東京で竜子の入学式を終えて帰宅した翌日の朝。
オーブンレンジを開けると、クッキーが整然と天板に鎮座しているではありませんか。そういえば、竜子が出発の前日にクッキーを焼いていたのでした。最後の分を取り出し忘れたのでしょう。
恐る恐る数えてみると、数日振りに日の目をみた勘定になります。
においをかいでみると、・・・・なんともありません。
でも、そのままではちょっと心配なので、もう一度焼きなおすことにしました。
弱い火で十数分。クッキーは、香ばしく甦りました。
なんともはや、予期せぬ置き土産です。
お陰で、日曜の朝の遅い朝食は、焼きたてのチョコチップクッキー付きでした。
下宿といっても、学生会館なので（学生快感・・・。さもありなん！）基本的には日曜以外は自炊なしです。雑事？に煩わされることなく勉学に励むことの出来る！！何よりの環境です。
とはいえ、一人残して帰る時はどんな気持ちがするのだろうと心配でした。でも、思ったよりも、拍子抜けするほどすっきりさわやかです。受験にあちこち出向いた頃からずっと続いていた宙ぶらりんな感じが解消されたせいでしょうか。２２回目の結婚記念日でもあった日をお祝いしたワインで撃沈された身体も、意外なほどしゃきっとしていました。
お天気も良く晴れた空に、まだまだ鮮やかなままの桜もきれいに映えています。寂しいというより、これから各々が向かうことに静かに闘志の湧いてくるような心持に少しばかりわくわくもしているところです。