トーマス・グラバー 第三章 世界の大きな謎」 十字架の刑へhttps://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/a7daa23cef5788d216b6e087c44285f0
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キリスト教の成立へ
イエスは投獄されることを察知した時、弟子たちに
「自分はおそらく死刑になるだろうが、自分が死んだあと、お前達は私の教えを元にユダヤ教よりもはるかに立派な宗教をつくってくれ。 そしてローマ帝国も今のように遊び呆けてばかりの国ではなく、真面目なくににしてほしい」と、いわば遺言を言い伝えた。
ところが、イエスが逮捕され、十字架の刑に処せられると、若い弟子たちの多くは投獄、処刑を恐れ、それぞれが蜘蛛の子を散らすように雲隠れしてしまった。
だからイエスが重い十字架を背負って刑場に赴く時、男の弟子たちは彼の死を見送る者は一人もおらず、二、三人の女性達だけだったといわれる。さすがのイエスもこの時ばかりは弟子達を恨み、これまで信じていた神の存在すら疑い、絶望のどん底に陥っていたのではないだろうか。
刑場への道をよろめきながら歩いていたその時、突如イエスの耳に誰かが語りかけてきた。
「イエスよ、イエス、これイエスよ。 お前は今この大宇宙に神などどこにもいない。 自分も他の人間も、ただ空しく死んでいくだけだと思っているな。 神は姿こそ決して現さぬが、必ず大宇宙に存在するのだ。 今は逃げて行った弟子達は必ずお前の意志を引き継ぎ、立派な新しい宗教を打ち立てる。 安心して天国へ召されよ」。
神の存在を疑っていたイエスの眼に喜びの色が浮かび、やがて涙があふれだした。
「そうだ、自分は間もなくこの世を去るが、逃げて行った弟子達が必ずや立派な新しい宗教を打ち立ててくれるはずだ。 こうしてイエスは神を信じ、弟子を信じ、縦容(しょうよう:あせらずゆったりとしていること)として十字架の刑に処せられた」。
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この本には、歴史的に貴重な写真、図、文献なども数多く掲載されている秀逸な作品ですが、それらをPDF化して皆さんに紹介することもできますが、著者と発行所の『長崎文献社』に敬意を払って、全てを紹介するのは、控えたいと考えております。
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