にんじん2キロが約120円で売られていた。
義母は買ってくるとすぐに小さく切って、固めに茹でて冷凍保存しておく。
スープの具や、煮物になる。
冬の間に「今年はにんじんを栽培しよう」と言っていた計画はどうしたのかと思った。
そうしていた冷凍庫はにんじんだらけになってしまっていただろう。
尋ねれば、きっといろいろとそれらしい、あるいはわけわからない答えが返ってくるだろうな。
週末の昼食。鶏肉だけカレーと、自家製インゲンの煮物。
義父はときどき私に嫌味のようなことを言う。
「ドイツに住んでいるのだから、ドイツ風の食事をしなければならない」
私の米飯食を批難するんだ。
初めの頃は、いちいち腹がたったものだ。
これも家賃、家賃、と我慢していたものだ。最近は我慢という感覚も無くなった。
生物学的に見れば、義父の方が先にこの世とおさらばする身だ。
言いたいことを言わせてやらないと、人生に悔いが残って、あの世にいけなくてヨメのまわりにまとわり付いて、
「米食うなー、米食うなー」
悩ますだろう。
もっとも、私は霊感のかけらもないので、攻撃しようと思っている霊たちには無駄になる。
先日言われたときは、こう答えた。
「ここの米って、日本より安くておいしいんですぅ」
おいしい、という部分は話を盛っている感があるけど、実際この値段であれだけの味が出るのだから、そうとも言える。
ドイツで販売されている食品を褒めているのだから、義父はそれに対抗できないはずだっ。
もっとも、彼は私の言うことなど聞かないことが多い。
聞いていて何も言わなかったのか、対抗できなくて黙っていたのか、よくわからない。
さて、義父は私がたまたま一人で仕上げたトマトサラダに言及した。
「酢も油も使っていないこのサラダは旨い!」
義母が作ると、必ずこの二点は入れられてしまう。
私は油脂摂取過剰を警戒しているけれど、義父は単に味の点からサラダに油が必要ないと感じるらしい。
これを聞いた義母は早速対抗に出た。
「どうして不満ばかり言うんですかっ」
私の米飯食に続き、義母のやることへの口出しだもの、そう取られても仕方がない。
考えようによっては私を擁護しているようにも感じるけれど、いや、やっぱり自分のやり方を批難されているのが気に入らないのだろうな。
すぐに反応できる、自由さがうらやましい。
それでちゃんと婚姻関係が長く続いているのだから、さすがだ。
いいたいことを言いすぎて関係の悪くなる夫婦だらけだものね。
義母は買ってくるとすぐに小さく切って、固めに茹でて冷凍保存しておく。
スープの具や、煮物になる。
冬の間に「今年はにんじんを栽培しよう」と言っていた計画はどうしたのかと思った。
そうしていた冷凍庫はにんじんだらけになってしまっていただろう。
尋ねれば、きっといろいろとそれらしい、あるいはわけわからない答えが返ってくるだろうな。
週末の昼食。鶏肉だけカレーと、自家製インゲンの煮物。
義父はときどき私に嫌味のようなことを言う。
「ドイツに住んでいるのだから、ドイツ風の食事をしなければならない」
私の米飯食を批難するんだ。
初めの頃は、いちいち腹がたったものだ。
これも家賃、家賃、と我慢していたものだ。最近は我慢という感覚も無くなった。
生物学的に見れば、義父の方が先にこの世とおさらばする身だ。
言いたいことを言わせてやらないと、人生に悔いが残って、あの世にいけなくてヨメのまわりにまとわり付いて、
「米食うなー、米食うなー」
悩ますだろう。
もっとも、私は霊感のかけらもないので、攻撃しようと思っている霊たちには無駄になる。
先日言われたときは、こう答えた。
「ここの米って、日本より安くておいしいんですぅ」
おいしい、という部分は話を盛っている感があるけど、実際この値段であれだけの味が出るのだから、そうとも言える。
ドイツで販売されている食品を褒めているのだから、義父はそれに対抗できないはずだっ。
もっとも、彼は私の言うことなど聞かないことが多い。
聞いていて何も言わなかったのか、対抗できなくて黙っていたのか、よくわからない。
さて、義父は私がたまたま一人で仕上げたトマトサラダに言及した。
「酢も油も使っていないこのサラダは旨い!」
義母が作ると、必ずこの二点は入れられてしまう。
私は油脂摂取過剰を警戒しているけれど、義父は単に味の点からサラダに油が必要ないと感じるらしい。
これを聞いた義母は早速対抗に出た。
「どうして不満ばかり言うんですかっ」
私の米飯食に続き、義母のやることへの口出しだもの、そう取られても仕方がない。
考えようによっては私を擁護しているようにも感じるけれど、いや、やっぱり自分のやり方を批難されているのが気に入らないのだろうな。
すぐに反応できる、自由さがうらやましい。
それでちゃんと婚姻関係が長く続いているのだから、さすがだ。
いいたいことを言いすぎて関係の悪くなる夫婦だらけだものね。