなった帰り、酒を買いに寄ると朝来たO君一家が買い物中。O君妹の彼M君もバイト中で話す。新生活に入るO君はスポンジなどを買っていた。塾に寄って1件電話取材後、一日食べなかったので籠原・福龍でしょうゆラーメン大盛。帰って仕事についたが、すぐに寝る
12日(日)一日中自宅仕事。競馬さえせず

サッカーはバルサ:アトレティコとやっと勝てたバーミンガム:アーセナルかな。何といっても忙しく、力尽きるまで原稿~寝る~起きて原稿というパターンが続き、風呂・シャワーは4回くらいだったか。ゆえに、風呂上りの楽しみサッカーはみる時間なく、好カードは次週キャリーという有様でした。
ねこどもは油断してる間に、ティーなどもう産みそう。お乳が出てきて、0歳のものどもが早くも飲んでいます。
庭に付近ねこも来襲頻。部屋に入ろうとして、窓バトルも頻発しています。
まだ寒くて、人間には気づかない春の息吹も、野性の残るやつらには感じられるのかも知れません。

(写真は電池を入れたら蘇ったコダック1500円デジカメで夕方庭にいた、暫定名けむし(左)とカミーラ。ブルーシートは風に飛ばされて。暫定名けむしはキュートなねこですがやけに悪漢風で、これも写真のおもしろさ。次はもっとキュートに撮ろう暫定名けむしはおとなになったので「ちょうちょRRプッチーニ」という名前を考えています)
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「暦の上ではもう春なのに、まだまだ寒い日が続く」

2006-02-08 13:42:52 | 週間日記
多忙で滞り2月初更新。先週日記です。

30日(月)ナナホシテントウの午後(後日記事に)。夜は塾で、高3F君と高校最後のテスト勉強
31日(火)府中で取材。昼食、東泉という店でラーメン。帰りにアメ横でバッグと松坂屋でマフラー購入。肉の大山でビール+コロッケ、焼き鳥
1日(水)夕、深谷・まるよしでラーメン+餃子。塾に京都土産を持ってきたOB・Y君と休み開けのI君登場。I君、銀座日産ギャラリー美女を熱く語る
2日(木)OB・Y君と伊勢崎MOVIXで『歓びを歌にのせて』、『オリバー・ツイスト』の久々2本立て。間、風っ子大将で雷ラーメン2番
3日(金)昼、風呂上りに Cat Power "The Greatest"初聴。塾では中1M君に頼まれ、ゲーム攻略本をアマゾンで購入。後、OB・T君も登場
4日(土)昼、撮影。晩、同級生M君宅で飲食
5日(日)白金台で高校同級生I君の結婚式で頼まれた撮影も。他、多くの同級生にも会いいずれも変わらず。帰りがけ上野でY君、H君と飲食。帰路、「ささやかな幸福が好き」というY君と初めて高崎線グリーン車に乗り、ビール飲みつつ、18歳の頃、この日の主役I君とちょっと前に改札で別れたH君とで論議した『君と歩いた青春』、最後のフレーズの作者である伊勢正三の話など。とにかく幸福な日曜、伊勢のタイトルになぞらえれば『ささやかなこの人生』か

サッカーは苦戦続くアーセナルのウェストハム戦とアトレティコ・デポルティボ。
タイトルはY君とも話題にした伊勢の名曲『暦の上では』の一節、歌の舞台は3月だけれど。……まだまだ忙しい日が続く……FM7

(写真はついさっき庭にいたティーと暫定名はちのじの親子)
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