元インドネシア代表監督、スリランカ代表監督(野中寿人- 66番の部屋)

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外国人監督・・・の指導法

2011年11月05日 12時26分21秒 | 66番の思想
さて、外国人監督として、実際の実務である野球向上における強化練習プログラムについてはどうでしょうか?

日本やアメリカの球団組織のように各分野、各担当が確立していない野球後進国においては、外国人監督が1人何役もの分野を担当していかなくてはなりません。

つまり・・・各分野についての専門的な知識をも少なからずとも知っていなければならないということになります。



通常、外国人監督の下にはコーチ見習い、俗に言うアシスタントコーチと名の付く現地人のコーチが配置されるのですが、これらのアシスタントコーチへの指導・育成をも義務つけられており、やはり、各分野を知っていなければ話になりません。

極端に言ってしまえば「1つでも知らなければ、その場で外国人監督失格の烙印を押される」のです。
これは1つの野球組織を統括、マネージメントする上で当然のことです。
トップとなる役職の者が組織内の全分野について精通してなければ問題が生じた時や方向性を見失いそうになった場合などの「補修・修正」と「正しい決断」が出来ないですよね。

さて、貴方の組織・法人はいかがでしょうか・・・



では、実際にはどんな分野が必要になるのか?
最低でも次の分野についてのプログラミングは出来なくてはいけません。
「戦術理論」「打撃理論」「投球理論」「守備・走塁理論」「「コンディショニング理論」などをが基本となり、特にコンディショニングの中に属する「ウエイトトレーニング」「ランニング」「バイオメカニズム」「メンタルトレーニング」「ビジョントレーニング」「フードトレーニング」「人体構造論」「メンテナンス・リハビリテーション」などは重要になります。

通常、野球後進国ではコンディショニングは「ランニング関係のトレーニング」のみと解釈している場合も多いのです

{ふぅ~~}・・・一気に述べたので息切れしてました(大笑)

これらのプログラムを強化練習の中に「いかにして効率良く入れ込むことが出来るか?」が、外国人監督としての能力を問われる部分です。
そして、これらの各分野についてアシスタントコーチ達や選手達から受ける諸々の質問に対する答えを、的確に回答することが義務とされます。
同じく、全項でも述べましたが、技術修繕における矯正手段の引き出しの数も試されることを付け加えておきます。
以上は、実際の強化練習に対しての総体的なプログラミングです。

通常、国際大会用のプログラミングは100頁以上の量になります



そして、先に述べた現地人のアシスタントコーチへの指導、すなわち、未来の代表監督養成に際しての教えとしては・・・「各基本理論」「試合理論」「人間学(人間教育)」「モチベーションの与え方」
「ネガティブ言語 言葉の選び方」「指導における説明の表現を持つ」「教えるタイミング」などが挙げられます。

{またまた・・・ふぅぅぅぅ~~} 2回目の息切れです(大笑)

個々の選手に対しての個人的な指導においては、アシスタントコーチへの教えに中にも記しましたが、まず、野球の実務以外の部分である道徳的/人間教育指導が必要になってきます。人間的な教育というと大げさに聞こえますが、チームにとって必要な規律や協調性などの基本的な事柄については選手個々の性格面と照らし合わせて教えて行かなくてはなりません。インドネシアでは、往々にして野球の上手な選手は不良っぽい性格の選手が多かったり、自己主張が強すぎる選手も多く、全体的な「意識革命」と解釈してもらえばと思います。

外国人監督の仕事の中には、選手への人間的な更正をも含みます

では、選手個々への指導について大切なのは何でしょう・・・
一言で言ってしまえば、選手個々の性格を把握していなければ的確なる指導は出来ないと言うことが挙げられます。選手個々の特性を知るには、その生い立ちから現在に至るまでの家庭環境、家族構成、そして現在の生活状況などを知らなければ成り立たちません。



あらかたの背景をデータとして知ることによって、選手個々の性格や性格の形成状況が判明します。ちなみに、インドネシアでは生年月日、生まれた曜日からも、もって生まれて来たあらかたの性格と星(運勢)を知ることが出来ます(驚)
また、選手個々の何気ない会話の中にちょっとした言い回しや、どのような言葉を使用するかからも性格を判断する貴重な材料です。

練習終了後の何気ない時間こそ選手とのコミュニケーションの場になる

選手個々の動作様式においても選手個々の人体構造を見ることが出来ます。
これは身体のバランスを見極めるにも最も大切な部分です。
追記として宗教的な部分が導く野球動作においての身体の弱点も見逃してはいけません。これら全てが実際の指導の中で確実に生きたデータとなるのです。

移動は選手達と一緒に・・・選手達が歩くのなら監督も歩いて身体の癖を見抜く

只、残念な事に現地社会においては、未だこのような総合的な考えを持てる指導者候補は存在していません。あたかも危険氾濫分子のごとく素行の悪い選手を抹消したがるのが実情です。



そして、最も重要なのが選手達に与える「監督として、どのように選手を導くのか?」
「理論や練習方法はどうなのか?」「どこまでインドネシアの特性と調和ができるのか?」などの、選手側から見た不安材料を一掃し、選手達への意識的な革命を与えることです。監督としての構想、思想、ポリシーや人間性と、チーム編成における練習、選手起用にいたるまでの監督論を通達することが大切です。

「これをすれば上手くなる」「これをすれば勝てる」だから「この練習が必要となる」
と言う、順序立てによって説明をし、事実関係を持ってして証明することにより選手達から「絶大なる信頼」を得、この後に、本格的な練習に繋げて行くのです。

信用してもらえればキツイ練習にもクレームは出ない

また、選手達から、投げかけられた相談ごとや、願いごとに対しては「出来る」「出来ない」は2の次として、いったん自分の中に取り込むという、人間としての大きな器も必要になります。決してはなからNGを出さないと言うことが大切です。

監督は親爺的な存在・・・一度、全てを受け止める


 外国人監督の描くアートに続く)
Comments (2)
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