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接客は「デジタルヒューマン」 NEC、生成AIで金融提案

2024-10-14 19:57:08 | AI・IT・サイバーセキュリティ・メタバース・NFT・ゲーム、

見た目や動きを人間に近づけたアバター「デジタルヒューマン(人間)」を、接客用途で提案する動きが広がってきた。

NECはアイシンのデジタル人間に生成AI(人工知能)と顔認証技術を搭載し、金融機関の窓口向けに12月から提供する。

 

あらゆる業界で人手不足が深刻化する中、デジタル人間に「人」の代わりが務まるのか。

 

 

 

 

「○○様、本日はどのようなご相談でしょうか」。銀行窓口を訪れた来店客に対し、こう呼びかけるのはモニター上に映る女性の容姿をしたデジタル人間だ。

来店客が「資産運用の相談に来ました」と話すと、資産運用の経験や運用のための口座の有無などを質問する。

 

まばたきや、少し上を見て考える表情をするなど会話中のしぐさは「人」に近い。

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NECはこのデジタル人間を金融機関の窓口向けに提案する。アイシンのデジタル人間に生成AIを搭載し、ファイナンシャル・プランニング技能検定2級の過去10年分のテスト問題、回答や専門家が作成した対話データを参照させた。アイシンは自動運転の車内のコミュニケーションツールとしてデジタル人間を開発してきた。

従来は定型的な会話しかできなかったが、生成AIの外部データベースと連携させ、専門的な情報を参照させた。

 

顔認証を搭載し、接客前の本人確認の手間も不要だ。将来は来店客との過去の対話履歴に基づいた会話もできるようにする。

岩井孝夫金融ソリューション事業部門長は「金融商品の提案や手続きの前さばきをデジタル人間が対応できれば、銀行員はコンサルティングなどの業務に集中できる」とみる。

 

NECは金融機関向けの後、ホテルの受け付けなど用途を順次広げる計画。今後3年間で30〜40社へ導入し、売上高30億円を目指す。

 

 

生成AIでリアルな人間の姿に近づく

従来、デジタル人間のビジュアルは人の手でCG(コンピューターグラフィックス)を作成してきた。

ただCGには人間に近づくほど不気味に感じられる「不気味の谷」という現象が生じる。

 

人はロボットやアバターの見た目やしぐさが人間に近づくと親しみがわく一方、逆に似すぎると一転して不快な感情を抱くとされる。

デジタル人間の概念を覆す技術として現れたのが生成AIだ。

 

CGを研究する早稲田大学の森島繁生教授は「生成AIは実際の本人の画像などを読み込ませるので、作り物に見えなくなる」と話す。

AIで人の画像を大量に読み取ってデジタル人間を自動で生成できれば、リアルな人間の姿に近づく。

 

 

 

 

観光業向けにデジタル人間の提案を始めたのは、NTTコミュニケーションズ(コム)だ。

デバイス開発のNTTコノキュー(東京・千代田)と、ホテルの客室内に設置するモニターなどにコンシェルジュとしてデジタル人間を登場させる。具体的な仕様などは顧客企業と一緒に詰めて開発する方針だ。

 

実在する複数の社員の顔や声を組み合わせてデジタル人間を作成し、実証してきた。

10月時点で応対時間は5月と比べて半減した。デジタル人間は宿泊台帳から顧客の属性を読み取るほか、天気や観光系のサービスなど外部のデータと連携。利用者が行きたい場所や気分などを伝えると、最適な旅程表を提案する。

 

 

 

日本人キャラクターを開発

日本の観光業はいかに〝日本人らしい〟おもてなしができるかが重要だ。

日鉄ソリューションズは精巧な日本人キャラクターの開発に力を入れる。デジタル人間の実装技術を持つデジタルヒューマン(兵庫県芦屋市)と共同で24年内にも商用化する。

 

 

キャラクターの喜怒哀楽を本物の人間に近づけるため、高精細な画像データを大量に使って顔の表情筋や視線の微妙な動きを表現する。

音声に合わせて口元を自然に動かす「リップシンク」にも対応。将来は実在の人物をモデルにしたキャラクターの開発機能を追加する予定だ。

 

 

生成AIを活用したデジタル人間の作成では、中国勢が先行する。

アリババ集団のAIシステム「EMO」は1枚の人物画像から、その人が話したり歌ったりする動画を生成する。歌唱させると、息継ぎで肩をふるわせたりする。

 

 

 

ただ「生成AIで特定の人物を再現しようとすると、逆に本人らしさが失われる可能性がある」(森島教授)。

人間としてリアルに感じられても、その人物を実際知っている人からすると、目や口のちょっとした動きや表情で違和感を感じることがあり得るという。企業が活用する際は、著作権や肖像権の侵害などのリスクも隣り合わせだ。

 

事実と異なる回答をするハルシネーション(幻覚)を防ぐことがAIの普及には必要だ。

文字テキストでは事実関係と照合する機能も出ている。だがデジタル人間は人と対話するため、迅速な回答も求められる。

 

不気味の谷を越え、デジタル人間に〝人〟の代わりが務まるかは、正確さと円滑さを兼ね備えた新技術の活用がカギとなる。

(張谷京子、高槻芳、田中瑠莉佳)

 

 

 

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※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

 

 

 

 

山崎俊彦のアバター
山崎俊彦
東京大学 大学院情報理工学系研究科  教授
 
分析・考察

機械やAIなのに、人型であることにこだわりを持つ点が興味深いといつも感じています。

コミュニケーションを取る相手、取りたい相手はやはり人間ということなのでしょうか。

随分昔からですが、例えば「変なホテル」では恐竜ロボットなどが自動接客すると話題になりました。

あれに対してお客さんがどう思ったか伺ってみたいものだと思っていました。

この記事にあるような接客と比べるとホテルフロントなので定型の対話が多いので成立したのでしょう。

ただ、コストのせいなのか、店舗によって違うのかはわかりませんが、最近はリアルなロボットではなくディスプレイ上のCGになってしまって残念にも思っています。

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日経記事2024.10.14より引用

 

 

 

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