歌庭 -utaniwa-

“ハナウタのように:ささやかで、もっと身近な・気楽な庭を。” ~『野口造園』の、徒然日記。

まゆみのみ

2013年10月23日 | 徒然 -tzure-zure-
今年もマユミが可愛くて。



はっきりとした「ピンク」だ。

色鉛筆のピンクみたいな、わかりやすい、そのまんまのピンク。

ただただ、ピンク。

それ以外の何物でもない、
「ほんのり赤みが、、、」とか「ややシックな、、」とかいう、ほんのささやかな修飾語さえ全く要らないくらいの、

 「ザ・ピンク」。

なのに、
不思議と全く、押し付けがましくない。

とても柔らかく、とても優しい。

そして、
いと可愛らしい。





その、丸くてたわわな 鈴なりっぷりが、その愛嬌に一役買っているだろうが、
秋というこの季節特有の、この‘空気感’のおかげ、、、も、あるかもしれない。


秋とは、
暑くなく、寒すぎない。ほどよく涼しい。そんな季節。
気候的なストレスは、ほとんど感じないで居られる。とても貴重な時季。


なおかつ、
穏やかで、静か。

忙しなく旺盛な夏が幕を引き、
冬という「終わりの季節」へ向かって、コツコツ、降りるしかない階段を降りていくような。
淡々とした。
あきらめのような。

無抵抗の、沈黙のような。


春の、「始まりの季節」特有の、じわじわモリモリ募って来るキラキラ(ハアハア)した昂揚感とは、
まったく逆。


春と秋、
似たような気温でありながら、
全く真逆の、空気感。




秋とは、
精神的にも 肉体的にも 何も強いることなく、ただただ「フツーに過ごして居る」だけで、
自然にニュートラルになれる季節。


気負いや、力みや、どこかに我慢を強いることで生まれる疲れなんかが
サッパリ抜けて、
ニュートラルになりやすい。だから、色んな活動にも、集中力を注ぎやすい。

芸術の秋。スポーツの秋。


自然界にちらばる美しい色彩や、豊かなみのりの美味しさにも、目が向きやすい。

おあつらえ向きに。周りを見渡せば、
色とりどりの鮮やかな紅葉。たっぷり贅沢に、世界は見目麗しい。

そして、

イモ 栗 かぼちゃ

収穫される実りは どれもほっこりとやわらかく、甘く、優しく、美味しい。

食道楽。旅道楽。


秋は、
枯れ落ちて死ぬ直前の、最期の極彩。




マユミのやわらかいピンクは、そんな、
淡々と、終わりへつながる階段を降りてゆく、静かな沈黙の空気に、
よく映える。





じき、

この実が弾けて、
中からより鮮やかな、赤の、まんまるい"本体"が現れる。


それもまた、可愛い。


まゆみ。その名前も。
よくよく見れば、

「ま」も、「ゆ」も、「み」も、

おや偶然か、くるりとまるくひとひねり。それもまた、可愛い。


可愛い可愛い、

こんだけ可愛いづくしなのに、
なんと、この実は「毒」なのだ。美味しそうだが、絶対に食べてはいけない。

そこのところは、可愛くない。







蜉蝣

2013年10月22日 | 徒然 -tzure-zure-
花の図鑑をめくっていると、

ファッ、と、



虫が飛来した。
ちょうど、花のところに。

カゲロウかな?小さなキミドリの、透けた翅の。

ホンモノの花と間違えたのかな。と、微笑ましく思い、
しばし眺めてみる。


特に動かず、花のところにじっと、止まっている。


まじまじと観てみると、
翅の透ける具合や、網目模様の緻密整然、触覚の細さのナノミクロンっぷり、、、色々と、すごい。感嘆させられる。普段、虫には全然興味が無いのでまじまじと見ることが無いのだが、これは凄い、見るべき価値ある造形美。

しばしの後、
別の紙で そっとすくって、そーっと、外に放した。

パタパタ、と飛んでった。
音も無く。

その飛び方と飛ぶ姿の有様を見るに、やはりカゲロウらしい。

早速ネットで調べてみると、やはりそれはカゲロウで、どうやら
「クサカゲロウ」
というもののようだった。


チョウチョ、トンボに並び、
「なかなか悪くない虫リスト」に、クサカゲロウが新しく加わった。




カゲロウ。何よりも、名前がとても良い。詩的で。

蜉蝣。漢字が格好良い。














黄+黒=?

2013年10月07日 | 徒然 -tzure-zure-


黄花(キバナ)コスモス。・・・の、オレンジ。

 (学名:Cosmos sulphureus)
 sulphureusっていうのは、sulphur = sulfur = ‘硫黄(いおう)色の’
 要するに、「硫黄色のコスモス」って意味ですね。


ついでにちょろちょろっと調べたら、

「チョコレートコスモス」(チョコレートの香りのする黒いコスモス)とは交配可能で、
その交配種は
「ストロベリーチョコレート」
と言うんですって!なにそれ!ぜひ見てみたい!見た事あったかな?

しかし、
黄色(っぽいオレンジ)と、黒(っぽい茶色)が混ざったら、、、、ん?何色?


汚い茶色っぽいイメージしか湧かなかったので、これまた調べてみたら、、、

どうやら、濃い‘赤’のようです。

ほう。

色素の成分にまつわる化学的な分析は、・・・化学苦手なので、さておきまして。

・・・とりあえず、、、生で見てみたい。そして、匂ってみたい・・・。





【※業務連絡】
 イギリス旅日記は、

 鋭意・難産中です;


今年も金木犀が

2013年10月05日 | 徒然 -tzure-zure-
10月3日(木)

突然、金木犀が香り始めた。



びっくりしたのは、
あっちの町のもこっちの町のも、一斉に始まった、ということ。
去年までは、場所ごとのタイムラグがあったと思う。多少なりとも。
それが、一斉に。だ。

あっちもこっちも一斉に、って言ったって、
そんなに広くない自分の活動範囲内に限られた現象体感だったのかもしれないけども。

いずれにせよ、
前日の台風が運んできた 温かい雨のせいかもしれない。




朝、
家の扉を開けると、いきなり、ふわん。

一年ぶりのその香りに、
「あれ?」とひと呼吸意識が飛んでから、はっ!と、思い出す。

ブロック塀を隔てたお隣さんの庭、ちょうど扉を開けると目の前(というか斜め上の方)に、
金木犀の大きな木があった。

あったのだった。そういえば。

一年近く忘れていたことを、思い出す。



昼、
車で、あっちの現場からこっちの現場へ、移動する。すると、
開け放った窓に、ふわんふわん、風と一緒のまるいかたまりになって、飛び込んで来る。

ふんだんに。
惜しみなく。
絶え間なく。

ご褒美か何かのよう。


その日、
一つの小さな個人邸のお庭が仕上がり、

もう一つ、大きなアパートの庭の、ずっと気がかりだった箇所の手直しが完了した。

「無事、出来上がる。」
その瞬間は、とにかく、ほっとする。
着工からその瞬間まで、ずーっと、ピーンと張り詰めっぱなしなので。

庭の大小問わず、達成感の心地好さというのはまったく同等、
沁みる水のように、じわっと胸に来る。





夜、

夕方は一瞬で、
灰色の薄暮があっという間に廻り、ずいぶん暗くなった帰り路。目が翳(かす)む。
ついこの間までの暑い夏が、いつの間にやら はるか遠すぎて、
なんか、騙されてるみたい。


言わずもがな、
風を抜けて走る自転車に、ふわんふわん、ぶつかってくる。
右から、左から。優しい、甘い。
こんなにあちこちにたくさん植えられていたんだなと、感慨深く思う。
姿は見えねど、まさに其処彼処に。



大気中に、金木犀が満ち満ちている。

ふつうに呼吸をするだけで、幸せな心地になる。



、、なんて贅沢な季節だろう。



ふつうに呼吸をするだけで、ものすごく幸せな気持ちになれるなんて。

欲張って、いっぱい吸い込む。

どんなにいっぱい吸い込んでも、
おしみなく、
ふんだんに、
あふれるように。

なんて贅沢。

うっかり、
「うふ~~ん」みたいな、
必要以上に甘い吐息になって、漏れそうになっちゃったり、する。


夜が充分に暗くて 良かった。


それから、3週間ぶりのバレエ・レッスンへ。

集中して出来た。哀しいかな、まだ全然かたちにならないものの、
心地好い達成感。




帰宅して、
部屋の窓を、さらに大きめに開く。
願い通りに、あの香りが漂って来る。朝とは別のお隣の、これまた立派な金木犀から。





とにかく、
今年はちょっとびっくりしたのだった。

突然に、
あっちもこっちも一斉に、香り出したから。




秋なんですね。もう。





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