歌仙「鰹木に」の巻
表
発句 鰹木に位を定めたる初鴉 敦煌女 //初詣の人の群れを鴉はじっと見下ろして、何を思うのやら…。
脇 祈り届けと初御籤引く 段々耕作 //今年は良い年になりますように
三 背をあづけ積ん読の山崩しゐて ドスン千穂 //読み進めれば楽しい時間にて
四 カップの底に乾ぶコーヒー Miido翠 //飲もうと思うときにはすでに乾燥 よくあること?
五 石畳しつとり照らす夏の月 arata二三 月 夏 //法善寺横丁の水掛不動を思いまして。
六 扇子の風は蒲焼き添える 神々千里 //夫婦善哉の通りにうなぎ屋さんが「まむし」って
裏
一 がんばれば芥川賞夢じやない 敦煌 //匂いだけで食べた気になって、ペンを走らせる若さ…いいですね。
二 腰に手ぬぐいザンバラの髪 段々 //今は、世の中上品で綺麗になりましたが・・・。
三 下宿屋の娘と二人昼下り ドスン //さて、小説家の筆はどう走るやら~
四 恋のはじめはどこかちぐはぐ miiiido //相手が下宿屋の娘だし
五 サプライズ指輪差し出す手が震え Arata //これだけはキチンと返事を貰っておかないと。
六 銃で脅されカードも何も チリ //災難は忘れた頃にやってくる。
七 生真面目にこちこちこちと時計台 段々 //何があっても淡々と我介せずで
八 月を慕ひて雪兔跳ね 敦煌 月 三冬 //少年よ大志を抱け、兔たちよ月へ跳ねよ、とクラーク先生が言ったとか
九 追憶のストーブ列車ひとり旅 miido //追憶のおぜん立てはやはりストーブ列車
十 リュックに残る透きとほるもの ドスン //思い出はみな美しく 清らかで・・・
11 今も尚花の吉野の語り種 チリ 花 晩春 //吉野の如意輪堂には今もお参りの人が沢山訪れる。正行の辞世からヒント
ウラ12 二日酔いして飲む蜆汁 arata 三春 //花を愛で歴史を語ると長い