ゆっくり読書

読んだ本の感想を中心に、日々、思ったことをつれづれに記します。

ある思い出

2009-12-07 12:28:11 | Weblog
土日に、すごく慌ただしくだけど関西へ出張で行った。
今回は、神戸と和歌山。
ルミナリエで大混雑だったから神戸のホテルがとれず、宿泊は尼崎。
出張のいいところは、通勤がなくてホテルと仕事場の距離が近いことなのに、
今回は土地勘のないところで、こまごまと移動しなければならなくて、
なんだかすごく消耗した。

私はたぶん、関西が苦手。
これはまったくの個人的な事情で、関西という土地柄のせいではない。

私の母は滋賀の大津の出身で、祖父は大阪、祖母は和歌山の出身だったらしい。
祖父母には会ったことがないから、戸籍以上のことはあまり知らない。

母は、いわゆる複雑な家庭というやつで育ち、
養父とその愛人にかなり虐められたらしく、
20歳の頃、耐えきれなくて東京に飛び出して来たらしい。
母はよく、夜に昔のことを思い出して泣いていた。

それでも、今から思うと、母の心と言うか、精神の原点は関西にあって、
ずっと東京には馴染めず、帰れるものなら帰りたかったのだなあ、と思う。

母はずっと天平時代の歴史に興味があって、よく本を読んで調べ物をしていた。
地名は、関東よりも関西のほうが詳しくて、
ニュースで関西の地名を聞いては、地名の由来や昔あったいろんなことを語っていた。

私は、関西に行くと、その頃の思い出がどっとあふれてきて、
本当にいたたまれない気持ちになる。
もしタイムマシンがあったら、いますぐ助けに行くのに、って、
泣いている母を見ては思っていた。
それに、母が語る天平時代の話は本当に面白くて、もっと聞きたかったし、
いま、あらためて語りたいと思うこともある。
できることなら、一緒に旅がしたかった。

母は戦争の時代に生まれたので、きっと母と同世代の人の中には、
戦争のために生まれてすぐに不幸な運命を背負った人がたくさんいるのだろう。

最近、何かを乗り越えるためには、
少なくとも三世代は必要なのではないかと思う。

祖父母がもっていたネガティブな側面は、到底母には越えられない。
それを越える可能性を持っているのは私の代かもしれない。
そして母が持っていたネガティブな面は、私ではなく次の代が越えうる。
そう考えると、子どもを産んでいないことを申し訳なく思う。

少し疲れてるのかもなあ。