豚も杓子も。

私にすれば上出来じゃん!と開き直って、日々新たに生活しています。

オムライス

2008年01月15日 | Weblog
朝ドラ「ちりとてちん」の主人公喜代美ちゃんが思いを寄せていた兄弟子(本人はまだその時は弟子入りしてなかったのですが)草々さんに、お囃子のお礼にご馳走してもらったオムライス。大阪の中之島あたりの洋食屋さんで、シンプルかつ正統派の木の葉型の綺麗なオムライスをスプーンですくって美味しそうに口に運んでいました。
それは、草々さんにとって、たしか二番目に美味しいオムライスでした。
一番目は、落語の師匠の亡くなった奥さんの作るオムライス。
一体どんなオムライスなのでしょう。とても興味がありました。

何が他と違うのか?
バターをたくさん使うとか?
卵になにか秘密の味付けをするのか?
それとも、ケチャップライスの方に隠し味でもあるのか?

先ごろ登場したそのオムライスは、なるほどそうなのね!・・という工夫が施してあるものでした。
ケチャップライスは普通どおりに作ってあるようです。その上に乗せる卵の部分に秘密?があるのでした。広く丸く焼いた玉子焼きをカバーのようにケチャップライスの上にかぶせるのが一般的な作り方です。でも、おかみさんのオムライスは、木の葉型に整えた半熟のオムレツを同じ形に整えたケチャップライスの上にまずはボンと乗せてしまいます。まるで平べったい雪だるまのようです。その後、オムレツの真ん中にすーっと包丁を入れると、あ~ら不思議、なかから半熟部分が溢れ出したオムレツは自分の重さで、ケチャップライスの両肩へ自然に流れ出し、これもオムライスの一形態だなと思わされる形になるのです。

不器用だという設定の主人公の喜代美ちゃんが、吉弥さん演じる兄弟子草原さんに教わりながら何度も失敗したあげくやっと成功したおかみさん風のオムライス。草々さんとのけんかの仲直りに食べてもらおうと思ったのに、時すでに遅く、草々さんは家を出てしまっていました。
草々さんがこのオムレツを口にする日が来るのでしょうか・・・・。

それにしても、主人公と同じく不器用だったという亡くなったおかみさんは、どうしてこのオムライスを作るようになられたのでしょう。
オムライスは、玉子焼きの焼き加減でずいぶん印象が違ったものになると言っても過言ではありません!
ふんわりとろふわの半熟の玉子焼きとケチャップライスの相性は抜群です。でも、半熟でありながらケチャップライスを覆うに十分な強度の玉子焼きを焼き上げ、それを木の葉型に仕上げると言う作業は、かなり高度な技術を要します。
これを、素人にも取り組みやすい方法で成し遂げるために、古今東西いろいろな研究がなされてきました(?)。ゴジ健さんの「そのまま横滑り製法」も、既成概念を打破した斬新かつ簡便な技でしたが、この「半熟オムレツ切り流し裏返し製法」もなかなか素晴らしい方法だと思いました。
おかみさんが自分で編み出されたのか、それともどなたかから伝授されたのか?
物語の大筋には関係ないことですが、少々気になります。
新婚の草々さんと喜代美ちゃんもどうか早く仲直りできますように。

ところで、この正月の深夜、偶然「文珍・南光のわがまま演芸会」と言う番組で、南光さんの「ちりとてちん」と吉弥さんの「七段目」を見ることが出来ました。再放送のようでしたが、ラッキーでした。いつもはちょっと冴えない地味な落語家を演じている吉弥さんですが、実際の高座のお姿はとても艶やか。いつか生の落語にも接してみたいと思いました。