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松が携帯電話を取り出し、誰かに電話をしている。その短い通話が終わって、5分程経った頃、通りの向こう側から茶髪のショートカットに黒のパンツスーツ姿の女が現れた。女は手を振りながら通りを横断して松に近づいた。
「遅いよ、お前。何分待たせるんか。」
まだ5分程しか経ってないのに、相変わらず松は気が短い。
「急いで来たのに、あんまりやん!そんなん言うなら連れて行かへんで」
女は大阪弁で言い返した。この女も気が強そうだ。松は食い下がってきた女を軽くいなして、俺とノブに付いて来るように言い、歩き出した。酔っ払っていたので、どう歩いたか憶えていないが、しばらく歩いた後、狭い路地の奥に入り口のあるビルのエレベーターに乗り込んだ。3Fで降りると、全面ブルーシート張りのフロアだった。どうやら改装中らしい。それでも松と女は進んで行く。女はフロアの一番奥にあるドアの前で立ち止まり、ドアの上に設置されているカメラに顔を向けたまま、ドアを何度も叩いた。
松が携帯電話を取り出し、誰かに電話をしている。その短い通話が終わって、5分程経った頃、通りの向こう側から茶髪のショートカットに黒のパンツスーツ姿の女が現れた。女は手を振りながら通りを横断して松に近づいた。
「遅いよ、お前。何分待たせるんか。」
まだ5分程しか経ってないのに、相変わらず松は気が短い。
「急いで来たのに、あんまりやん!そんなん言うなら連れて行かへんで」
女は大阪弁で言い返した。この女も気が強そうだ。松は食い下がってきた女を軽くいなして、俺とノブに付いて来るように言い、歩き出した。酔っ払っていたので、どう歩いたか憶えていないが、しばらく歩いた後、狭い路地の奥に入り口のあるビルのエレベーターに乗り込んだ。3Fで降りると、全面ブルーシート張りのフロアだった。どうやら改装中らしい。それでも松と女は進んで行く。女はフロアの一番奥にあるドアの前で立ち止まり、ドアの上に設置されているカメラに顔を向けたまま、ドアを何度も叩いた。