ゆっくり読書

読んだ本の感想を中心に、日々、思ったことをつれづれに記します。

シナ人とは何か

2009-12-26 12:36:36 | Weblog
内田良平の『支那観』を読む 宮崎正弘・内田良平研究会著、展転社刊

たまに、他の人はどんなふうに中国を見ているのかが気になって、
こういう本を手にとる。
まるで対中国プロジェクトを一緒に進めている人たちと飲んでいるときの会話を
文字で読んでいるようだった。

中国人の気質や社会風土を、日本に伝わって来ている歴史書からだけではなく、
実地での観察や経験をもとにまとめている。すごく的確に。
戦前としては、すごいレポートだと思う。
日本がアジアの盟主として中国大陸に勢力を広げることが、
本当に欧米から中国を守ることになり得たのかどうかは、正直、私にはわからない。
ただ、中国人の「上に政策あれば、下に対策あり」という気質はよく述べられていて、
現在の日本人が中国人と付き合って行く上での注意点にも通じるものがある。
社会風土というのは、そう簡単には変わらないものなのだろう。

20年くらい前、私が大学で中国語を学ぼうと漠然と考え始めたころ、
私の周囲の大人たちの中国観は、ある意味でとても偏っていた。
・孔子の国だから礼節を重んじているに違いない。
・戦時中、日本が悪いことをした国だから、謝りつづけなければいけない。
・同じアジアの国だけど、日本に比べるとずっと後進国で、パンダがいる国。
こんなところだろうか。

その後、実際に中国へ行って、驚いた。
孔子の国だから礼節を重んじている、なんてことはない。
日本とは同じアジアの国だと言っても、その遺伝子はまったく違う。
メンツを重んじるけれども、日本人の恥の感覚とはまったく違う。
文化を共有しているから話さなくてもわかる、なんてどころか、
話してもわからないことの連続。

そして、いま、たまに仕事で付き合うことがある。
あくまでも日本的に仕事を進めたい日本の企業の人たちと、
日本人からはわがまま勝手に見える中国現地のスタッフたち。
品質と納期の管理をしてい日本人は、
中国スタッフと国内お客さんとの間に立って、とても苦しむ。

改革開放や1人っ子政策の結果が、具体的に社会に浸透してきているいま、
中国はとても大きな過渡期にいるように見えるけれど、
すごく長い歴史のなかで見たら、その根っこは、
ほとんど変化していないのかもしれない。