タニヤ・チャトカン判事
ドナルド・トランプ前米大統領に対する刑事裁判の審理を担当するタニヤ・チャトカン裁判長の殺害を予告したとして、テキサス州の女性が16日、訴追され、同州の連邦地裁に勾留を命じられた。
米国土安全保障省連邦防護局の捜査員が11日にテキサス州の連邦地裁に提出した告発状によると、アビゲイル・ジョー・シュリ容疑者(43)は今月5日、ワシントン地裁に電話をかけ、チャトカン判事を脅し、その人種を侮蔑するメッセージを残した疑い。発信元を捜査員が追跡した結果、容疑者は脅迫電話をかけたことを認めたという。
チャトカン判事は現在、トランプ前大統領が2020年大統領選の結果を覆すために共謀したとされる事件の裁判を担当している。このチャトカン判事に向かってシュリ容疑者は、「お前に狙いを定めてるんだ。殺してやりたい」と脅した。さらに、「トランプが2024年に当選しなかったら、お前を殺しに行く」とも述べたという。
容疑者はさらに、首都ワシントンの民主党員全員と性的少数者(LGBTQ+)コミュニティーを脅したほか、民主党のシーラ・ジャクソン・リー下院議員(テキサス州選出)についても殺害すると脅したという。
法廷資料によると、脅迫電話の3日後に国土安全保障省の捜査員がヒューストン郊外アルヴィンの容疑者宅を訪れた際、シュリ容疑者は実際にワシントンまで出かけて判事たちを殺害するつもりはないと供述した。
ただし、「もしシーラ・ジャクソン・リーがアルヴィンに来るなら、心配する必要がある」とも述べたという。
シュリ容疑者がチャトカン判事に脅迫電話をかけた前日には、トランプ前大統領が自ら運営するソーシャルメディア「トゥルースソーシャル」で、「こっちをやっつけようとするなら、こっちがお前をやっつけにいく!」とすべて大文字で強調しながら書いていた。
トランプ前大統領は今月1日、大統領選の結果を覆そうと、公的な手続きを妨害するため共謀したなど四つの罪で起訴された。前大統領は3日にワシントンの連邦地裁に出廷し、無罪を主張した。