リンムーの眼 rinmu's eye

リンムーの眼、私の視点。

人物ノンフィクションのシブい魅力

2010-05-15 | Weblog
後藤正治著『人物ノンフィクションⅢ 孤高の戦い人』(岩波現代文庫)読む。
人物ノンフィクション選集のⅢ巻。
ⅠとⅡはずいぶん前に読んだんだけど、いずれも面白かった。
多面体のパーソナリティのいかなる面に光を当て、人物像を浮き彫りにしていくか。
人物ノンフィクションのシブい魅力が味わえる。
ストイックに「事実」のノミで切り出していく手腕が見事。
「事実を積み上げる・・・」塑造型ではなく、彫刻型の造形イメージ。
そのアプローチが人物ノンフィクションにはフィットしている。
歌い上げずに、事実で語るところがいいんだな。
ノンフィクションのロマンがある。
特に、Ⅲ巻は、スポーツ選手を取り上げており、テレビで見て知っている選手の、知らない魅力に触れたような気がした。

各巻の内容は、
Ⅰ 藤圭子、ファイティング原田、ビートルズ&ボビー・チャールトン、競走馬シンザン、吉本隆明
Ⅱ オノ・ヨーコ、北方謙三、国谷裕子、皇太子徳仁、内田樹、高樹のぶ子、森毅
Ⅲ 松井秀喜、小川良樹、北橋修二、上田利治、伊達公子、岡野・古賀・谷本、仰木彬

もし興味ある人物が二人くらいいる巻があれば、是非読んでみてほしい。
ピンと筋の通った、折り目正しい人物ノンフィクションを味わえます。