豚も杓子も。

私にすれば上出来じゃん!と開き直って、日々新たに生活しています。

初観劇

2008年01月23日 | Weblog
久しぶりのお芝居。今年初めての観劇は、ナイロン100℃の「わが闇」でした。
二階席は確かめてはおりませんが、一階席はほぼ満員。広島での集客としては、大健闘だと思います。
今日の舞台は、映像がとても効果的に使われていました。特に、その場に流れている空気が、暗転やフラッシュバック、舞台全体に及ぶ網の目、ひび割れでよりわかりやすく伝わってきたように思います。

ある作家の家族の物語。場面はその作家の住まいの一室ただ一箇所だけです。
それぞれが抱えているそれぞれの闇。大小、濃淡、闇はいろいろです。光を強く浴びている方が濃い闇が作られるのでしょうか?一概にそうだといえないでしょうけれど。
何がしかの闇を抱えて人は生きていかなくてはならないものなのだ・・ということを伝えたかったのでしょうか。だからといって絶望ではなく、諦めでもなく、なんとなくほのかに希望のようなものを残しながら 何も解決しないまま舞台は終わります。
救いは、亡くなったお父さんからの遺言(と言っておきましょう)。
まったく予期せぬところにそれは潜めてあったのですが、その言葉を頼りにこれからそれぞれが生きていくのかなという期待を感じさせてくれました。

今日は、作・演出のケラリーノ・サンドロヴィッチさんもカーテンコールに登場されました。これからこの舞台は小倉、新潟に出かけていくのだそうです。かの地のご親戚に声掛けしてくださいとのことでした。
ケラさん、来場への感謝のお手紙の中でいわく。
「一年八ヶ月の断筆を解いての二作品のうちの一つです。ラストスパートの最初の二作。晩年のはじまり。晩年の最初期。」であると。
ほぼ同年代だとお見受けしましたが、そういう感慨を抱かれての作品だったのですね。晩年であっても他からの刺激や影響を受ける素直な作家でありたいともおっしゃっておりました。単なる頑固爺さん・婆さんは可愛くないですね。

反応が鈍い・・と時に言われる広島の観客ですが、今夜は舞台と同じ速度で呼吸をしていたように思います。俳優さんの笑顔も満足げでした。期待していた大倉孝二さん、三宅弘城さんは、もう舞台にいらっしゃるだけで面白い。客演の坂井真紀ちゃんもキュート!大好演でした。
初観劇・・・私も満足!

終演後に立ち寄ったラーメン屋さんで、二十数年前に同期入社だった男子に偶然会いました。素敵なおじさんになっていてなんだかうれしかったです。相変わらず人懐こい若々しい笑顔。「全然変わらないねえ」って、老眼だけはだいぶ進んでいたようでしたけれど・・。