歌庭 -utaniwa-

“ハナウタのように:ささやかで、もっと身近な・気楽な庭を。” ~『野口造園』の、徒然日記。

初雪がとけるまで

2013年01月27日 | 徒然 -tzure-zure-
1月14日
初雪。



晴れの うららかな初釜の、
翌日。
予想していなかった雪が降り出した。

朝一番の打ち合わせ先からの帰り道、なにやら吹雪。思わず笑ってしまう。
みんなノロノロ運転。スタッドレスでない軽トラでは、時にタイヤを取られ、時に横滑りし。もはや危険な状態に。
倍以上の時間をかけて、事務所に着いてほっと一息。




安全な室内から眺めるぶんには、雪の降る光景は、格別の美しさ。

昨年末に出来たばかりの、すぐそばの庭の様子を見に。



なかなか壮観。



雪の積もる速度が、存外に速い。




明るいうちに仕事は切り上げて、帰る。



自転車を手でずるずる押しながら。歩いて帰る。


吹雪真っ盛り。




あえて、いつもの公園の中を突っ切ることに。
きっと綺麗な絵が見られると、思ったからだ。



子どもたちは 遊んでる。




遊びに出たまま帰って来ない子どもを心配して、探しに来た母親。






道はすでに消えた。


そして、



世界はやはり 美しいことになっている。




すでに生まれた雪だるま。



凍える鳥は、ただじっと。



凍える湖は、灰色。




冬木立の樹は、ひときわ美しい。
木は、あたたかい。




せっせと、道なき道を進む。
じんわり汗ばむ。




車輪に雪が溜まって時々動けなくなるので、
そのたび、ガンガン、ふるいおとす。


最初は「あははは~*」って、このレアな情況を楽しんでいたが、
ここら辺でもう、若干うんざりし始めている。
絶賛吹雪中だし。
帰ったらお茶を淹れよう、どのお茶を淹れようかな~、なんていう楽しい妄想をしながら、踏み進む。


時々立ち止まっては、カメラを取り出し、写真。
余裕があるというより、根性。




しかし、



やはり美しい。

色もかたちも削ぎ落された状態。





空とひとつに繋がった状態。




白。黒。灰色。墨絵の美。




微かに すきまに残された色は、ひときわ目につく。








道のあちこちに。仕事が速いな。



1月15日

積雪の朝。




道は、凍っている。
デンジャラス。

自転車で滑走なんて出来やしない。
あんだけ頑張ってわざわざ自転車を押して帰った自分の、あのときの判断が、ぜんぜん意味わかんない。

また、同じように、手で押して、会社へ。





雪の影は、青い。

青空より深く青い。









白と黒の世界に、青が加わり。








進行中の現場や、昨年末に出来たばかりの個人庭へ、様子を見に行ったり。





南天が折れてた。それくらいで済んでた。

赤が映える。


雪が ほとんど融けないうちに、
夜になってしまう。




むしろ、より危険な氷になっている。







やはり、手で押して、帰る。



光を吸って、

ほんのり明るい。




1月16日



バラが開いた。




1月17日

バレエ初レッスン。




1月18日



じわじわ、大きく開いてゆく。

もう一つのつぼみも、じわじわ、大きく膨らんでゆく。

富士山は美しく映え、





雪は未だ残っている。





車道はさすがに融けたが、

公園の中は、未だずいぶん、残されている。





夜、かつて高円寺のシェアハウスに集まっていた愉快な面々で、
新年会。なにげに、今年初・新年会。楽しむ。



夜、家に帰ると



より大きく開いて、迎えられる。





1月20日

朝、初お稽古。



雪は未だ残っている。


午後は、仕事。
この一週間でだーっと仕上げた修正案をもって、打ち合わせ。

それを以て、夜遅くまで、さらに修正。


夜道、

残り雪の漂わす冷気と、静けさと、香りに、

「あ、懐かしい」
という感情が動く。

雪が降ると、清浄な空気が還る。




1月21日




進行中の現場を見に行く。

一応順調。


雪だるまは
未だ生きている。


夕方の事務所に、
今年初、天使がご来臨。



お絵描きが好きみたい。来ると必ず、ペンを引っ張り出し、手に取る。
よりにもよって油性マーカー。


言葉が増えている。「文」を喋るようになっている。
2歳数ヶ月の進化ぶりに衝撃。



そして、



この上なく可愛い・・・。
癒される・・・。

この会社に入って一番良かったのは、この子と出逢えた事。それはもう、全く、間違いない。

そもそも、先輩デザイナーさんがこの子を妊娠して、産休中の代わりのデザイナーを探していたところで
たまたま出逢って、入社した。という経緯だったので、

まさに、紛う事無く、この子のお導き。



年始からかつてないスピードと勢いでプランニング作業を詰めていて、
かといって すんなりもいかず、心身疲れているところだった。




この夜、やっと契約へと話が進む。

天使のおかげかも。

一瞬雲行きが怪しくなって、落ちかけていたので、とても救われた。


「頑張ったら、ちゃんと伝わる。」
改めて、そう想う。





1月22日




バラも、静かながらずいぶん開いてきた。





雨のおかげで、
雪も、だいぶ融けて来た。




晴れ。

湖に氷が無い朝も、時々。




雪どけと同時に、



センダンの実が、駆逐され始めた。
それまで見向きもされずにいたのに。

食い散らかす犯人たち。



少しずつ、風景が変わってゆく。






帰って来た部屋に花の色がある。というのは、とても素敵なことだ。




1月23日



あー、雪もだいぶとけて来てしまって、
今更、どのタイミングで「雪が降りました」みたいなブログを書こうかな、、、と悩みつつ、

雪残る光景をまた、撮り重ねながら。







というわけで、

清冽な雪の気配が ずいぶん消え、



残り草の匂いが、戻って来た公園。


もう、忘れかけ始めている。






会社のバラの実。

あれ、こんなにいっぱい花が付いたんだっけ、
と、

そんなことも忘れている事に、ちょっと唖然。




午後を過ぎると、
日の廻るのが速い。

今日はあったかいな、と思っていても、
4時を回ってからの冷え込みの勢いが、凄い。




夜が近づき、冷え込んでくると、
アネモネが、顔を閉じる。

もうすぐ、新しい庭に植える花たち。




1月24日

今年2回目の、バレエレッスン。

タイマン。集中。気合いが入る。いつもより多めに跳ぶ。

翌日、筋肉痛。




1月25日

今年2回目の、お茶のお稽古。



主菓子は、「早春」。水仙の花が、ちょこんと載っている。

今年、水仙が遅い。椿も遅いらしい。

そういえば、昨年の紅葉も遅かった。

全体的に、最近の季節の歩みが、遅めのようだ。


炉のあたたかさで、



お床のロウバイ、「全部つぼみだったのに、全部開いちゃった!」って、先生。

時折、不思議な絶妙なタイミングで、ふわっと、
香りを放ってくれた。



大好きな、早春一番の香り。
そういえば、自分の手がける庭にも、ちょこちょこ植えている。



家に帰ると、



今宵も、バラは、静かに。

一日ごとに、色のグラデーション具合が微妙に変わっている。

というか、
隣のつぼみの勢いに、目を見張る。



1月26日

巷の雪は、もうほとんど、とけた。
アスファルトの道は 乾いている。

日常から消えて、
いとも容易く。

こういうふうにして、また忘れて行くんだろうな、と、想う。



用あって、八王子の工場の方に赴くと、



こちらの雪はまだ健在だった。



そしてまた、思い出す。

ひんやりとした、真白に落ちる蒼い影の美しさ。






この日、プランニングもだいぶ片がついたこともあって、進行中の現場へ。

仕上げ段階が近い。すなわち、
そろそろ自分が乗り出すタイミングが近づいている。

気づけば、一月も、もはや末だった。

時は速い。


最近、もっぱら事務所で数々のプランニング(図面、見積)作業に詰めっぱなしだった。

きっと綺麗であっただろう夕焼けの数々を、遠い窓から眺めやるだけで、
みすみす逃し続けていた。


この日は、久しぶりに、外で見た。




西の雲の色。


そして、



東の春の月。

十四夜の、ほぼ満月の月。



1月27日


今週かけて一気に仕上げたプランをもって、打ち合わせ。
好感触。

頑張ったら、ちゃんと伝わる。

絶対に出し惜しみせず、
出来る事を、しっかりやり遂げれば。

やっぱり、そう想う。



帰り。











初雪は、もう消えていた。











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