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シエスタ

2013-07-20 07:54:38 | 日記
メキシコの小さな港町。



海岸に古いボートが停泊し、メキシコ人の漁師が小さな網に魚をとっていた。



その魚はなんとも活きがいい。それを見たアメリカ人旅行者は、


「素晴らしい魚だね。どのくらいの時間漁をしていたの?」
と尋ねた。


すると漁師は
「そんなに長い時間じゃないよ。」
と答えた。

旅行者は
「もっと漁をしていたら、もっと魚がとれたんだろうね。惜しいなぁ。」


すると、漁師は
自分と自分の家族が食べるんだったらこれ位で十分だと答えた。


「それじゃあ、余った時間は何をするの?」
旅行者は尋ねた


「日が高くなるまでゆっくり寝て、それから漁に出て戻ってきたら子供と遊んで、女房とシエスタして。夜になったら友達と一杯やって、歌をうたって、ギター弾いて、ああこれで1日も終わりだね。」




すると、旅行者は真面目な顔で漁師にこう言った
「ハーバード・ビジネス・スクールでMBAを取得した人間として君にアドバイスしよう。いいかい?君は毎日もっと長い時間、漁をするべきだ。それで余った魚は売るんだ。
お金が貯まったら大きな漁船を買う。そうすると漁獲高は上がり、儲けも増える。その儲けで漁船を二隻三隻と増やしていくんだ。やがて大漁船団ができるまでにね。
そうしたら、仲介人に魚を売るのは止めだ。自前の水産加工工場を建てて、そこに魚を入れる。その頃には、君はこのちっぽけな村を出て、メキシコシティに引っ越し、ロサンゼルス、ニューヨークと進出していくだろう。
君はマンハッタンのオフィスビルから指揮をとるんだ。」


漁師は尋ねた
「そうなるまでにどのくらいかかるのかね?」


「20年、いや、25年でそこまでいくね。」


「それからどうなるの?」

「それから?その時は本当に凄いことになるよ。」
と旅行者はにんまりと笑い

「今度は株を売却して、君は億万長者になるのさ。」

「それで?」


「そうしたら引退して、海岸近くの小さい村に住んで、日が高くなるまでゆっくり寝て、日中は釣りをしたり子供と遊んだり、奥さんとシエスタしてすごして、夜は友達と一杯やって、ギター弾いて歌をうたって過ごすんだ。どうだい?素晴らしいだろう。」
コメント
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