北原鈴淳 琴古流尺八教室 in八王子

尺八の音色は心を癒してくれます。

演奏すれば「無」の境地になれ、演奏が終われば満足感、充実感が得られます。

立川談修の「インザピンク」

2020-02-06 16:10:00 | 芸能
2月5日は立川談修の落語独演会「インザピンク」が、お江戸日本橋亭であり聞きに行って来た。

談修からはこういう独演会には、直接メールで連絡をくれるので出来る限り行くようにしている。

以前は「インザダーク」シリーズとして、日頃あまり演じられない幽霊みたいな演目を7回も開催してきて、今回は一転して艶話・エロスである。

演目は「紙入れ」「かわず茶番」「短命」。

会場のお江戸日本橋亭は以前、津軽三味線「あんみ通」の演奏会で行ったので知っていたが、今回はまず神田駅から行きたいところがあった。



中央線神田駅の北側にある、老舗蕎麦処「尾張屋本店」である。
開場は6時30分だったので、その前に夕食をと思ったらここだった。
写真でご覧のとおり時刻は5時30分。これがちょうど良かったのである。



店頭には見本が置いてあるが、もう私は「かつ丼」と腹は決めていた。

なぜ「尾張屋」なのか。それは3日程前にたまたまテレビ東京の「モヤモヤさまぁーず2」で紹介されて、「かつ丼」を食べるシーンが放映されたからであるし、実は私にとってそれより重大な事があったからである。

何しろここを訪れるのは5年振りだったのだ。
メモ帳を見たところ2015年1月21日に、ここの2階で「そば打ち会」があり、私は招待されてここで尺八の演奏をしたのだった。

私の知り合いの人がそば打ちを習っており、会津から先生を招いてこの蕎麦屋の2階を貸し切って行われたのである。
その時は「会津そば」「出雲そば」など珍しい蕎麦を本当に美味しくいただいた。

今回は女将さんに半地下に案内されて、かつ丼を食べた。
もう周りはオジサン達が、つまみや酒を飲んでいる。

5分もかからず着丼(食べログみたい)。カツは柔らかく、脂身がないので私にはうれしい。
お新香も薄くスライスしてくれて食べやすく、美味しかった。

精算時、女将さんに以前いただいた名刺を見せ「5年前にここの2階で蕎麦打ち会をしました」と言ったところで「5年も前だと忘れますね」と。
その後だ「実は私、そこで尺八を吹いたんです」と言ったところすぐに「ああ、思い出しました。そうでしたね」

次から次へとお客が来るのに「モヤモヤさまぁ~ずも見ましたよ。美味しかった」と店を出た。思い出の店、人に会うのはいいものだ。

そこからは歩いて約7分。調べていったとおりにドトールコーヒーを左に見て、いきなりステーキ、室町三丁目の信号を見てから左の通りに入った。時刻は6時15分だ。



まだ開場には早いので会場と周りを見学をと思ったら、もう入場しているようだった。

入口で前売り入場料2500円を払う。

早速、靴を脱ぎ、下駄箱に入れて番号札を取る。
場内では「前の方からお詰めください」と言われて、1番前と2列目は座布団だが見づらいので、椅子席の2列目にした。

7時近くなり会場を見ると、満席でグループで来た若い女性が意外と多い。新型肺炎の影響か、マスク姿が半数位いた。

舞台の幕が開くと、談修は高座の毛氈に上がったが意外に高く、天井に付く位と言ったらオーバーだけれど、結構高い。

まくらで「インザピンク」について述べ、数日位前から早々と満席売り切れでうれしそうだった。だいぶ人気が出てきたなと思った。

落語「紙入れ」は間男の話である。つまり不倫である。不倫と言えば早速今話題の俳優Hの名も出た。

内容は検索すれば出て来るので、そちらに譲って次は「かわず茶番」。

この話は昨年、浅草演芸ホールで他の落語家によるのを聞いていた。
客の男性よりも女性の方が大笑いだ。

素人芸の話で、舞台番がふんどしをーーー。下ネタである。

15分の休憩をはさんで、後半の第一声は「インザダーク」より「インザピンク」の方が受けがよろしいようでと、笑っていた。

「短命」。これは「ネタおろし」と言って談修は初めて演じるそうだ。

伊勢屋の美人の奥さんに婿が来るが、次々に早死にする。3人目まで死んでしまった。
その訳は?

サゲは自分の女房を見て「俺は長生きだ」。

このような話は若い落語家には生々しく、50歳近くなった談修なら、そろそろいいかなと思ったらしい。小遊三なら好きそうだ。

談修のおかみさんのしぐさも色っぽく演じ、余りえげつなくはなく、下品ではなかった。
終わって相変わらず、談修と挨拶と握手をして「良かった」と言って別れた。

上記、「そば打ち会」と「モヤモヤさまぁ~ず」に関連して思い出した。
神田尾張屋は5年前だったが、4年前のそば打ち会は大塚の手打ち蕎麦「大倉庵」だった。

そこでも尺八を演奏したのだが、ここも「モヤモヤさまぁ~ず」で放映されて、奇遇だった。不思議なことが続くなあ。


「春の海」幻想

2020-02-02 09:47:00 | 音楽・日々是尺八
正月は箏と「春の海」の合奏練習をした。やはり「春の海」は良い曲だ。
まだまだしばらくは自信を持って、この曲が演奏出来そうだ。

「春の海」で思い出したが、図書館で「週刊文春」を見たところ、哲学者でコラムニストの土屋賢二が「春の海」の題でコラムを書いていた。

何しろ数十年前の20歳台の話だが、母が箏の先生で、正月に「春の海」を演奏する事になった。
当時リコーダーしか演奏したことがなかった土屋氏が、500円の尺八を買って数週間猛練習をして、本番の舞台に立った。

しかし、音が出ない。ヒューヒューなるだけで、必死に吹いたが最後までヒューヒューだったと言う。実に可哀そうな話で、その気持ちが良く解るのである。今だから笑える話で、尺八吹きなら皆経験している。

そもそも私が尺八を始めたのは中学校の音楽鑑賞で「春の海」を聞きすごく感動して、いつかは尺八を習いたいと思っていたからだ。

その時のレコードは箏の宮城道雄とバイオリンのルネ・シュメーだった。
尺八は吉田晴風、フルートは吉田雅夫も演奏して世に広めた。

ごく最近まで神社や百貨店内で流れる「春の海」のほとんどは、箏宮城喜代子と尺八は二代青木鈴慕であった。

我々は中学の授業で聞いたのだが、娘達は小学校で鑑賞している。

私は大学に入って尺八を始め、「春の海」はおさらい会や結婚式、田舎でのライブなどで演奏して来た。

ところで表題の「春の海」幻想だが、宮城道雄作曲「春の海」をモチーフに牧野由多可作曲「春の海幻想」という曲がある。

数多くの尺八演奏家が舞台で演奏している。
ある演奏会のパンフレットに牧野が「もし宮城先生が生きておられたら褒めてくれるかな」と書いていた。

手元に楽譜はある。練習していつか演奏したいと思っている。