重松清著『十字架』(講談社)読む。
テーマは「いじめ」。
こういうテーマで、シゲマツときたら、もう書き尽くしてるんじゃないかとも思うが、読み始めるとぐいぐい物語に引き込まれた。
同級生の自殺を背負い続ける「親友」が主人公なわけだが、学校生活を描くのが本当に上手い。
重松清の作品は、入試問題によく出題される。
理由は、「段落ごとに接続詞がくっきりしていて、文章がそれを裏切らずに進んでいく」「引用部分のなかで、人物像に矛盾がない」「主人公の在り様が道徳的である」から。
「使い勝手のいい小説なんですよね」と自嘲気味に対談で語っていた。
また、自らの小説を「読み物」とも言う。
読者が「自分の物語」として思いを加担できる器としての「読み物」。
読者のためのフィクションを紡ぐ「物語作家」としてのポジションは絶対的なものがある。
本書に「ナイフの言葉」「十字架の言葉」という言い方が出てくる。
傷つけ刺さる「ナイフの言葉」と、宿命として背負う「十字架の言葉」。
「ナイフの言葉」は時間による癒やしがやがて来るが、「十字架の言葉」はいつやってくるとも分からない「許し」の刻まで重くのしかかる。
誰もが事の大小はあれ、そのような言葉を引き受け、生きてゆくものなんじゃないだろうか。
重松清の「読み物」は、そのような十字架を引き受ける読者のための物語であり、エールであるとも思う。
テーマは「いじめ」。
こういうテーマで、シゲマツときたら、もう書き尽くしてるんじゃないかとも思うが、読み始めるとぐいぐい物語に引き込まれた。
同級生の自殺を背負い続ける「親友」が主人公なわけだが、学校生活を描くのが本当に上手い。
重松清の作品は、入試問題によく出題される。
理由は、「段落ごとに接続詞がくっきりしていて、文章がそれを裏切らずに進んでいく」「引用部分のなかで、人物像に矛盾がない」「主人公の在り様が道徳的である」から。
「使い勝手のいい小説なんですよね」と自嘲気味に対談で語っていた。
また、自らの小説を「読み物」とも言う。
読者が「自分の物語」として思いを加担できる器としての「読み物」。
読者のためのフィクションを紡ぐ「物語作家」としてのポジションは絶対的なものがある。
本書に「ナイフの言葉」「十字架の言葉」という言い方が出てくる。
傷つけ刺さる「ナイフの言葉」と、宿命として背負う「十字架の言葉」。
「ナイフの言葉」は時間による癒やしがやがて来るが、「十字架の言葉」はいつやってくるとも分からない「許し」の刻まで重くのしかかる。
誰もが事の大小はあれ、そのような言葉を引き受け、生きてゆくものなんじゃないだろうか。
重松清の「読み物」は、そのような十字架を引き受ける読者のための物語であり、エールであるとも思う。