一体いつ終わるのか。
2013年夏(もうすぐ丸2年前)の、イギリス旅日記・長期断続連載。続きです。
〜7月27日(土):8日目〜
湖水地方の瀟洒なホテル: 'Fayrer Garden House Hotel'で、瀟洒なお目覚め。
さっさと出立してしまうのも勿体なく、チェックアウトギリギリまで、だらだら。噛み締めました。
*
この日は、いよいよ湖水地方を離れる日。(長く滞在している気分ですが、わずか2日強です)
締めに立ち寄ることにしたのは、、
ここ。
Rydal Mount(ライダル・マウント)
詩人:ワーズワースが、晩年家族と過ごした家。そして、彼のデザインした庭があります。
Windermere(ウィンダミア)とGrasmere(グラスミア)の間にある、Ambleside(アンブルサイド)という町の郊外、
Rydal Water(ライダル湖)湖畔の、山の中腹、きつい坂道の途中にあります。
到着すると、
日本のツアー客の一団も、同時に、どどどー!っと、やって来ました。
ツアーの時間の都合なのか、肝心の家の中に彼らは入れさせてもらえず、
外の庭だけを「20分くらいで廻って下さ〜い!」って言われるがまま、
わらわらと、庭に散っていきました。
室内は撮影禁止。
原稿や蔵書、手紙、家具や調度品、当時の暮らしのそのままの時間と空間が、
静かに展示されていました。
他に見学客も居なかったので、
ほんと、時が止まったように、静か。
入ってみて、団体ツアー客の方々が入れなかった理由が、なんとなくわかりました。
建物自体が古く、「気をつけて、そ〜っと歩いて下さい」という、ミシミシなるようなところもあります。
わりかしこじんまりとした個人邸(マナーハウスや宮殿系の邸宅に比べて)だし、
繊細な展示が多いので、ツアー団体客のような大人数が一気に入るのは厳しそうだと、察せられました。
でも、展示や案内のほとんどすべてに、日本語のガイドキャプションが添えられていました。
日本からのお客が多いんでしょうね、湖水地方。
*
外の庭は、
ワーズワースが自らデザインしたという、
すんごい広い、風景式庭園。
繊細な淡い色の花が多いようです。
多い、というか、ほとんど全部。繊細系です。
ほんわり淡い、優しい色調で整えられています。
わたくし好み。
*
庭というか、ほとんど、
森です。
森の小径なのです。
これは完・全に わたくし好み。
テンションが上がらざるを得ず、
「ここ来て大正解だった〜!」
と、ふわっふわに浮かれて、
なんでもかんでも絵になる風景を、どこからどう見ても絵になるわ〜*って、
内心で キャッキャ叫びながら、駆け巡りました。
嬉しくてしょうがない。
*
道すがら 不意に現れる、
休み処。
シェルターというか、瞑想場のよう。
サマーハウス、ですって。
中はこんな。木で綺麗に、ぴっちりと模様。
中からの見えはこんな。
そして、
抜けた後の外からの見えはこんな。
ピクチャレスク(絵になる)。
ピクチャレスク。ピクチャレスクだわ。好きな言葉なので、ぶつぶつ呟きつつ。
*
隣の敷地との境界あたりで
馬と遭遇したり。
*
森に興味ない人には全くどうでも良い感じでしょうが、
見て見て、苔が!こんなに!ふわっふわ!
とか。
空間を緑がまあるく包んでる感じ!とか。
川!とか。流れに沿ってくねる道の抜けの、ドラマティックな感じとか。
いろいろ細かく見始めると、‘宇宙’が見えて来てしまうので、
大変です。
ああ!この木の下にこんな風にこの草があって、こんな風にかぶさり合って、
空がこんな風に抜けて見えてて、向こうが微妙に隠されてて、、うわ〜〜なるほど〜〜 うわ〜〜〜
そして花!ここにこんな風に、花が来ちゃう!うわ〜〜〜
えちょっと待って、そしたらもうちょっとあっちから見たらこれどんな感じか、、、うわ〜〜なるほど〜〜!
って按配で
なかなか先に進めなくて。
*
これを書いている今、ちょうどここ日本は梅雨時期で
空気がしっとり、朝晩はひんやりしています。
それが、この時のイギリスの感じに、実は結構似ていて、
思い出しやすいのです。
ひんやりした、森の空気の感じ。水を含んだ緑の香り。
落ち着いた湿度のやわらかい感じ。
そうそう、
アジサイも、きれいな盛りを迎えていて。
2年も時間が経っていることを書くとなると、、、
写真を見れば 流れは思い出せても、
やっぱり色々忘れてしまって。どうしても、端折ってしまう感じになります。
写真に撮らなかった部分。
細やかな事柄。その瞬間の、ちいさな気持ちの、ちいさな揺らぎ。
とりわけ明確に思い出せないのが、
香りと、触覚。
そして、
肌にふれる空気感。
今、季節がまた一巡して、梅雨という、とても特殊な、しかし、あのときのイギリスと今の日本がちょうど似通った空気になってくれている、ベストタイミングのうちに。
*
森の小径を一周して、
庭に戻って来ました。
ベンチのある、石張りの丸いテラス。
ここからは、
眼下のRydal Water(ライダル湖)が見えます。
細く、ちら見え。
木を伐り開いて、
どうだー!パノラマ・ヴューだー!って感じじゃないのが、奥ゆかしいですね。
細く小さく、かいま見える、遠く。
そしてまた、
近く、
手元・足もとの小さな草に、振り返る。
*
石のテラスの背後は、
綺麗な芝と、石の小屋あり。
小屋の屋根の
ふわふわの
コケ。
見逃しません。
たまりません。
もりっもりです。
ふわっふわです。
*
家への道。
振り返る。湖を見下ろすテラスを、見下ろす。
ピクチャレスク。
そして、
ピクチャレスク。
ていうか広い。
ちょっと脇道、
ハッ!!!
・・・ラビッツ!!!
ピーーーーターーー!!!
慌ててズームアップ!!!
ぴょぴょぴょい〜〜っと、逃げてしまいました。
これぞ本場の、ピーターラビット、、、見た!
静寂に突如訪れた一瞬の劇的な出来事で、あたふた、ドキドキ。
そして、感無量。
ちなみに、このライダルマウント、ご子孫(たぶん)が実際に現役で暮らしていて、
菜園もあったりします。
生ピーターが現れたのは、ちょうどここの辺りでした。
しかし広い。
なのに、
こんなに綺麗にメンテナンスされて、、、大変だろうなあと思います。
さすがは、ガーデニングの国。
どこを切り取っても、ちゃんと絵になるように、
綺麗に整っています。
もしゃっとしたところも、
かちっとしたところも。
*
さて、
一周してきました。
楽しい森庭歩きでした。
カフェで一息したいところですが、
ちょっとのんびりしすぎたので、先を急ぐことにします。
実は、
詩人:ワーズワースの作品、
ひとつも読んだことがありませんでした。
ちなみに、
ピーターラビットも、触れたことがありませんでした。
なので、同じ湖水地方に、ピーターラビットの作者:ビアトリクス・ポターの記念館みたいなものもあったのですが、
行きませんでした。
また、いつか。
*
さて、
しっとりした森に包まれた愛おしい湖水地方を発ち、
南東方面へ 車を走らせまして、、、、
次なる風景は、
一風変わって、
こんな感じで。
ヨークシャーデイルズ編に、続く。
*
2013年夏(もうすぐ丸2年前)の、イギリス旅日記・長期断続連載。続きです。
〜7月27日(土):8日目〜
湖水地方の瀟洒なホテル: 'Fayrer Garden House Hotel'で、瀟洒なお目覚め。
さっさと出立してしまうのも勿体なく、チェックアウトギリギリまで、だらだら。噛み締めました。
*
この日は、いよいよ湖水地方を離れる日。(長く滞在している気分ですが、わずか2日強です)
締めに立ち寄ることにしたのは、、
ここ。
Rydal Mount(ライダル・マウント)
詩人:ワーズワースが、晩年家族と過ごした家。そして、彼のデザインした庭があります。
Windermere(ウィンダミア)とGrasmere(グラスミア)の間にある、Ambleside(アンブルサイド)という町の郊外、
Rydal Water(ライダル湖)湖畔の、山の中腹、きつい坂道の途中にあります。
到着すると、
日本のツアー客の一団も、同時に、どどどー!っと、やって来ました。
ツアーの時間の都合なのか、肝心の家の中に彼らは入れさせてもらえず、
外の庭だけを「20分くらいで廻って下さ〜い!」って言われるがまま、
わらわらと、庭に散っていきました。
室内は撮影禁止。
原稿や蔵書、手紙、家具や調度品、当時の暮らしのそのままの時間と空間が、
静かに展示されていました。
他に見学客も居なかったので、
ほんと、時が止まったように、静か。
入ってみて、団体ツアー客の方々が入れなかった理由が、なんとなくわかりました。
建物自体が古く、「気をつけて、そ〜っと歩いて下さい」という、ミシミシなるようなところもあります。
わりかしこじんまりとした個人邸(マナーハウスや宮殿系の邸宅に比べて)だし、
繊細な展示が多いので、ツアー団体客のような大人数が一気に入るのは厳しそうだと、察せられました。
でも、展示や案内のほとんどすべてに、日本語のガイドキャプションが添えられていました。
日本からのお客が多いんでしょうね、湖水地方。
*
外の庭は、
ワーズワースが自らデザインしたという、
すんごい広い、風景式庭園。
繊細な淡い色の花が多いようです。
多い、というか、ほとんど全部。繊細系です。
ほんわり淡い、優しい色調で整えられています。
わたくし好み。
*
庭というか、ほとんど、
森です。
森の小径なのです。
これは完・全に わたくし好み。
テンションが上がらざるを得ず、
「ここ来て大正解だった〜!」
と、ふわっふわに浮かれて、
なんでもかんでも絵になる風景を、どこからどう見ても絵になるわ〜*って、
内心で キャッキャ叫びながら、駆け巡りました。
嬉しくてしょうがない。
*
道すがら 不意に現れる、
休み処。
シェルターというか、瞑想場のよう。
サマーハウス、ですって。
中はこんな。木で綺麗に、ぴっちりと模様。
中からの見えはこんな。
そして、
抜けた後の外からの見えはこんな。
ピクチャレスク(絵になる)。
ピクチャレスク。ピクチャレスクだわ。好きな言葉なので、ぶつぶつ呟きつつ。
*
隣の敷地との境界あたりで
馬と遭遇したり。
*
森に興味ない人には全くどうでも良い感じでしょうが、
見て見て、苔が!こんなに!ふわっふわ!
とか。
空間を緑がまあるく包んでる感じ!とか。
川!とか。流れに沿ってくねる道の抜けの、ドラマティックな感じとか。
いろいろ細かく見始めると、‘宇宙’が見えて来てしまうので、
大変です。
ああ!この木の下にこんな風にこの草があって、こんな風にかぶさり合って、
空がこんな風に抜けて見えてて、向こうが微妙に隠されてて、、うわ〜〜なるほど〜〜 うわ〜〜〜
そして花!ここにこんな風に、花が来ちゃう!うわ〜〜〜
えちょっと待って、そしたらもうちょっとあっちから見たらこれどんな感じか、、、うわ〜〜なるほど〜〜!
って按配で
なかなか先に進めなくて。
*
これを書いている今、ちょうどここ日本は梅雨時期で
空気がしっとり、朝晩はひんやりしています。
それが、この時のイギリスの感じに、実は結構似ていて、
思い出しやすいのです。
ひんやりした、森の空気の感じ。水を含んだ緑の香り。
落ち着いた湿度のやわらかい感じ。
そうそう、
アジサイも、きれいな盛りを迎えていて。
2年も時間が経っていることを書くとなると、、、
写真を見れば 流れは思い出せても、
やっぱり色々忘れてしまって。どうしても、端折ってしまう感じになります。
写真に撮らなかった部分。
細やかな事柄。その瞬間の、ちいさな気持ちの、ちいさな揺らぎ。
とりわけ明確に思い出せないのが、
香りと、触覚。
そして、
肌にふれる空気感。
今、季節がまた一巡して、梅雨という、とても特殊な、しかし、あのときのイギリスと今の日本がちょうど似通った空気になってくれている、ベストタイミングのうちに。
*
森の小径を一周して、
庭に戻って来ました。
ベンチのある、石張りの丸いテラス。
ここからは、
眼下のRydal Water(ライダル湖)が見えます。
細く、ちら見え。
木を伐り開いて、
どうだー!パノラマ・ヴューだー!って感じじゃないのが、奥ゆかしいですね。
細く小さく、かいま見える、遠く。
そしてまた、
近く、
手元・足もとの小さな草に、振り返る。
*
石のテラスの背後は、
綺麗な芝と、石の小屋あり。
小屋の屋根の
ふわふわの
コケ。
見逃しません。
たまりません。
もりっもりです。
ふわっふわです。
*
家への道。
振り返る。湖を見下ろすテラスを、見下ろす。
ピクチャレスク。
そして、
ピクチャレスク。
ていうか広い。
ちょっと脇道、
ハッ!!!
・・・ラビッツ!!!
ピーーーーターーー!!!
慌ててズームアップ!!!
ぴょぴょぴょい〜〜っと、逃げてしまいました。
これぞ本場の、ピーターラビット、、、見た!
静寂に突如訪れた一瞬の劇的な出来事で、あたふた、ドキドキ。
そして、感無量。
ちなみに、このライダルマウント、ご子孫(たぶん)が実際に現役で暮らしていて、
菜園もあったりします。
生ピーターが現れたのは、ちょうどここの辺りでした。
しかし広い。
なのに、
こんなに綺麗にメンテナンスされて、、、大変だろうなあと思います。
さすがは、ガーデニングの国。
どこを切り取っても、ちゃんと絵になるように、
綺麗に整っています。
もしゃっとしたところも、
かちっとしたところも。
*
さて、
一周してきました。
楽しい森庭歩きでした。
カフェで一息したいところですが、
ちょっとのんびりしすぎたので、先を急ぐことにします。
実は、
詩人:ワーズワースの作品、
ひとつも読んだことがありませんでした。
ちなみに、
ピーターラビットも、触れたことがありませんでした。
なので、同じ湖水地方に、ピーターラビットの作者:ビアトリクス・ポターの記念館みたいなものもあったのですが、
行きませんでした。
また、いつか。
*
さて、
しっとりした森に包まれた愛おしい湖水地方を発ち、
南東方面へ 車を走らせまして、、、、
次なる風景は、
一風変わって、
こんな感じで。
ヨークシャーデイルズ編に、続く。
*