それはあくまで偶然です(ジェフリー・S・ローゼンタール/早川書房)
統計学をベースとする一般向けの読み物。「運と迷信の統計学」とあるが、ある珍しい現象が、単なる偶然なのかどうかは、統計学上の計算によって厳密に判別できる、という趣旨の本。解説書というよりはエッセーに近く、読みやすいと思う。
西欧世界では、キリスト教の影響が大きすぎるから、単に偶然に過ぎない現象も、神のはからい、とか特別のことのように考える傾向が非常に強く、そのような世界で統計学者であることは、かなりしんどいことなのかもしれない。
が、それはそれとして、実はこの本にかこつけて書きたいことがある。私はこれまで、財布を20回以上落として、すべて無傷で返ってきた、という経験を持つ。日本は落とした財布が返ってくる率が非常に高いらしいが、それでも無傷となるとどうだろうか。仮に6割として、それが20回以上連続するのは、相当に珍しいことではないだろうか。
この話をすると、誰も感心してくれない。たいていは、財布を落とした回数の多さにあきれられ、少し気の利いた人は、「あなたは一生分の運をそこで使い果たしている」という。
本人も、15、6回目あたりまでは全ての事例を覚えていたが、途中からは馬鹿らしくなって数えるのを止めてしまった。運がいいのか悪いのか、とこかく40代後半になって、財布を落とすことがなくなってようやく、大人になれたのかもしれない。
『運は数学にまかせないさい』というタイトルの本は同じ人の作品だ。どちらか一冊読めば十分だと思う、たぶん。
統計学をベースとする一般向けの読み物。「運と迷信の統計学」とあるが、ある珍しい現象が、単なる偶然なのかどうかは、統計学上の計算によって厳密に判別できる、という趣旨の本。解説書というよりはエッセーに近く、読みやすいと思う。
西欧世界では、キリスト教の影響が大きすぎるから、単に偶然に過ぎない現象も、神のはからい、とか特別のことのように考える傾向が非常に強く、そのような世界で統計学者であることは、かなりしんどいことなのかもしれない。
が、それはそれとして、実はこの本にかこつけて書きたいことがある。私はこれまで、財布を20回以上落として、すべて無傷で返ってきた、という経験を持つ。日本は落とした財布が返ってくる率が非常に高いらしいが、それでも無傷となるとどうだろうか。仮に6割として、それが20回以上連続するのは、相当に珍しいことではないだろうか。
この話をすると、誰も感心してくれない。たいていは、財布を落とした回数の多さにあきれられ、少し気の利いた人は、「あなたは一生分の運をそこで使い果たしている」という。
本人も、15、6回目あたりまでは全ての事例を覚えていたが、途中からは馬鹿らしくなって数えるのを止めてしまった。運がいいのか悪いのか、とこかく40代後半になって、財布を落とすことがなくなってようやく、大人になれたのかもしれない。
『運は数学にまかせないさい』というタイトルの本は同じ人の作品だ。どちらか一冊読めば十分だと思う、たぶん。