1月14日
初雪。
晴れの うららかな初釜の、
翌日。
予想していなかった雪が降り出した。
朝一番の打ち合わせ先からの帰り道、なにやら吹雪。思わず笑ってしまう。
みんなノロノロ運転。スタッドレスでない軽トラでは、時にタイヤを取られ、時に横滑りし。もはや危険な状態に。
倍以上の時間をかけて、事務所に着いてほっと一息。
安全な室内から眺めるぶんには、雪の降る光景は、格別の美しさ。
昨年末に出来たばかりの、すぐそばの庭の様子を見に。
なかなか壮観。
雪の積もる速度が、存外に速い。
明るいうちに仕事は切り上げて、帰る。
自転車を手でずるずる押しながら。歩いて帰る。
吹雪真っ盛り。
あえて、いつもの公園の中を突っ切ることに。
きっと綺麗な絵が見られると、思ったからだ。
子どもたちは 遊んでる。
遊びに出たまま帰って来ない子どもを心配して、探しに来た母親。
道はすでに消えた。
そして、
世界はやはり 美しいことになっている。
すでに生まれた雪だるま。
凍える鳥は、ただじっと。
凍える湖は、灰色。
冬木立の樹は、ひときわ美しい。
木は、あたたかい。
せっせと、道なき道を進む。
じんわり汗ばむ。
車輪に雪が溜まって時々動けなくなるので、
そのたび、ガンガン、ふるいおとす。
最初は「あははは~*」って、このレアな情況を楽しんでいたが、
ここら辺でもう、若干うんざりし始めている。
絶賛吹雪中だし。
帰ったらお茶を淹れよう、どのお茶を淹れようかな~、なんていう楽しい妄想をしながら、踏み進む。
時々立ち止まっては、カメラを取り出し、写真。
余裕があるというより、根性。
しかし、
やはり美しい。
色もかたちも削ぎ落された状態。
空とひとつに繋がった状態。
白。黒。灰色。墨絵の美。
微かに すきまに残された色は、ひときわ目につく。
道のあちこちに。仕事が速いな。
*
1月15日
積雪の朝。
道は、凍っている。
デンジャラス。
自転車で滑走なんて出来やしない。
あんだけ頑張ってわざわざ自転車を押して帰った自分の、あのときの判断が、ぜんぜん意味わかんない。
また、同じように、手で押して、会社へ。
雪の影は、青い。
青空より深く青い。
白と黒の世界に、青が加わり。
*
進行中の現場や、昨年末に出来たばかりの個人庭へ、様子を見に行ったり。
南天が折れてた。それくらいで済んでた。
赤が映える。
雪が ほとんど融けないうちに、
夜になってしまう。
むしろ、より危険な氷になっている。
やはり、手で押して、帰る。
光を吸って、
ほんのり明るい。
*
1月16日
バラが開いた。
*
1月17日
バレエ初レッスン。
1月18日
じわじわ、大きく開いてゆく。
もう一つのつぼみも、じわじわ、大きく膨らんでゆく。
富士山は美しく映え、
雪は未だ残っている。
車道はさすがに融けたが、
公園の中は、未だずいぶん、残されている。
夜、かつて高円寺のシェアハウスに集まっていた愉快な面々で、
新年会。なにげに、今年初・新年会。楽しむ。
夜、家に帰ると
より大きく開いて、迎えられる。
*
1月20日
朝、初お稽古。
雪は未だ残っている。
午後は、仕事。
この一週間でだーっと仕上げた修正案をもって、打ち合わせ。
それを以て、夜遅くまで、さらに修正。
夜道、
残り雪の漂わす冷気と、静けさと、香りに、
「あ、懐かしい」
という感情が動く。
雪が降ると、清浄な空気が還る。
*
1月21日
進行中の現場を見に行く。
一応順調。
雪だるまは
未だ生きている。
夕方の事務所に、
今年初、天使がご来臨。
お絵描きが好きみたい。来ると必ず、ペンを引っ張り出し、手に取る。
よりにもよって油性マーカー。
言葉が増えている。「文」を喋るようになっている。
2歳数ヶ月の進化ぶりに衝撃。
そして、
この上なく可愛い・・・。
癒される・・・。
この会社に入って一番良かったのは、この子と出逢えた事。それはもう、全く、間違いない。
そもそも、先輩デザイナーさんがこの子を妊娠して、産休中の代わりのデザイナーを探していたところで
たまたま出逢って、入社した。という経緯だったので、
まさに、紛う事無く、この子のお導き。
年始からかつてないスピードと勢いでプランニング作業を詰めていて、
かといって すんなりもいかず、心身疲れているところだった。
この夜、やっと契約へと話が進む。
天使のおかげかも。
一瞬雲行きが怪しくなって、落ちかけていたので、とても救われた。
「頑張ったら、ちゃんと伝わる。」
改めて、そう想う。
*
1月22日
バラも、静かながらずいぶん開いてきた。
雨のおかげで、
雪も、だいぶ融けて来た。
晴れ。
湖に氷が無い朝も、時々。
雪どけと同時に、
センダンの実が、駆逐され始めた。
それまで見向きもされずにいたのに。
食い散らかす犯人たち。
少しずつ、風景が変わってゆく。
帰って来た部屋に花の色がある。というのは、とても素敵なことだ。
*
1月23日
あー、雪もだいぶとけて来てしまって、
今更、どのタイミングで「雪が降りました」みたいなブログを書こうかな、、、と悩みつつ、
雪残る光景をまた、撮り重ねながら。
というわけで、
清冽な雪の気配が ずいぶん消え、
残り草の匂いが、戻って来た公園。
もう、忘れかけ始めている。
*
会社のバラの実。
あれ、こんなにいっぱい花が付いたんだっけ、
と、
そんなことも忘れている事に、ちょっと唖然。
午後を過ぎると、
日の廻るのが速い。
今日はあったかいな、と思っていても、
4時を回ってからの冷え込みの勢いが、凄い。
夜が近づき、冷え込んでくると、
アネモネが、顔を閉じる。
もうすぐ、新しい庭に植える花たち。
*
1月24日
今年2回目の、バレエレッスン。
タイマン。集中。気合いが入る。いつもより多めに跳ぶ。
翌日、筋肉痛。
*
1月25日
今年2回目の、お茶のお稽古。
主菓子は、「早春」。水仙の花が、ちょこんと載っている。
今年、水仙が遅い。椿も遅いらしい。
そういえば、昨年の紅葉も遅かった。
全体的に、最近の季節の歩みが、遅めのようだ。
炉のあたたかさで、
お床のロウバイ、「全部つぼみだったのに、全部開いちゃった!」って、先生。
時折、不思議な絶妙なタイミングで、ふわっと、
香りを放ってくれた。
大好きな、早春一番の香り。
そういえば、自分の手がける庭にも、ちょこちょこ植えている。
*
家に帰ると、
今宵も、バラは、静かに。
一日ごとに、色のグラデーション具合が微妙に変わっている。
というか、
隣のつぼみの勢いに、目を見張る。
*
1月26日
巷の雪は、もうほとんど、とけた。
アスファルトの道は 乾いている。
日常から消えて、
いとも容易く。
こういうふうにして、また忘れて行くんだろうな、と、想う。
用あって、八王子の工場の方に赴くと、
こちらの雪はまだ健在だった。
そしてまた、思い出す。
ひんやりとした、真白に落ちる蒼い影の美しさ。
この日、プランニングもだいぶ片がついたこともあって、進行中の現場へ。
仕上げ段階が近い。すなわち、
そろそろ自分が乗り出すタイミングが近づいている。
気づけば、一月も、もはや末だった。
時は速い。
最近、もっぱら事務所で数々のプランニング(図面、見積)作業に詰めっぱなしだった。
きっと綺麗であっただろう夕焼けの数々を、遠い窓から眺めやるだけで、
みすみす逃し続けていた。
この日は、久しぶりに、外で見た。
西の雲の色。
そして、
東の春の月。
十四夜の、ほぼ満月の月。
*
1月27日
今週かけて一気に仕上げたプランをもって、打ち合わせ。
好感触。
頑張ったら、ちゃんと伝わる。
絶対に出し惜しみせず、
出来る事を、しっかりやり遂げれば。
やっぱり、そう想う。
*
帰り。
初雪は、もう消えていた。
*
初雪。
晴れの うららかな初釜の、
翌日。
予想していなかった雪が降り出した。
朝一番の打ち合わせ先からの帰り道、なにやら吹雪。思わず笑ってしまう。
みんなノロノロ運転。スタッドレスでない軽トラでは、時にタイヤを取られ、時に横滑りし。もはや危険な状態に。
倍以上の時間をかけて、事務所に着いてほっと一息。
安全な室内から眺めるぶんには、雪の降る光景は、格別の美しさ。
昨年末に出来たばかりの、すぐそばの庭の様子を見に。
なかなか壮観。
雪の積もる速度が、存外に速い。
明るいうちに仕事は切り上げて、帰る。
自転車を手でずるずる押しながら。歩いて帰る。
吹雪真っ盛り。
あえて、いつもの公園の中を突っ切ることに。
きっと綺麗な絵が見られると、思ったからだ。
子どもたちは 遊んでる。
遊びに出たまま帰って来ない子どもを心配して、探しに来た母親。
道はすでに消えた。
そして、
世界はやはり 美しいことになっている。
すでに生まれた雪だるま。
凍える鳥は、ただじっと。
凍える湖は、灰色。
冬木立の樹は、ひときわ美しい。
木は、あたたかい。
せっせと、道なき道を進む。
じんわり汗ばむ。
車輪に雪が溜まって時々動けなくなるので、
そのたび、ガンガン、ふるいおとす。
最初は「あははは~*」って、このレアな情況を楽しんでいたが、
ここら辺でもう、若干うんざりし始めている。
絶賛吹雪中だし。
帰ったらお茶を淹れよう、どのお茶を淹れようかな~、なんていう楽しい妄想をしながら、踏み進む。
時々立ち止まっては、カメラを取り出し、写真。
余裕があるというより、根性。
しかし、
やはり美しい。
色もかたちも削ぎ落された状態。
空とひとつに繋がった状態。
白。黒。灰色。墨絵の美。
微かに すきまに残された色は、ひときわ目につく。
道のあちこちに。仕事が速いな。
*
1月15日
積雪の朝。
道は、凍っている。
デンジャラス。
自転車で滑走なんて出来やしない。
あんだけ頑張ってわざわざ自転車を押して帰った自分の、あのときの判断が、ぜんぜん意味わかんない。
また、同じように、手で押して、会社へ。
雪の影は、青い。
青空より深く青い。
白と黒の世界に、青が加わり。
*
進行中の現場や、昨年末に出来たばかりの個人庭へ、様子を見に行ったり。
南天が折れてた。それくらいで済んでた。
赤が映える。
雪が ほとんど融けないうちに、
夜になってしまう。
むしろ、より危険な氷になっている。
やはり、手で押して、帰る。
光を吸って、
ほんのり明るい。
*
1月16日
バラが開いた。
*
1月17日
バレエ初レッスン。
1月18日
じわじわ、大きく開いてゆく。
もう一つのつぼみも、じわじわ、大きく膨らんでゆく。
富士山は美しく映え、
雪は未だ残っている。
車道はさすがに融けたが、
公園の中は、未だずいぶん、残されている。
夜、かつて高円寺のシェアハウスに集まっていた愉快な面々で、
新年会。なにげに、今年初・新年会。楽しむ。
夜、家に帰ると
より大きく開いて、迎えられる。
*
1月20日
朝、初お稽古。
雪は未だ残っている。
午後は、仕事。
この一週間でだーっと仕上げた修正案をもって、打ち合わせ。
それを以て、夜遅くまで、さらに修正。
夜道、
残り雪の漂わす冷気と、静けさと、香りに、
「あ、懐かしい」
という感情が動く。
雪が降ると、清浄な空気が還る。
*
1月21日
進行中の現場を見に行く。
一応順調。
雪だるまは
未だ生きている。
夕方の事務所に、
今年初、天使がご来臨。
お絵描きが好きみたい。来ると必ず、ペンを引っ張り出し、手に取る。
よりにもよって油性マーカー。
言葉が増えている。「文」を喋るようになっている。
2歳数ヶ月の進化ぶりに衝撃。
そして、
この上なく可愛い・・・。
癒される・・・。
この会社に入って一番良かったのは、この子と出逢えた事。それはもう、全く、間違いない。
そもそも、先輩デザイナーさんがこの子を妊娠して、産休中の代わりのデザイナーを探していたところで
たまたま出逢って、入社した。という経緯だったので、
まさに、紛う事無く、この子のお導き。
年始からかつてないスピードと勢いでプランニング作業を詰めていて、
かといって すんなりもいかず、心身疲れているところだった。
この夜、やっと契約へと話が進む。
天使のおかげかも。
一瞬雲行きが怪しくなって、落ちかけていたので、とても救われた。
「頑張ったら、ちゃんと伝わる。」
改めて、そう想う。
*
1月22日
バラも、静かながらずいぶん開いてきた。
雨のおかげで、
雪も、だいぶ融けて来た。
晴れ。
湖に氷が無い朝も、時々。
雪どけと同時に、
センダンの実が、駆逐され始めた。
それまで見向きもされずにいたのに。
食い散らかす犯人たち。
少しずつ、風景が変わってゆく。
帰って来た部屋に花の色がある。というのは、とても素敵なことだ。
*
1月23日
あー、雪もだいぶとけて来てしまって、
今更、どのタイミングで「雪が降りました」みたいなブログを書こうかな、、、と悩みつつ、
雪残る光景をまた、撮り重ねながら。
というわけで、
清冽な雪の気配が ずいぶん消え、
残り草の匂いが、戻って来た公園。
もう、忘れかけ始めている。
*
会社のバラの実。
あれ、こんなにいっぱい花が付いたんだっけ、
と、
そんなことも忘れている事に、ちょっと唖然。
午後を過ぎると、
日の廻るのが速い。
今日はあったかいな、と思っていても、
4時を回ってからの冷え込みの勢いが、凄い。
夜が近づき、冷え込んでくると、
アネモネが、顔を閉じる。
もうすぐ、新しい庭に植える花たち。
*
1月24日
今年2回目の、バレエレッスン。
タイマン。集中。気合いが入る。いつもより多めに跳ぶ。
翌日、筋肉痛。
*
1月25日
今年2回目の、お茶のお稽古。
主菓子は、「早春」。水仙の花が、ちょこんと載っている。
今年、水仙が遅い。椿も遅いらしい。
そういえば、昨年の紅葉も遅かった。
全体的に、最近の季節の歩みが、遅めのようだ。
炉のあたたかさで、
お床のロウバイ、「全部つぼみだったのに、全部開いちゃった!」って、先生。
時折、不思議な絶妙なタイミングで、ふわっと、
香りを放ってくれた。
大好きな、早春一番の香り。
そういえば、自分の手がける庭にも、ちょこちょこ植えている。
*
家に帰ると、
今宵も、バラは、静かに。
一日ごとに、色のグラデーション具合が微妙に変わっている。
というか、
隣のつぼみの勢いに、目を見張る。
*
1月26日
巷の雪は、もうほとんど、とけた。
アスファルトの道は 乾いている。
日常から消えて、
いとも容易く。
こういうふうにして、また忘れて行くんだろうな、と、想う。
用あって、八王子の工場の方に赴くと、
こちらの雪はまだ健在だった。
そしてまた、思い出す。
ひんやりとした、真白に落ちる蒼い影の美しさ。
この日、プランニングもだいぶ片がついたこともあって、進行中の現場へ。
仕上げ段階が近い。すなわち、
そろそろ自分が乗り出すタイミングが近づいている。
気づけば、一月も、もはや末だった。
時は速い。
最近、もっぱら事務所で数々のプランニング(図面、見積)作業に詰めっぱなしだった。
きっと綺麗であっただろう夕焼けの数々を、遠い窓から眺めやるだけで、
みすみす逃し続けていた。
この日は、久しぶりに、外で見た。
西の雲の色。
そして、
東の春の月。
十四夜の、ほぼ満月の月。
*
1月27日
今週かけて一気に仕上げたプランをもって、打ち合わせ。
好感触。
頑張ったら、ちゃんと伝わる。
絶対に出し惜しみせず、
出来る事を、しっかりやり遂げれば。
やっぱり、そう想う。
*
帰り。
初雪は、もう消えていた。
*