花は散らない

今年も。桜の花が、咲き始めた。



その昔。

父が、ホームセンターで




桜の苗木を、８本買って来た。

わたしが、８歳だったから。




まったく、お花に詳しい訳でも

ガーデニングが趣味でも、なかった父。





庭の片隅に、自分の気の向くまま

その苗木を、植えていた。





３年後、父は事故で

亡くなったけれど




父の植えた桜は、毎年

花を咲かせる。





３４歳になった、わたしは


父のことを、あまり思い出さない。





思い出さないようにしていたのが


思い出さなくなった。





それでも

桜の咲く頃になると、思い出す。





あぁ、やっぱり

父は生きていたし






わたしのそばで

今も、生きているんだ






大切なことを忘れていた





大切なことを

思い出させてもらった。






『花びらは散っても花は散らない』（金子大榮先生のお言葉）