ゆっくり読書

読んだ本の感想を中心に、日々、思ったことをつれづれに記します。

しょうがない

2009-12-04 17:37:28 | Weblog
最近、使うときに一番気をつけている言葉は「しょうがない」だ。

「気にせず、がんばろう」というな、前向きな意味で使われる「しょうがない」もある。
変に、誰が悪い、何が悪い、とネチネチ考えつづけるくらいなら、
いっそのこときっぱり再出発するために、「しょうがない」という割り切りは有効だ。
特に、仕事をしているときは、かなりこのテンションに助けられる。

でも、「ホントに?」と考えてしまうときがある。

仕事上の相性の問題から、関係先をしぼったり、
時には、スタッフの勤務形態が少し変わったりすることがある。

そんなとき、残った人のあいだでは、よく「しょうがないよね」という話になる。
「あの人は、こちらがチャンスを与えていたにもかかわらず、
結局変わってくれなかったから、しょうがないよね」と。
このセリフには、「相手が悪いんだよ。自分たちは悪くない」という意味が暗に込められている。

こういう会話を聞いていると、
「でも以前は、そこがその人の個性で、いいところだ、って言ってなかったっけ?」と、
思う場合も多い。
特に、ミスらしいミスもなく、
その人なりのペースでマジメにやってきた人の話をしているとき、そう感じる。

少し前に、そんなような会話を聞いた。
そして、聞きながら、
もしかしたら、この会話に参加している人たちの心の中には、
ある人を自分の勝手な都合で切り捨てた、という罪悪感があって、
それを直視するのが怖いから、「しょうがない」という言葉にすり替えて、
自己弁護をはかっているのではないかな、という気がしてきた。

そんな気分で会話を聞いていると、ますますどんどん、
なんだか、一生懸命あら探しをして、自己暗示をかけているみたいに思えてきた。
そして、それまでは再出発のような気分で参加していた会話が、
ものすごく居心地の悪いものになった。

ずっと耳の奥に、あのときの会話の残響がある。