ゆっくり読書

読んだ本の感想を中心に、日々、思ったことをつれづれに記します。

日本語

2012-11-18 01:51:28 | Weblog
いつも中国人から中国語の発音だけは誉められる。
日本人の訛りがないと。
嬉しいんだけど、大学1年の頃から、まったく進歩がないような気がして、
誉められるとその分落ち込む。

ただ、最近、少し自己弁護をするようになったのは、
中国人は「字がうまい」と「発音が標準だ」ということについて、
ほぼイコールで「頭がいい」もしくは「学がある」と
言ってくれているのに近いということだ。

これだけ自分たちの言語に自信をもっているというのは
すごいことだと思う。
日本人は「英語がうまい」と無条件で尊敬するけど、
日本語がうまい外国人を「お前は文化人だな」なんて言わないと思う。

でも中国人に言わせると、「日本語は難しい」し、「独特の文化がある」らしい。
英語みたいに単語を並べればなんとかなる言語とは違って、
微妙な言い回しがある日本語は、非常に優雅で、そして面倒くさいと。

そう言われると、いつも「ありがとう」という気持ちになるし、
すごく誇らしい気持ちになる。

軍国主義なんかで、ひとくくりにされたくない日本のよさが、
言語の中に生きているんだから、
私たち日本人も、そのときのノリで、票を入れてはいけないと思う。

変な人が日本の首相になりませんように。
どうせ彼らは老い先短くて、こっちが老人になる未来まで、
責任をとってくれるわけじゃないんだから。

どっちだ?

2012-11-16 23:38:19 | Weblog
いま、日本の隣家のおばさんのくしゃみのようなくしゃみが、
上海のアパートの隣家から聞こえてきた。すごい。

上海で仕事をしていると、いろんなことが起きる。
そして「こんなことがあったんだよ」と話すと、
友人から、「その人は日本人ですか?」と聞かれる。
「そうだよ」と答えると、「その人、日本で働いたことないでしょう」と続く。

別に日本での就業経験がなくても、上海では十分に活躍できるし、
また、もし日本で働いたことがあったとしても、
あまり責任ある仕事をしたことがなければ、
いい意味での「日本人らしさ」や「日本らしい仕事の進め方」が
身についているわけでもない。

私なんかは、日本でちゃんと管理職をやったことがないから、
いま部下くんたちの付き合い方に四苦八苦している。
まあ、私の年代だったら普通の悩みなので、
これは、どこにいるかはあまり関係ないかもしれない。

むかしは、日本での就業経験がない日本人でも、上海で就業ビザがとれた。
そして、そのまま30歳をこえた日本人や、
数次ビザで繋いでいる人も結構多い。
そして上海は、中国のなかでは進んでいるとはいえ、
日本人が現地採用で入るような民間企業は、まだ成熟していないので、
その中にいた人も、基本的に、大学生的なノリのままでずっときている。

中国人のなかで仕事をしている分には、それでいいのかもしれない。
でも、たとえいまはよくても、
中国人は進化スピードが速い人たちなので、
きっと10年後は、そのままだと置いていかれているような気がする。

それとも、置いていかれているのは、日本人としてのビジネス倫理観を
もっている(と信じている)わたしたちの方なのだろうか。

5S

2012-11-15 23:32:15 | Weblog
今日は5Sの日だった。
iPhoneは、もうすぐ5Sが出るらしい。
日本の通信速度があれば、5Sもワクワクするだろうけど、
中国じゃあ、威力を発揮しない。

逆に中国で威力を発揮しつつあるのは、こっちの5S。
整理、整頓、清掃、清潔、躾。
ものづくりの基本と言われる5つのS。

会社は工場じゃなくてデスクワークのオフィスだけど、
運用方法もよくわからないなか始めた5S。
評価の基準もあいまいななか、5Sの審査員が回ってきた。

机の上に私物が置いてないか、とか、
席の周りに衣類がちらかってないか、など、
項目はいろいろとあるんだけど、
決して日本人の机がきれいで、中国人の机がちらかってるとは言えない。
その人の性格によるということがよくわかった。

そもそも月曜日の夜に評価するはずだったんだけど、私が忘れていて、
その後もずっと忘れ続けて、ようやく今日の夕方、思い出したので審査した。
すごく抜き打ち審査になったので、みんなの慌てぶりがなかなか面白かった。

中国人男性の営業が寄ってきて、
「いや~、昨日までは僕の机、すごくきれいだったんだよ。
 でも今日、病気になっちゃって、ほら、こんなに手が痛くて、
 こんなにひどい病気だとしょうがないでしょう。
 それで片付けられなくなっちゃったんだよね」と、真面目な顔をして冗談を言う。

そこで私が、
「ああ、知ってる、知ってる。病気なんだよね。精神病でしょ」と言ったら、
周囲の女性陣が大爆笑して、大喜び。
「そうだよ。こんなに片付けができないなんて、精神を病んでるんだよ~」と、
大勢で囃し立てる。

そんななかでもその男性は、真面目な顔をくずさず、
「僕は今日、病気なんだよ。だから先に帰るね。病気が重いから」と、帰って行った。

つまり、片付けるなんて無理なことはやらずに、
5Sなんて冗談にしてしまって、マイペースに帰るわけだ。

面白いんだけど、どうやって定着させるんだろ。

中継

2012-11-14 22:31:18 | Weblog
FaceTimeを使って、日本で放映しているサッカー中継を見る。
けっこうクリアに見えるのがすごい。
そして、ああ我が家だなあ、と思う。
我が家というと、なんとなく、昭和の時代の香りがする。
FaceTime越しの音が、そんな雰囲気を助長しているのかもしれない。

ハラハラする試合が続くなか、なんだかAmazon.comで本をあさりたくなる。
感情的と言うか、単にうるさい解説が聞こえてくる。
ふっと冷めて、ミステリーが読みたいなあ、などと思い、
パソコンの画面に吸い込まれてしまう。

いつからか、一方的に流れてくるテレビ画面を見ることができなくなった。
サッカーなどスポーツの時は、それなりに引き込まれるんだけど、
やっぱり解説がうるさいなあ。

党大会が終わってVPNも繋がるようになったので、ついったーを開く。
やっぱりみんなが「解説うるさい」と言っていて、
なんとなく私の日常が戻ってきたような気がする。

次の試合は3月。まだ先。
下手に上海のうるさいレストランで(違法)中継を見るのではなく、
家に帰って、日本の家で流れている画面を見せてもらうようにしよう。

いやはや。便利になったものだ。

重新開始な国民性

2012-11-13 23:44:59 | Weblog
ここ数日、パソコンからだと、ほとんどGmailに繋がらない。
党大会をやってるからだなあ。
Gmailをブロックしても意味ないと思うんだけどな。

さて、会社で人事制度を見直すらしく、今日コンサルの人がヒアリングに来た。
いろいろと質問をされ、それに答えて行ったのだけど、
まあ、聞かれたことはだいたい普段考えていることだった。
どのあたりに問題があるだろうと仮説を立ててきているのか、
また、問題点としてどのあたりのことを浮かび上がらせたいのかが、
比較的わかりやすかったので答えやすかった。

仮説を立てることは、仕事をする上でけっこう大切だと最近思う。
私がやっている仕事は「段取り勝負!」みたいなところがあるので、
中国人の部下くんに、
「納期に間に合わせるために、こうだったら、こうする」を考えさせようとすると、
ピタリと止まってしまう。
そもそも中国人はみな、何かあったらその時から考え始める人たちであって、
それを予防するために何かするという発想がない。

中国人の部下くんは、つい数日前に、納期をはずしたにもかかわらず、
私にこっぴどく怒られ、周囲から「お前のせいでこんなに残業」と
ちくちくイヤミを言われたにもかかわらず、
本人もそのときは大変反省していたのに、
一晩寝ると忘れてしまうから、不思議な人たちだ。

締切に間に合わせるためには、工程を逆算して考えて、
そのうち、この3カ所は必ずおさえないと、と何回説明しても、
な~かなか伝わらない。

そのときは、うんうん、と納得しているのだけど、
翌日、自分でスケジュールを書かせようとすると、かたまってしまう。
どうしてこう、「重新開始」なんだろうかなあ。
国民性の違いなのかなあ。

不発

2012-11-13 00:06:49 | Weblog
今朝は、中国語での朝礼当番だった。

みんなが期待していた。
だけど、今日はそれほど反応がよくなかった。

理由はわかっている。
あまりにも、非日常だったからだ。

今日話した内容。
私がいまもっとも尊敬している人が訪日している。
それは、中国共産党が分離主義者として批判している人。
そう、ダライ・ラマ14世。

もう、この段階で、上海の80后にとっては、異世界の話になる。
そもそもチベットなんて、とっくのとうに、あたりまえに中国の領土で、
遅れた地域で、生活は貧しく、
気が向いたら観光に行く場所であって、住む場所でもなく、
単なる、関係ない土地。
そんな土地の精神的な支柱であるダライ・ラマなんて、関係ない、という感じ。

上海の若者からしたら、チベットで焼身自殺があることなんて、
まず政府の報道規制で知らされてないし、
そもそも自分たちに関係ないことだと思ってる。

そんな構造だからこそ、
今回のダライ・ラマの沖縄公演は、
日米の基地の問題を考える上でも肝心だと思ったから行きたかったわけだけど、
日中の関係が冷えきっているせいで、上海→沖縄間の飛行機が減らされ、
結局行けなかったわけだ。

でも、そんなこと、中国人にはどうでもいいことだった。
そりゃそうだ。遠過ぎる話題だ。

だからこそ、ファンタジーとして楽しんでほしかったんだけど、
中国人には、そういう感性の猶予がない。

ということで、私のスピーチは不発に終わり、
ただ、日本人の同僚から「お疲れさま」と言われるに留まった。

そういうことなんだよなあ。

こたつで読書

2012-11-11 18:10:20 | Weblog
寒くなってきたので、こたつを出した。
先日、日本に帰った友人からいただいたもので、中国製。
中国製だからダメ元と思っていたのだけど、なかなか威力がある。
こたつ、最高だ。

で、こたつを出すと動かなくなる。
引きこもって読書2冊。

1冊目は、会社にころがっていた本。
ドラッガーの『明日を支配する者』。
恥ずかしながら、ドラッガーの本をはじめて読んだ。

いまから10年以上も前に書かれたマネジメントに対する本だけど、
ぜんぜん古く感じなくて、いやはや素晴らしい。
ドラッガーの予想よりも日本の経済というか、日本の企業が、
ずぶずぶに沈みきっていることが、少し悲しいけれど、
いまだに中国を「安い労働力がある後進国」と思っている日本の経営者は、
よくよくこういった本を読んで、
実際に自分の目で中国の現場を見たらいいと思う。

とはいえ、何だろうか、この読後の違和感は。
何かすごく大きくて大切なことから、意図的に目をそむけさせられてる感じだ。

2冊目は、『アメリカが畏怖した日本: 真実の日米関係史 』(渡部昇一著、PHP新書)

ううむ。確かに私も東京裁判を基準に考える癖があったけど、
言われてみたらサンフランシスコ講和条約のほうが、重要かも。

親日派の中国人でも、戦前の日本は帝国主義で侵略主義と言ってくることが多いけど、
反論のためには、戦後、アメリカの占領下にあったときのことも
もっとちゃんと学ばなければならないな。
どうも、1945年から10年くらいが、すっぽり抜けている感じがする。

私は高校1年のときに、社会科の先生が極左で、すごく偏った歴史観をすりこまれた。
ただ、まだ柔軟だった2年と3年のときに教えてくれた歴史の先生が
「言動からしてまともに見えないけれど、実はまとも」という先生だったので、すごくよかった。
そういえば、あの先生もサンフランシスコ講和条約について、
教科書に書いてある以上に説明してくれたっけ。

歴史教育って難しいけど、海外に出たら、いやがおうでも自分で学ぼうと思うわけだし、
新しい知識も入ってくれば、考え方を修正することもある。
そして、新たに日本の歴史と未来を考えればいいんだと思う。

それにしても、右半身が痛い。

中国人との語らい

2012-11-10 14:10:46 | Weblog
中国人の友人と、どんどん仲がよくなるのはいいんだけど、
彼らは、語りたいことがたくさんある人たちなので、話が終わらない。

昨日は、私以外の3人は中国人。
そのうち1人は初対面の人だったけれど、まあ、語る語る。
テーマは「中国の黒社会について」。

中国語の黒社会とは、マフィアや暴力団のことなんだけど、
もちろん中国には「黒社会」なる組織はない。
まあ、つまりは共産党が中国の黒社会だ、というようなことだった。
全人代が開かれているので、やはりみんなの政治に対する関心が
高まってるんだろうと思う。

共産党の腐敗の問題から、格差や私有財産、超高齢化社会と農村のありかた、
そして、もうすでに学ぶだけ無駄になっている
マルクス・レーニン主義と毛沢東主義についてなどなど、いろんな話が出た。

最後のほうでは、日本人の私が、
「いやいや、一党独裁にはいいところもあるよ。
 若くて純粋なときに、共産主義の理想を学ぶのも価値があるよ」
とフォローを入れるくらい、すごく白熱した。

どこの国も同じで、国民の不満が高まりそうになると、お金をばらまく。
中国ではいま、かつて中原と呼ばれた地域の農村が貧しく、
むかしの人民公社のような制度を復活させ、管理し、そのかわりに補助金を渡している。

上海で競争しながら、物価高にあえぎながら暮らしている若者からすると、
労働もしないのに、不満をもっているから、という理由だけでお金をもらえるなんて、
そんなのおかしい!となる。
むかしの人民公社のころは全員が貧しかった。
でもいまは、格差の是正のために、働かない人にお金をばらまくようになった。
お金をばらまくときは、必ず利権がからみ、汚職が出てくるでしょ!と。

どこかの国でも聞くような問題が、ある。

日本と中国の対話というと、なぜかみんながプチ政治家になって、
領土問題を語り始めるんだけど、
本当に議論すべきは、人が組織をつくるときに、
その時代が共通でもっているある種の脆さを
どう克服していけるのか、ということなんじゃないだろうか。
そして、それが共産主義の世界同時革命のような失敗するための試みにならないように。

むかし、中国語を話せても、なんにもいいことなんかない、
矢面に立たされるだけだ、と思っていた時期がある。
いまでもそういうときはあるのだけど、
でも、いまは、中国語を学んで本当によかったなあ、と思うようになった。

母が過労で倒れるまでして入れてくれた大学で、中国語を学んだ。
私はそれをずっと後悔しながらきた。
中国語を話せるようにはなったけど、中国語を使いたくないんです、なんて。

今回、中国に来て、ようやく胸をはって、母の気持ちに向き合う準備が
できてきたような気がする。
言葉はどこの国の言語でも、人の魂が生きるためにあるものなんだ。

スピーチの準備

2012-11-09 00:48:38 | Weblog
マクドナルドに入ってコーヒーを頼んだら、9.5元もした。
約120円ということは、日本より高いんじゃないか。
蘭州ラーメンで、ラーメン1杯が10元だから、
中国では、高いぞ、高すぎる。驚いた。

さて、月曜日、会社の朝礼でスピーチ当番なので、
どんなふうに話そうかと考えている。
みんなで持ち回りで3分間くらいのスピーチをするのだけど、
中国人は日本語で、日本人は中国語で話す。
ほとんどの人は、いまやっている仕事の紹介をする。

中国人のスピーチの場合は、必ず、
「○○さんのお力添えで、いま自分の仕事ができています」と、
同僚や上司に対するお礼の言葉をはさむ。
ある意味で定型だから、面白くないとも言えるけれど、
面子を大事にする国民性なんだなあ、と改めて感じたりする。

私のスピーチは、社長曰く「幼稚園の園長先生のお話」なんだそうだ。
話している私の雰囲気と、それを聞いている中国人の顔が、
なんとなく、幼稚園を思い出させるとか。

私も仕事の話を少しはするけれど、ほとんどが個人的な趣味や興味について話す。
中国語で、みんなの顔を見ながら、自分の言いたいことを言うあたりが、
中国人からすると新鮮なんだろう、ということなんだけど、
そう言われてみると、中国人は即興スピーチをあまりせず、
公の場所では、準備したものを読み上げる人が多い。

月曜日のスピーチのテーマは、もう決まった。
絶対、中国人は話さないテーマ、いや話せないと言うか、
引出しとして持っていないテーマにしてみようと思う。
自分たちが知らないことを、自分たちの言語で外国人から語られる。
それは、すごく面白い体験だと思う。

私は、残念ながらそんな経験をしたことがない。
外国人が日本語で、私の知らないことを何だか楽しそうに話している。
これが英語や中国語という外国語であれば、なんら違和感はないだろう。
そもそも、何を話しているか聞き取れないだろうし。
でも、日本語でだったら。

私がそんな経験をするのは、本を読む時だけだろう。

中国人のみんなが、
ファンタジーを読むような気持ちで聞いてくれたらいいな、と思う。

やきいも

2012-11-07 22:19:29 | Weblog
おお~、今日は亡き母の誕生日であった。
おめでとう、お母さん。
死んだ子の歳は数えるな、というけど、親はいいよね。
え~と、あれ?

もう70歳をこえてると思ったのに、まだ66歳だった。
まだまだ若いじゃん。

母と言えば「さつまいも」。
というのも、私が小学生だったころのおやつは、
かなりの確率で、さつまいものスライスをフライパンで焼いたものだった。

ちょうど会社からの帰り道に、やきいも屋さんがいたから、
砲丸投げの砲丸のような、まんまるのやきいもを買った。
10元=約130円。



なかも、ほくほくで甘い、いいさつまいもだった。
さすが、おっちゃんが「お嬢さんのために(←ここポイント)、
おいしいのを選んであげるよ~」と、取り出してくれただけのことはある。



これだけでお腹いっぱいになってしまい、夕飯終了。

今日発売の『新潮』の12月号に、阿部公房の未発表短編「天使」が
掲載されると言うニュースを見た。
しかも満州からの引き揚げのときに書いたらしい、ということで、
さっそくAmazonで購入することにした。

そういえば母がむかし『砂の女』は呼んだほうがいいと言っていたっけ。
確か日本の家に残っていると思うから、今度帰国したら読もう。

母はよくサルトルの著作の話をしていたんだけど、
いま、長い時間をかけて、私はレヴィ・ストロースを読んでいる。
一度、このへんのことを話してみたかったなあ。

昨晩ようやく『寝ながら学べる構造主義』を読み終わり、
母と話がしたい気持ちが、つのってきた。
もう20年以上、話をしてないからなあ。