野村又三郎さん
と、驚きました。私は又三郎さんが、幼少名の信行さんだつた芸大の邦楽科の学生さんだつたときから知っています。
当時、ラバーのボンデージウエアで出かけた私に、なんのてらいもなく親切にしてくださって、本当によくできた方でした。本当に育ちの言い方という感じで。その方がやがて結婚され、父となられ、小三郎さんとなり、又三郎さんを襲名され、本当に出世魚のように、大きくなられるのをうれしく拝見していたものです。私がちょうどテレビに出始めたころ名古屋を訪ねたときは、息子さんはまだ六歳でした。それが昨日はもう13際になられ、舞台の稽古を続けられるためか、なんとしっかりした13歳だろうと驚かずにいられない落着きぶり。舞台は勿論素晴らしく、私は孫の成長に驚かされるおばあちゃんになった気分。思わず涙があふれてきて、自分でもびっくりしました。私は子供を育てた経験がないけれど、こうして友達が頑張ってくれることで、少しだけれども親の気持ちを追体験させてもらつて、本当にうれしかった。狂言、という古典芸能を楽しむということは、その一家の成長、命のつながりを見続けることでもあります。長く見るほどに面白くなり、本当に応援したくなるのは、そんな「同時代を生きている家族」のような気持にさせてもらえるからでしよう。古典芸能、最初は敷居が高いかもしれませんが、本当に見るほどに面白く素晴らしい世界です。ぜひ皆さんも、興味をもつて見てください。野村さんのご子息の成長ぶりも併せて応援いただけたら幸いです。でも、本当に子供さてあっという間に大きくなるんだなあ。でもあんな立派なお子さんを育てられ、又三郎さんも奥様も素晴らしいとつくづく思ったのでありました。