S&R shudo's life

ロック、旅、小説、なんでもありだ!
人生はバクチだぜ!!!!

真冬の狂想曲9-1

2006-08-19 16:06:55 | 真冬の狂想曲
9-1
 俺達がカジノの入っているビルを出ると、キムが待っていた。かわいそうに、唇が紫色になっている。
「キムさん、中に入ってくれば良かったのに。外は寒かったやろ?」
12月の東京の夜には、小雪が舞っていた。
「大丈夫ですよ、首藤さん。気を使ってくれてありがとございます。私達、あの店入れませんね。」
 コイツらもいろいろ大変なんだなとは思ったが、俺には関係ない。声をかけたのも、ただたんに声をかけただけだった。俺も意外と八方美人だ。
 松は寒そうに震えるキムに自分が寒いので早く次ぎの店まで連れて行くように急かせた。俺も非道い人間だが、松の非道さには頭が下がる。自分以外は虫けら扱いだ。しかし良く教育されたキムは表情を緩ませ、意気揚々と俺達を次の店まで案内しはじめた。
「すぐそこですので、行きましょう。こちらです。さあ。」
 俺達は小雪の舞う歌舞伎町を歩きはじめた。3歩も歩かないうちに、松はキムの耳元で何かを囁き、俺とノブにキムと一緒に先に店に行っててくれと言い残し、俺達とは逆方向に消えていった。
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