時間は逆戻りするのか(高水裕一/BLUE BACKS)
物理学は、対称性というものに非常に大きな意味を置いている。というよりは、自然は対称性に基づいて設計されている、というほうが正しいのかもしれない。しかし、時間はなぜか、一方向にしか流れない(ように見える)。多くの重要な方程式は、時間の反転を許しているのに。
この本は、時間が逆戻りする可能性について、あらゆる物理学を動員して論じている。相対性理論、量子力学、エントロピー(熱力学)、重力量子理論としての超弦理論とループ量子重力理論、さらにはサイクリック宇宙やホーキング博士の虚時間宇宙、そして人間原理まで。
この本の存在を知ったいきさつ。超弦理論とループ量子重力理論についてネットで調べているときに、両者の関係を簡潔にまとめた記事があり、その中で自著として紹介されていたのがこの本だった。奇しくも先月紹介した『宇宙人と出会う前に読む本』と同じ著者だった、という次第。
結局この本は、時間は逆戻りするのか、という興味深いテーマを設定したうえで、最先端物理学のあれこれを紹介する、一種の入門書を企図しているのだろう。
とはいえ、ロヴェッリが『時間は存在しない』で示した「時間は人間の錯覚にすぎない」という主張を理解するのに役立つかもしれない、という私の期待は、ある程度は満たされた。少なくともこの著者は、ロヴェッリの理論をかなり評価しているように思われる。
画像は、書影とは関係のないイメージ。
物理学は、対称性というものに非常に大きな意味を置いている。というよりは、自然は対称性に基づいて設計されている、というほうが正しいのかもしれない。しかし、時間はなぜか、一方向にしか流れない(ように見える)。多くの重要な方程式は、時間の反転を許しているのに。
この本は、時間が逆戻りする可能性について、あらゆる物理学を動員して論じている。相対性理論、量子力学、エントロピー(熱力学)、重力量子理論としての超弦理論とループ量子重力理論、さらにはサイクリック宇宙やホーキング博士の虚時間宇宙、そして人間原理まで。
この本の存在を知ったいきさつ。超弦理論とループ量子重力理論についてネットで調べているときに、両者の関係を簡潔にまとめた記事があり、その中で自著として紹介されていたのがこの本だった。奇しくも先月紹介した『宇宙人と出会う前に読む本』と同じ著者だった、という次第。
結局この本は、時間は逆戻りするのか、という興味深いテーマを設定したうえで、最先端物理学のあれこれを紹介する、一種の入門書を企図しているのだろう。
とはいえ、ロヴェッリが『時間は存在しない』で示した「時間は人間の錯覚にすぎない」という主張を理解するのに役立つかもしれない、という私の期待は、ある程度は満たされた。少なくともこの著者は、ロヴェッリの理論をかなり評価しているように思われる。
画像は、書影とは関係のないイメージ。