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東京電力の役員報酬について

2011-04-28 20:00:00 | 震災・原発について
4月28日、海江田万里経済産業相が、東京電力が発表した常務
以上の役員報酬半減について、「まだ足りない」と述べ、一層の
削減が必要との考えを示した。
との記事を読んだ。

東京証券取引所への上場会社情報サービスによれば、東京電力の
取締役は20名、監査役は7名で、それぞれ報酬総額は721百万円、
監査役は141百万円を得る事を株主総会で了承されている。
単純計算で、取締役は一人36百万円、監査役は20百万円の報酬を
得ていることになる。
気になるのは、インセンティブという表現で、業績連動型の報酬制度を
導入していることを明記していることである。

民間企業の取締役がいくら貰おうとそれは私企業のことで、ましてや
株主総会の議決を経て、実行しているのだから、文句を言う筋合いでは
ないかもしれない。

でもだ。でも、いろいろ明るみにでる東京電力の不手際、儲け主義、
官との癒着による甘い管理など、総合的に考えて、役員がこのような高額
の報酬を貰えると考えるのはどう考えてもおかしい。

原発がいまだIAEAから見て、シリアスな状態であると指摘されっぱなしで、
福島県をはじめ、近隣の方々の苦労、家畜を始め、農産物への超長期に
わたる悪影響など、日本経済に深刻な影を落としている現状をみると、
報酬は返上すべきでしょう。

ソフトバンクの孫さんが私財100億円を寄付、楽天の三木谷さんほか多く
のかたが見るに見かねて、寄付をしている。若いかたがボランティアをし
始めている。
そんななかで、自分達の報酬が半分になることに抵抗を示していると聞く
と、あなたたちには仕事に対する情熱やモラルがないのか。と問いたい。

3千万円強の報酬があれば、十分蓄財したでしょう。全額返上するとか、
寄付をするとか、できることは山ほどあります。

ましてや、業績連動方報酬というのは、儲かっているときは青天井で、
補償金など支払超過になるときは、知らん顔という意味ではないでしょ
うね。→東電の清水正孝社長。

日本人より、日本のことを思っているドナルド・キーン氏

2011-04-27 22:27:12 | 震災・原発について
以下報道の引用です。------------------

日本文学研究で知られる米コロンビア大名誉教授のドナルド・キーンさん
(88)が日本に永住する意思を固め、日本に帰化する手続きを始めたこ
とが15日分かった。関係者が明らかにした。関係者は「東日本大震災で
大変心を痛め、被災者との連帯を示すために永住への思いが固くなったよ
うだ」と話している。

 キーンさんは1922年、ニューヨーク生まれ。学生時代に「源氏物語」
の英訳を読み、日本文化に興味を抱いた。日米開戦後は海軍情報士官として、
玉砕した日本兵の遺書を翻訳したり捕虜を尋問。復員後、英ケンブリッジ大、
米コロンビア大、京都大で日本文学を学んだ。
「日本文学の歴史」「百代の過客」「明治天皇」などの著作で知られる。

 三島由紀夫とは京大留学中の54(昭和29)年に知り合って以来の
友人で、三島作品の翻訳も行った。2008(平成20)年に文化勲章を
受章した。

 松尾芭蕉の「おくのほそ道」をたどる旅をし、英訳も出版。東北大
(仙台市)で半年間、講義したこともある。それだけに、被災地の状況を
心配している。平泉の中尊寺は難を逃れたが、何度も訪れた松島や多賀城
など芭蕉ゆかりの地は大きな打撃を受けた…。

 キーンさんはこれまで1年の半分ほどを東京都北区の自宅で過ごして
きたが、26日にコロンビア大で最終講義を迎えることもあり、日本に
永住することを決めた。周囲に「日本が大好きだから」などと説明して
いるという。

「危機だからこそ」
 法務省は15日、震災直後の3月12日から4月8日までの4週間に
日本から出国した外国人は延べ53万1000人で、このうち発生後
1週間では24万4000人だったと発表した。
震災発生前の1週間は14万人だった。

 震災と福島第1原発事故を受けて、各国が一時的な出国検討を勧告し
たり、被災地からの帰国支援を実施したことが影響した。

 NHKのインタビューに応じたキーンさんは「日本は危ないからと、
(外資系の)会社が日本にいる社員を呼び戻したり、野球の外国人選手が
辞めたりしているが、そういうときに、私の日本に対する信念を見せる
のは意味がある」と語った。

 「私は自分の感謝のしるしとして、日本の国籍をいただきたいと思う」
とし、夏までに日本国籍を取得する考えだ。

 独身を通してきたキーンさんは「私は『日本』という女性と結婚した。
日本人は大変優秀な国民だ。現在は一瞬打撃を受けたが、未来は以前より
も立派になると私は信じる」と、新たな祖国になる日本の復活を信じている。

--------------------以上引用。

思わず、涙ぐんでしまった。
リスク管理に優れた外資系企業が一はやく本社機能を大阪に
移転したり、中国料理店がいつのまにか閉店したりと、機を
見るに敏な人たちがいるのは、当然だと思う。
その一方で、安全な本拠地アメリカから、わざわざ日本に帰化する
という、88歳の決断。
信念という、いまどき聞くことのすくない単語で、信念を披瀝する
キーン氏に、敬愛と尊敬の念を抱いた。


それにしても、首相がその「器」でないからとかで、「勉強会」と
称して反対勢力が首相失脚を狙って、60人近くを集めて、気勢を
挙げているという政治の現実は一体なんなのか。

私利私欲でなく、本当に日本をいち早く立ち直らせる方策はないか
を考えるのが政治家なのではないでしょうか。ねぇ山岡さん。

IAEAの発表の微妙な差について

2011-04-24 21:24:19 | 震災・原発について
世界的な尺度で、原子力の情勢について監視・観察を続けているIAEAのサイトを毎日閲覧している。

勿論福島第一原発の状況を知るためだ。

ほぼ毎日、色々なソースから情報を集め、分析して公開している。

福島第一原発の現状をレポートする特設コーナーがあり、そこの
1. Current Situationを見ると、簡単であるが
概況がわかる。

4月2日まで
Overall at the Fukushima Daiichi plant, the situation remains
very serious.

4月20日までのIAEA
Overall, the situation at the Fukushima Daiichi nuclear power
plant remains very serious, but there are early
 signs
of recovery in some functions, such as electrical
power and
instrumentation.

4月21日のIAEA
Overall, the situation at the Fukushima Daiichi nuclear power
plant remains very serious, but there are signs of recovery in some functions, such as electrical power
and instrumentation.

というように少しずつ表現が変化している。
おそらく公開文書の持つ影響力が絶大なのを理解した上での、表現の
を実情に合わせて変更しているものと思われる。

いつの日か、"very serious"という形容詞がなくなる日が来ますように。

原発事故から見えてきたこと。

2011-04-21 19:16:11 | 震災・原発について
東日本大震災発生から、40日以上経過した。
東京に暮らす者であっても、繰り返す余震で落着かない毎日
なのに、被災地や原発周辺の避難地区の方々はどんなに辛い
毎日を過ごされているのかと思うと、心が痛む。

東京電力の福島第一原子力発電所の事故について、いろいろな
ことが見えてきたので、書きとめて置きたい。

会社で、保険毎日新聞という保険業界の専門紙を定期購読している。
ここに熊谷徹氏というドイツ在住のジャーナリストが、コラムを
書かれている。それによると、ドイツはチェルノブイリ(レベル7)
により、かなり放射能被害を受けていたため、今回の福島の事故に
ついても、新聞を始めとしたマスコミが、センセーショナルな扱いで
報道したとのこと。いわく、「日本全体が壊滅的な状態である。」
「放射能汚染が広がり、地獄の黙示録のような世界である」などなど。

地震発生後、1~2日して、たまたま、ドイツ繋がりで、家人の
ところにドイツ人(政府関係機関の要人)の知人からメールが入って、
「日本政府の発表は嘘が多いから信じるな。東京から、もしくは
日本から避難したほうが良い。」という内容であった。
発信人がそれなりの人物なのと、半分以上は当っているのだが、
だからと言って、急に海外に脱出できるはずもなく、何を信じて
良いのか、家のなかでもえらくもめた時期があった。

政府関係の要人とはいえ、ドイツ国内で流されるマスコミ報道に
影響され、また日本政府や東電の対応の拙さもあって、かなり
ネガティブな情報に流されて、家人を心配してアドバイスをくださった
のかなぁ。というのが、今日現在の私なりの受け止め方である。

2つ目。
某金貨販売会社のブログについて。
事故発生直後から、ネットでいろいろ検索していると、
一時データとして民間の研究機関がガイガーカウンターの
数値を公表しているサイトと、IAEAのオフィシャルサイト、
ブルーンバーグやWSJのサイトなどが変なバイアスが掛かって
いない分、信頼に足ると思って、毎朝閲覧する習慣となって
いる。
そして、もう一つ上記某金貨販売会社のブログも基本的に
ネガティブな情報だけを発信しているため、ドイツ人の
日本政府の発表を信じるなとのアドバイスともあいまって、
ウラを取る意味で、閲覧していた。
しばらく読みつづける内に、結局、日本は破滅(特に経済的)に
至るのだから、今のうちに金貨を買わないとこまりますよ
という、完璧な我田引水のブログであることが判ってきた。
以来そう言う立場での記述だと考えて、閲覧するようにしている。
最近では、一応原発が再臨界の危機を脱したようなので、
ギリシャ国債や、アメリカの国債の格下げ問題を話題として
とりあえず、一般人の危機意識を煽ることだけに専念している
ようで、完全に素性がわかってしまったというお話し。

3つ目。
仕事のお付き合いのある、ベンチャー企業の社長さんと
話しをした。社長は今回ボランティアで、岩手の方に
水や下着を届けに行かれたとのこと。東北道を北に上がって
行くと、ガイガーカウンターの数値が、東京の2倍から3倍に
跳ね上がっていったそうでした。
話しを聞いていて、低用量の放射線を、長期間、沢山の人が
浴びつづけるという、今まで人類が経験したことのない領域に
入ってしまったというのが、実感でした。

4つ目。
なんで東京電力は、早くからフランスのアレバ社の申し入れ
を聞いて、解決の糸口をみつけださなかったのだろうか。
なんで、日本政府は、統一感を持って、解決に向けて施策を
しめさなかったのだろうか。
なんで、行政も縦割りの壁をぶち破っても、このまさに国難
に対し、全力投球しないのだろうか。
なんで、自民党の総裁は、面子を捨てて、閣外でも閣内でも
良いので、協力姿勢を示さないのだろうか。

結局、日本は長期的には破滅というより、破綻への道を進んで
いるのではないか。という強い懸念を持っている。

では、自分に何ができるのか。自問自答している。




『われわれはどこから来たのか われわれは何者か われわれはどこへ行くのか』

2011-04-08 20:32:14 | 震災・原発について
『われわれはどこから来たのか われわれは何者か われわれはどこへ行くのか』

ご承知のように、ゴーギャンがタヒチで描きあげた絵画の題名である。
連日、東京電力の福島第一原発に関するニュースで、一東京都民としては
気を揉む毎日である。
今日は、とうとう韓国の首相が、「日本が無能である」との公式発言まで
飛び出し、ひところであったら、国中を騒がす問題発言としてマスコミも
叩きにかかったろうに、こと今回に関しては、「ごもっともでございます」と
頷かざるを得ない、情けない状態である。
冒頭掲げたゴーギャンの時間軸で言えば、われわれはどこから来たのか
今はなんでこうなってしまったのかは、敢えて取り上げない。
そんなこと言っている場合ではないから。

われわれはなにものか。

日々、「想定外」の事態に直面し、計画停電する、しないで振り回され
、色水、おがくず、セメント、水ガラスなどあらゆるものを流し込んで
汚染経路を特定し、遮蔽する。はては、20セント四方のゴム板を
隙間に押し込んで、漏洩を防いでいるという現状である。
(まさかホームセンターに買いにいったんじゃないでしょうね。)

水素爆発を防ぐためと、窒素ガスを封入するのは可としても、格納
容器の全体圧力が上がったとき、どこまで容器が持つのか。

汚染水を貯蔵するメガフロートには期待するが、貯蔵を終えたメガフロート
は、そのあとはどうなるのか。どうするのか

われわれはどこへ行くのか。

一つ一つの作業を説明するのではなく、福島原発の石棺化までの
ロードマップを示してはくれないか。

原発の現場で必死で(まさに死と隣りあわせで)作業をしている人々を
非難するつもりなどない。東京電力には、原子力の専門家ではなくても
頭のよいエリートたちがいるのだから、その人々は英知を絞って
いま、どの段階にあって、次にどう取り組むのか、それを最良、最悪の
シナリオを作成し、国民いや世界中の人々に示す責任があるのでは
ないか。
勿論、一民間企業の問題ではないので、国も省庁の枠を超えて知恵を
出し、規制すべきは規制し、緩和すべきは緩和して、国の経済の沈没を
避けなくてはならないと考える。
そして、それらを統治し、全責任をおうのは首相しかありえないと思う。


非日常としての日常

2011-04-04 22:31:30 | 震災・原発について
3月11日以降、今まで当たり前と思っていた、あるいは思わされていた様々なことが、当たり前でなくなってしまった。当然、被災に会われた方々、そのご家族、非難を余儀なくされた方々、また可愛がっていた動物たち。それらがことごとく、今までの日常と切り離されて、避難所生活で困難な生活を強いられている。

たとえば、東京。朝起きて、民間のガイガーカウンターの数値を公表しているサイトを見て、明らかに例年より多いのは傾向として把握しても、それをくい止める術もなく会社に出て行く。勤務地の辺りは、節電で、朝、昼でも暗くて、通常とはことなる緊張感を強いられる。会社は節電で蛍光灯(いまだにLEDではない)を消灯しているので、PCを見ている分には苦労しないが、紙の書類を読むのは、少し辛い。

新橋駅の方も、飲食街は早く閉まるし、昼時は店員さんが大声で客寄せして、少しでも安いことを訴えないと来客が望めない。

みんな不安を抱えている。原発はどこで歯止めがかかるのか。政府の報道管制はいつものことだが、ドイツなどが発表している放射線の飛散状況など見ると、決して東京が安全などとだれも言えない。海外を拠点とするグローバル企業は、いち早く大阪に本社機能を移したり、日本撤退を決めたH&Mなど、リスクに関する行動は素早く、そして冷徹だ。でも日本にしか根っこがなく、地方に別荘があるわけもない、一会社員はこの、非日常を日常として受け入れるしかない。

この先、復興資金を調達するのには建設国債という名の国債発行か、増税かしか選択肢がないと思う。いずれも日本という国の存亡にかかる決断だ。はたして今の政権でこの重要な舵取りができるのか。野党はいつまで面子にこだわって、国、国民のためを思って、小異をすて大同につくことができないのか。

不思議とお彼岸を過ぎると、日差しが強くなる。窓の空かない、空調を前提としたオフィスでの初夏から秋までをどうすごすのか。

真夏の計画停電という、現代の日本人が経験したことのない非日常を日常生活として過ごさなくてはならない。せめて原発問題が前回記述したIAEAのレポートレベルで、
「シリアスな状態でなくなった」と書かれる日が一日でも早く着て欲しいと祈るばかりである。