歌庭 -utaniwa-

“ハナウタのように:ささやかで、もっと身近な・気楽な庭を。” ~『野口造園』の、徒然日記。

自慢の庭

2014年04月21日 | 造園 -creation-
作ってから、4度目の春。



自ら手塩にかけて育てているので、思い入れも深い。

自画自賛になるけど、一歩踏み入れると、空気ががらっと変わるんです。
何か違う雰囲気(オーラ?)が、そこにあるんです。いやほんとにほんとに。

今のところ、自分としては最高傑作と言える、自慢の庭です。



元々あったのは、桜の古木、ひとつ。



あとは手つかずの、雑草ボーボーの、なんとなく暗~い空き地でした。

「ここ、なんとか出来ないかしら?」ってオーナーさんに打診されて、
100%自分の好きなようにデザインさせてもらった庭。

回遊路があって、色んな種類の樹々があって、
なによりも‘自然’な、森のような雰囲気のある庭を、作ってみたのでした。

今の会社に入って、庭のデザイナーとして本格的にスタートしてから半年経ったくらいの、まだ初々しい時のこと。



今年。
一番に咲いたのは、



去年追加で植えた、玄海(ゲンカイ)ツツジでした。
一番最初に咲くツツジです。



3月半ば。
まだ咲いていない桜の枯れ木立の下に。

遠くからでも、パッと目に飛び込んで来た、鮮やかなピンク。
そのまばゆさに、うち震えました。


そして、



その奥に灯るのは、
トサミズキの蛍光イエロー。



苑路沿いには、ハナニラの白い星。

まばゆい、明るい、
春の訪れを象徴する色たち。


周囲に芽吹き始めていたのは



たくさんの



これ。



チューリップ。

植えっぱなしで 毎年咲き続けてくれています。



桜とほとんど同時に(か、ちょっとだけ遅れて)咲く。



そして、
桜がさっさと散った後も。






桜が散るタイミングで、
一気に波が押し寄せるように、春の本番が、始まります。



ギボウシの芽吹き。



スノーフレーク。

満を持しての、花、花、花。



4月10日。

このときはまだ、虫垂炎による腹痛を堪えながら。ふらふら。
「今がこの庭のベストシーズンなんだから、見逃してはならない!」と、無理して行ってみたのです。

最初は重く引きずる様なだるさを抱えていたのが、
写真を撮っていたら、なんとなく、腹痛を忘れていました。なんとなく、ですけど。

で、
さて帰るかと踵を返したら、またぐりぐりぐり、、と、。




それから、ぐったり休養期間を挟んで、


4月17日、再訪。

チューリップはすでに満開を越え、



シャガが一斉に咲き出して、
桜の周りが、ますます明るくなってきました。

勝手にどんどん増えすぎるほど増えて群生する、シャガ。
日蔭を明るく幽玄に灯す、神妙な花。
見れば見るほど、不思議な造形。そして、優しい綺麗な香り。




この庭は、
自分が植えていない珍しい植物も ひょっこり出て来ます。



浦島草(うらしまそう)。
この奇怪な暗い色の花を見つけた時には、ほんとにビックリ。

去年は一つだけだったのが、今年は2つに増えていたので、またビックリ。嬉しいビックリ。



十二単(じゅうにひとえ)と思しき、可憐な花も。今年、初登場。

「あれっ!?」っていう、
不意に宝物を見つけたような こういう驚きは、ほんとに嬉しい。


自分の、「こうだったらいいな」と思い描いた庭の理想像と、
自然の、自然なる、気まぐれに見える不思議な力とが、戦うのではなく、融け合って、混ざり合って、
庭になる。

時に、ちゃんと手を入れて、整えながら。




さて、

あっという間に、緑の季節。

これから、まだ柔らかい淡い新緑が、めきめきと厚く、強く、茂って来ます。
ぐんぐん伸びる生命力に満ち溢れる季節。


つられて自分まで、なんだか力が溢れて来るような。
元気をもらえる季節。

虫垂炎も、ときどき不安の種をうずかせながらも、一応快方の傾向。


4月21日。
ますます綺麗な、豊かな森に。



人は、自分の好きな事に没頭したり、好きな場所に落ち着いたりする時、
苦しい事とか辛い事とか心配事とか 痛いお腹のこととか、忘れることが出来るみたい。

自分にもそういう場所があって、嬉しい。

というか、

そういう場所を自分が作る事が出来たということが、嬉しい。


そんなわけで、
自画自賛させて頂きたい、自慢の庭です。


ここみたいな庭を、
もっと色んな人が訪れることが出来る庭を、
もっと多くの人が 幸せな気持ちになれるような庭を、
もっと作っていけたら。

と、

初々しい初心を思い返したり、しつつ。






今年の桜も

2014年04月14日 | 徒然 -tzure-zure-













































あっという間でした。

でも、色も香りも、充分しっかり、堪能させてもらいました。



3月末に急性虫垂炎でぶっ倒れて、最初に駆け込んだ最寄りの診療所がヤブで、一週間後にちゃんとした病院にかかり直して、
かれこれ2週間。
一方外界は、桜が満開。春の陽気。

じりじりと耐えながら、悔しがりながら、寝込むばかりの日が続きました。

そして、

久しぶりに 外界に出た朝の、キラキラした感動たるや・・・!

桜だけじゃなくて、ユキヤナギやら ミツバツツジやらモクレンやら、もう、あれやこれやの春の花が吹いて、
梢に やわらかな萌黄色があふれてて、あっちに目移り・こっちに目移り、
めまいがするほど世界がふわふわカラフルで、ぷりぷりの生命感にあふれていて、

「世界が、美しい!!」

って言葉が、本気で文字通りそのまんま、心の底からスパーン!と、まっすぐ湧き出してきました。

やっと外に出られたっていう喜びが、待ち構えていた春の色んな色とりどりに見事に重なり表されて、
嬉しさがひときわストレートに大爆発したような。
これが冬だったら、ここまで喜びに溢れたりしなかったろうな。



「またふっと痛み出すんじゃないか、、」と、まだ予断を許さぬ、安心し切れない状態ではありますが。
薬の御蔭で、だいぶ治って来ました。

治って来たら治って来たで、当時の苦しみとか痛みとか、すっかり忘れてしまう。
人間って、つくづく現金な奴というか、よく出来てるもんです。


しかし、
普段から健康には、気をつけてたはずだったんだけどなあ。なんで病気になったんだろう。
急性虫垂炎なんて、何をどう気をつければ良かったんだか、全然わからぬ。

色々、謎です。


しかし、
世界は、ものすごく美しい。

今こそ、まさに。






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