里山の山野草

里山と山野草の復活日記。

ワルナスビ(ナス科、ナス属)

2006年08月12日 | 山野草
明治時代に渡来した北米原産の多年草で、日本では関東以南に生育する繁殖力の
強い厄介者の雑草。 
別名を鬼クサ、鬼ナスビ等とも呼ぶが、
名前の由来は、食べられるわけでもない上に、茎や葉に刺があり、除去しようと
して地下茎が千切れると夫々から芽が出て来て根絶するのが難しい事から名付け
られたそうで、正にそのものズバリの命名だ。

最近至る所でお目にかかるが、どこにでも育つ正に雑草の見本の様な植物だけに
困ったものだ。
そう言えば、アメリカイヌホウズキも在来種のイヌホウズキを凌駕しており、政
治経済同様にアメリカに完全に牛耳られてしまいそうで末恐ろしい感じがする。

(三和の森、8月8日)
花(アップ)


シデシャジン(キキョウ科、シデシャジン属)

2006年08月11日 | 山野草
本州、四国、九州で山地の路傍や林縁に生育する多年草。
名前の由来は、花の形がシデ(しめ縄などにぶら下げてある御幣に似た白い紙)
に似たシャジンと言う意味で“シデシャジン=四手沙参”と名付けられたそうだ。
因みに、シャジンはツリガネニンジンの根の事で、ツリガネニンジンの別名とし
ても用いられ、漢方ではこれを去痰薬として用いるのだそうだ。

この花は、5枚の花弁が細長く、しかも後ろに反り返っている事と、雌しべが長
く突き出て柱頭が三つに分かれて反り返っている事が特徴で、柱頭はまるで黄色
い花弁に見える。 キキョウの仲間とは思えないほど非常に変わった花だ。

(旧・豊松村有木、8月8日)
花(マウスオン)


湿地の植物(サギソウ、ヌマトラノオ)

2006年08月10日 | 山野草
植林地の下刈りをする為の偵察に行った帰りに、三和町の湿地に立ち寄った。
ここは様々な山野草が豊富で、しかも訪れる人も殆ど無く、ゆっくり観察できる
ので好きなポイントの一つだ。
この湿地で今咲いているのはサギソウとヌマトラノオ。 
我が家のサギソウは未だ咲いていないのに、先を越されてしまった。

(三和の森、8月8日)
サギソウ(ラン科、ミズトンボ属)ヌマトラノオ(サクラソウ科、オカトラノオ属)

サギソウ
本州~九州の日当たりの良い湿原に生育する多年草。
名前の由来は、純白の花が恰も白鷺が飛んでいるように見える事から“鷺草”と
名付けられたそうで、花の姿もネーミングも傑作のひとつに数えられる。
毎年、地下の球根から数本の地下茎を伸ばし、その先端に次の年に咲く球根が出
来て繁殖して行くのだが、自然界ではこれらが全部一気に咲く事は無く、まばら
に咲くのだそうだ。
広島県では湿地の埋め立てや乱獲で激減し、絶滅危急種に指定されている。

ヌマトラノオ
本州、四国、九州の湿地に生育する多年草。
名前の由来は、草原に生育するオカトラノオに対して、湿地に生育する事から
“ヌマトラノオ=沼虎の尾”と名付けられたもので、“トラノオ”は花序を虎の
尾に見立てたのだそうだ。
オカトラノオに比べて小型で、葉柄が無く、花穂が余り傾いていない。

ウバユリ(ユリ科、ウバユリ属)

2006年08月09日 | 山野草
宮城県以西の本州、四国、九州で山野の林内に自生する多年草。
早春に凡そユリとは思えないような葉が出て来、その後花茎を1m程伸ばして
7月~8月に緑白色の花をつけるが、先が余り開かないままで終わり、お世辞に
も綺麗とは言い難い。

名前の由来は、花が咲く頃良く葉が枯れる事から葉を歯にかけて、歯の抜けた姥
と言う意味で“ウバユリ=姥百合”と名付けられたそうだ。
地下の鱗茎(百合根)からは澱粉が取れ、昔母乳の出ない人はそれをオッパイ代
わりにして子育てをしたので、ユリが乳母代わりという意味で“乳母百合”と呼
んだと言う説もあるらしい。

(旧・豊松村有木、8月8日)
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花(マウスオン)


イタチササゲ(マメ科、レンリソウ属)

2006年08月08日 | 山野草
植林地の下刈りの偵察に行った帰り道に、何種類かの山野草が咲いていた。

先ず最初はイタチササゲ
本州~九州の山地で日当たりの良い草原に自生する多年草で、葉の先端が巻き
ひげに変わり、他の植物に巻きついて上って行き、草丈は120cm位になる。
7月~8月に淡黄色の房状の花を咲かせるが、後で段々褐色に変色する。
名前の由来は、褐色になった花の色が鼬の毛色に似ており、豆がササゲ(大角豆)
に似ている事から“イタチササゲ=鼬大角豆”と名付けられたそうだ。

(旧・豊松村有木、8月8日)
花(マウスオン)


ミョウガ(ショウガ科、ショウガ属)

2006年08月07日 | 野 菜
舅の所で、トウモロコシ、ナス、トマトなどの他、ミョウガも貰って帰った。
私にとっては、暑くなって食欲が落ちる頃に旨い具合に花を咲かせてくれ、花や
若芽を薬味にしたり天ぷらや酢の物にして食べると美味しい上、食欲も回復する
ので大好物のひとつだ。
所が、舅は「これを食べると“スド”が抜ける」と言う。
どうやら、世間で昔から言う「ミョウガを食べると物忘れがひどくなる」と言う意
味らしい。

そこで、私もこれ以上物忘れがひどくなっては困るので調べてみた。
すると、そのような成分は含まれていなくて、どうも、釈迦の弟子に物忘れのひ
どいのが居て、それに由来して名付けられたと言う説があり、ミョウガにとって
は濡れ衣らしい事がわかった。
別の説に、
「ミョウガをおかずについご飯を食べ過ぎ、眠気に襲われて物忘れをしてしまう」
と言うのがあるが、むしろこちらの方が正解なのかもしれない。
ともあれ、早速酢の物にして美味しくいただいた。

このミョウガは多年草で、昔中国から渡来し、現在は本州~九州の民家周辺
のやや湿った林の傍で野生化したものが群生しているそうだ。
又、東京文京区の茗荷谷と言う地名は、江戸時代にこの辺りでミョウガを沢山栽
培していた事から名付けられたとも言うから、日本人にとってミョウガは昔から
人気の高い食材だったと言う証拠であろう。

オモダカ(オモダカ科、オモダカ属)

2006年08月06日 | 山野草
舅は82歳だが今もって現役の百姓で、ブドウ栽培こそ止めたものの未だ夫婦で
野菜や米作りに励んでいる働き者で、横着な私などは足元にも及ばない。
日頃から「もう引退したら?」と勧めているのだがどこ吹く風で、「稲の作柄を
見てくれ」と田圃へつき合わされた。

「どうだ良く出来ているだろう?」の声に、「ウン、ウン」と空返事をしながら
不謹慎にも目線は隣の田の雑草を探していた。
すると、クワイの葉に似た雑草に白い花が咲いているのを見つけた。
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雌花と雄花(マウスオン)

帰って調べて見るとオモダカと言い、日の当たる湿地や水田に自生する多年草で、
同属の食用のクワイはこのオモダカの変種と書かれていた。

このオモダカ、別名をハナグワイと呼ぶだけあって観賞用にも用いられるが、昔
は塊茎を食用にしていたらしい。
特に大阪・吹田が名産で、明治維新までは京都御所へ献上していたほどで、普通
のクワイより小粒だが苦味が無く、軟らかくて甘いのだそうだ。
名前の由来は、葉が人の顔のように(柄の)高い所についている事から、
“オモダカ=面高”と名付けられたなどの説があるそうだ。

因みにクワイは、欧米では観賞用に用い、中国と日本だけが食用として用いてお
り、国内では広島県の福山市が全国の8割を生産しており有名だ。

ゲンノショウコ(フウロソウ科、フウロソウ属)

2006年08月05日 | 山野草
久し振りに舅の所へ行き、畑の脇でゲンノショウコが咲いているのを見つけた。
昔は下痢止めとして実際に使っていたそうで、舅に言わせれば
「白花の方しか効かないので、赤花の方は引っこ抜いて捨てていた」 そうだ。
紅紫色花(マウスオン)白色花(マウスオン)

ゲンノショウコ
日当たりの良い道端など至る所に自生する山野草で、花の色は紅紫色、淡紅色、
白色がある。
名前の由来は、下痢に確実に効き現に効果の証拠があるという意味で“現の証拠”
と名付けられたとか。
同様の命名で、タチマチグサ、イシャナカセ等もあり、どうやら良く効くらしい。
別名のミコシグサは、果実がはじけた時の形が御輿の屋根の形に良く似ている事
から名付けられたそうで、正しく言い得て妙な形をしている。

秋近し?

2006年08月04日 | 庭の山野草
7月26日以来猛暑が続き蒸し暑くて堪らないので、東京の娘夫婦の新居訪問を
兼ねて、未だ涼しそうな東京の人達へ猛暑のお裾分けに行って来た。
その甲斐あってか帰り間際の8月3日には、さしもの東京もすっかり夏らしくな
って、東京の人達もさぞや喜んでくれたと思う。

どうもワンサカ忙しそうに人が蠢く東京は、清流に住む私としては泥水に入れら
れたフナのようなもので、任務完了で自宅に帰りホッ!としている所だ。
自宅では、7月下旬から咲き始めたワレモコウやオミナエシが未だ咲き続けてい
るが、秋には程遠い猛暑が続いている。
もっと、東北地方の人達にも猛暑のお裾分けをしなければ、我が方に秋が来そう
に無い。  どなたか欲しい方があれば幾らでも差し上げるのですが…!?
ワレモコウ(バラ科、ワレモコウ属)オミナエシ(オミナエシ科、オミナエシ属)
ワレモコウオミナエシ

ワレモコウ(吾亦紅)
日当たりの良い山野に自生する多年草。
名前の由来は諸説あって、吾も又花であると言う意味で“ワレモコウ=吾亦紅”
と呼ばれるほか、広島県ではアブノチダマ、ボニバナ等とも呼ぶそうだ。
昔は、若芽を食用にしたり根を止血剤にしたそうだが、若葉の天ぷらは香ばしさ
抜群だそうだ。
オミナエシ(女郎花)
日当たりの良い草原に自生する多年草。
名前の由来は、黄色の花を粟に見立てて“オミナメシ=女飯”と呼んでいたのが
変化したと言う説もあるらしいがはっきりしないらしい。
広島県では、お盆に墓へ供えるのでこの花もボニバナと呼ぶ地方があるそうで、
極めて単純明快な命名だ。