上野の桜は ひっそりと…

震災の余波が当社にも押し寄せたのか 今月に入り得意先からの仕事がぱったりと止まってしまった。

一昔前なら考えられない時間に会社を後にし、日が長くなり まだ幾分明るい夕方の街をぶらぶらしながら帰った。

途中公園の前にさしかかると、同じく会社帰りのサラリーマンらがベンチに座り満開となった桜を眺めていた。
昨日か一昨日まで ほとんど咲いてなかったように思うが どうやら昨日からの晴天で一気に開花が進んだようだ。

「上野の桜も満開だろうか？」

せっかく早めに家路につけたのだから ちょっと寄り道しようかなと思い、上野の恩賜公園へ桜を見に行く事にした。

駅前で缶ビールを１本だけ買い、挨拶がてらに西郷どんを一目見たあと 桜の並木道へと向かった。

震災のため上野の桜まつりは“自粛”しているため 夜のライトアップもなく、桜は満開だったが何だか暗く、ひっそりとしていた。
例年ほどの大賑わいではないが 桜の木の下にはちゃんと飲ん兵衛たちが大勢いて、ワイワイやっていた。
奥の方には救急車が しっかりと待機していて「しょうがないなぁ」と呆れつつも“平和だな”と思った。

桜並木を抜けたあと アメ横の立ち飲み屋に寄ろうかと迷ったが 真っ直ぐ家に帰ることにした。

（先ほど また大きな地震がありました。またも東北地方が震源地だけに気になります。何ともなければいいけど…）

僕らができること…

同僚Ｎさんは福島の出身で 実家は福島第一原発より４０～５０キロと近い場所にある。
そのためここ半月は常にニュースに気をとめていて、休まらない日が続いている。

原発の問題はいまだ出口が見えず、長期化するのが避けられない状況となってしまった。
影響は福島の全ての産業に壊滅的打撃を与え、福島県民をどん底に突き落とす事になってしまった。
いくら発端が天災とはいえ、東電に…そして電気を供給してもらっていた関東には“全力で”救援する責務がある。

落ち込むＮさんの何とか手助けができぬものかと考え、皆で義援金をおくる事にした。

Ｎさんは義援金を受け取ると涙ぐんだ後「落ち着いたら皆で朝まで飲みましょう！」と力強く話した。
風評被害によって福島の人達がさらに苦しまないよう、義援金だけでなく僕らができることはまだまだある。

言葉と笑顔…

娘が生まれて三ヶ月以上過ぎ、最近はよく笑うようになった。

…といっても笑うのは 嫁さんや母に対してのみで休日くらいしか ゆっくり接する事ができない僕に対しては なかなか笑ってくれなかった。

先週末は「今日こそ 笑ってくれるかな？」と期待して珍しく子守を買って出た。
長いこと娘を抱き続け……いい加減 疲れて諦めようとした瞬間に 娘がニコッと笑顔を見せた。

最近 東京メトロのＣＭで「世界の共通言語は英語じゃなくて 笑顔だと思う…」などと歌った曲（高橋優の福笑いという曲）が使われているが…人の発育で“言葉よりも笑顔が先”なのを考えると言葉よりも笑顔の方が重要なのかもなぁと思った。

そして気が晴れた…

今週の火曜日から木曜日は 鹿児島にいる弟が出張のため上京していた。

ひとり都心のビジネスホテルで宿泊する予定であったようだが せっかくなのでに家に泊める事にした。

母とともに“つい先日”上京したばかりだと思っていたが よくよくカレンダーを見てみると前の上京からは すでに二ヶ月近く経っていた。
時が経つのも早いが 娘の成長も負けず劣らず早くて、約二倍近くまで大きくなった娘を見て 弟は大変驚いていた。

翌日は、仕事を半日休み、弟を東京観光につれていった（ちょうど妹も休みで家にいたので一緒に連れていった）

日頃の散歩で培った土地勘で 東京駅近辺から丸の内を抜け、皇居をまわり国会議事堂などを見てまわった。天気が良く、素晴らしい観光、散歩日和だった。

震災のせいで しばらく塞ぎこんだ毎日を過ごしていたが 弟と明るく会話していると少し気が晴れた。