レカネマブ(レケンビ)について

2023年12月14日 07時26分22秒 | 自己満足的疑問解決
レカネマブに薬価がついたようなので、再投稿。

認知症担当していると、何度も聞かれるのは“レカネマブってどうなん?”
いやいや医療従事者だからといって特別に情報が貰えるワケではなくて、本当に報道されている通り。
私もニュースで知る程度の情報です。



もはやレカネマブ=高い認知症の薬ってのは世間でも認知されていると思うのですが
今回、同じく認知症担当の医師のところにMRさんが情報提供してくれるということでついでに参加させて貰いました。

結論から言います。これはMRさんが言っていたことですが
報道が過熱しすぎてハードルが上がりすぎて困っている。
夢の薬ではないという事実をもっと報道して欲しい。


という感じでした。

どこまでオープンにして良いのかわからないのですが、報道されている限りでは
レカネマブは、神経細胞を死滅させる「アミロイドβ(ベータ)」という物質を除去することで、
ある程度死滅を防ぎ、症状の進行を遅らせる効果が認められています。
臨床試験の結果によりますと、レカネマブを2週に一度、投与した人たちは、
1年半後、投与していない人たちに比べて、悪化の数値を27%抑えることが出来たということです。



この薬は「軽度認知障害」という認知症の前段階と「軽度の認知症」の患者が対象なのですが
端的に言えば、臨床データはあるとは言えレカネマブを使ったからと言って、使われた患者にちゃんと効果が表れているのか?
評価するのは非常に難しいという感じです。結局は使ってなくても一緒だったかも?ということもありえます。

さらに気がかりなのが脳の浮腫や脳出血の副作用が結構多いと言われています。
親しい脳外の先生に言わせれば「脳出血が頻発するから、結構迷惑な薬かも??」とのことでした。

この薬を使うためには上記のような副作用をチェックするために
定期的に検査が必要なのですが、その費用が馬鹿高い…
報道では薬自体が高いって言われているのですが、実はそれ以外にも検査代とかウン万円の世界なのです。

個人的に薬価が高いとは言え、抗がん剤なんかはもっとお金がかかるワケなんで
国の社会保障費を圧迫するとは言え、レカネマブだけがやり玉にあげられるのはどうかな?って思いますが、
私個人が気になっているのは、「症状の悪化を2年から3年ほど遅らせる可能性がある」という点です。
そう、レカネマブは症状の進行を抑えるという意味では従来の薬と同じじゃない?って思います。


もちろん、認知症を持った患者家族にとって、その2,3年はかけがえのないものかも知れません。
ただ先ほど記述している通り、効果の評価をするのは難しいという点で、そこまで騒がれる薬か?と思います。
私は学生に認知症の薬って、下っていくエスカレーターに抗うようなもので、
いつかは力尽きて下に落ちるって説明していますが、レカネマブも同じような感じだと思っています。

保険とか検査費用とかの関係もあるので、年内に薬価がつくとは言え
使われるのは2024年になると思います。上市されて世の中で使われ始めて色々問題点が見えてくると思うのですが、
MRさんが言ってたように昨今の報道はレカネマブを奇跡の薬のように扱ってますが、
現場の意見としては微妙なんだよなぁといった感じです。
今後の動きに注目していきたいと思います。

ちなみにレケンビは商品名だそうで、
レは開発者の名前やレカネマブ由来でケンビは“健美”に由来しているそうです。
MRさん曰く、日本っぽいイメージだとか…。

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